無敵のふたり

カゲトモ

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「あっははは」

 買い出しを終え、エコバックを肩に掛けつつ小走りに店に向かっていると、楽しそうな笑い声が聞こえた。商店街と飲食店街の境に立っているのは男女の二人組だ。

「こんにちはー」

「あ、スカイさん」

「こんにちはー」

 見知った顔の二人は、近所のキャバクラとゲイバーのキャストだ。へぇ、仲良いんだ、と思いつつ横を通り過ぎると、

「わっ」

 結構な力で引き留められた。

「な、なに」

 衝撃でずり下がったバッグを直しつつ、二人に向き直る。この二人、結構お喋りなんだよなぁ。

「そんなにそそくさと行かなくても」

「いや」

「最近スカイさんとお会いできてなかったし、少し話しましょうよー」

「えー・・・」

 正直、面倒。

「あ、今面倒って顔したー」

「スカイさんってお仕事中以外は結構顔に出るタイプよね」

「あ、分かる分かるー!」

「あはははは」

「うふふふ」

 何が面白いんだよっ! と思いつつも「そんなことないですよー」と言ってみる。

「大丈夫、大丈夫。みんなそんなもんだし、仕事以外で愛想ふりまくのも大変じゃないですか」

「そうよねぇ。あたしも仕事以外では女に愛想ふりまかないもん」

「そうだよねぇ」

「あははは」

「ふふふふ」

 仲がよろしいことで。

二人揃っているのを見たのはこれが初めてだと思う。一人ずつでもお喋りなのに、二人揃ったら・・・。まぁ、安易に想像はつくな。

「お二人は仲が良いですね」

「え、知りませんでした?」

「二人一緒なの見たことないですし」

「そうだったっけ?」

「実はあたしたち同級生なんですよー」

 えへへ、と小首を傾げたのは坊主頭がよく似合う檸檬さんだ。いつ見ても丸い頭の形が綺麗だ。

「見えないでしょー?」

 まだ出勤前だと言うのに胸の露出が激しめのロングヘアが真凛さん。二人の店は両端に分かれているから、仲が良いとは知らなかったし想像もつかなかったが、なるほど、かなり親密と見える。

「へぇ、付き合い長いですね」

「まぁね、小学校からの付き合いだし」

「よく考えたら長いわよねぇ」

「檸檬がゲイだって相談もされたし」

「あんたがキャバ嬢になるって相談も受けたわよね」

 ねー、と二人は同時に首を傾げる。その空気は仲のいい女友達の間に流れるものと同じように思えた。いや、かなり仲のいい女友達の、だ。

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