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「あたし、ゲイでしょ? 中学生のころに男子にいじめられていたんですよね。それでその子たちにゲイだって、学校中にばらされたの」

 檸檬さんはあっけらかんとその過去を語った。その表情は笑顔だ。

「でもこの子だけはねー、あたしの事笑わなかったのよね。他の子には避けられたりしたんですけど」 

 天然ものの長い睫で縁取られた瞳が楽し気に細められる。

「当たり前じゃないの。だってそんなの、普通の事でしょ」

 笑う方がおかしいですよねー、と真凛さんも笑う。

「変わった子でしょ」

「それを言うならアンタも相当変わってるって。わたしと友達なんかやってる時点でね」

「似た者同士ってやつね」

「え~、やだぁ」

「やだって何よ。こっちのセリフよ」

「失礼ね」

「どっちが!」

「ふふふふふ」

「あはははは」

 きっと当時はこんな風に笑えるような状況じゃなかっただろうけど、今こうやって笑えるのはきっと二人一緒だからなんだろうなと思うと、素直に羨ましいなと思った。

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