騒動の始まり
第5話 4月1日(木)美紀がやってきた①
「あ~、早く早く。もう私1人だと大変なんだから!」
とか姉さんが言ってるけど、着替えてから美紀の部屋(になる予定)へ行ったら片付けはもう半分近く進んでいた。感謝感謝。
「よいしょ」
とか言いながら姉さんは段ボールを運び出そうとしている。その顔や言動からは、もう怒っている雰囲気は感じられない。そこはさすがというべきか。
「あ~、それとそれは母さんたちの部屋に持っていってね」
「これは猛の部屋にお願いね」
「あ、あれは捨ててもいいよね」
とまあ、姉さんはテキパキと僕に指示を出してくる。僕もその適格な指示には感心するよ。
でも、姉さんが擦れ違いざまに
「まあ、手を抜かずに仕事をして頂戴ね。巨乳女子高生好きの弟クン」
と言って、あの目をしながら段ボールを持って出て行ったから、僕は血の気が引いた。たしか、半分が巨乳の女子高生モノ・・・という事は、『お宝』が見つかった可能性が・・・。
僕は部屋から廊下へ顔だけ出した。丁度階段を降りていく所だったので、まだ1~2分は大丈夫だと確信した。そして、急いでクローゼットの中に潜り込み、積んである棚に足を引っかけて天井にある点検口を開けた。実は、この点検口は作業用の物であるが、開けると30cm四方位の物を置けるだけの空間が残っているのだ。その先には断熱材であるウレタンや、テレビのアンテナケーブルなどを通すダクトがあるのだが、さすがにそこには置く事が出来ない。このわずかな空間が『隠し部屋』のような場所なのだ。
でも・・・そこには、まだ『お宝』が置いてあった。という事は見付けたけど見逃してくれたのか?
そんな疑問が湧いたけど、とりあえず後で片付けようと決め、降りようとしたら
「ふうん、そんな所に『お宝』があったのか。道理で見付からない訳だ」
と後ろから姉さんの声がした。え、まだ30秒もたってないはずだぞ!
振り返ると姉さんがクローゼットのすぐ外にいる。何故だ?という疑問が湧いたがそれはすぐに解消された。
「おおかた、はったりをかければ行動に移ると思って下に降りたフリをしても戻ってきたのよ。相変わらず思考が子供ねえ」
と言いながら姉さんはニコニコしている。そう、僕は姉さんに嵌められのだ。
「でも、巨乳女子高生ってのは・・・見てないと言えないはずだけど・・・」
「相変わらずの間抜けぶりね。適当に言ったのよ。でも、その様子だと猛は巨乳好きのようね。まあ、普通の男の子なら大きい方が好みに決まってるわよね。私はCだけど。」
あー、これ以上言っても言い訳にしかならないから仕方ないや。弁解するのはやめた。あ、でも、姉さんがCカップだというのは本当だ。先日、風呂に入ろうとして洗濯物を籠に入れようとしたら、何と、一番上に『それ』が不用意に置いてあったので恐る恐る手に取ったからだ。
「ま、美紀ちゃんに見つからないよう、早く隠す事ね。今度は本当に下に行くからね。」
と言って出て行った。
もう僕は何も言えなかった・・・巨乳好きではないんだよな・・・C位が理想かな・・・。僕にとっては大き過ぎず、小さすぎず、「普通」と思えるサイズかな。
それから僕は黙々と片付けを始めた。『お宝』はとりあえずベットの下に隠したけれど、あまりにもベタだから、別の場所を探さないとなあ・・・。
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