零れ堕ちるは二度目の罪人

戦場での出来事から1ヶ月。ボクは2度目の場所へと足を運んでいた。


『……やぁ。皐月クン無罪の罪人。元気にしていたなら何よりだよ、ウン。どうだい?これからお茶でも…』

不意に言葉を遮られた。

『…ヒトを勝手に罪人呼ばわりすんじゃねぇよ、ろくでなしのアホが。それと俺は女じゃねぇって。』

折角の面会だと言うのに頬杖までついて…。

『…へぇ?違うのかい?まぁ、良い。ちょっと気になる事があってね。ほら、人脈がある君にはピッタリの仕事だろう?』

…その説明が気に障ったらしく

『それが人に物を頼む態度かよ?俺なんかより後ろにいるアレに頼めば良いだろ?』

ヒラヒラと手を振る警察官。

『それじゃあ、駄目なのだよ、ボクより頭が回っては面白く無いだろうしね。君みたいに単純な男。…誰だっけ…ぁ、そうだ、メロスみたいな君が丁度良い。』

と笑いながら言ってみると、やはり単純な男だと確信出来た。







零れ堕ちるは二度目の罪人。

ふわふわと舞う春霞の中で、夢を見ていた罪人と、哀しみに暮れ喜怒哀楽を失くした者が出会ったのは、去年の長月だった。






  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

星の降る丘 茲憂 @YUUGIRIYOGI

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ