取り留めなく溢れる

いつだろうか

心地良い風と音と君の笑った顔が僕の目の前をチラついていた。


ポロポロ ポロリ。


いつだろうか。

殺せ、殺せ、殺せなどと存在の意味を消さなくてはならない君を僕は泣きながら見つめていたのは。

いつだろうか。

ボクの目の前で人が死んだのは。

二秒前まで話していたのに、掬いとる前に消えてしまった。


…寝ていたらしい。ざっと数えて3時間ほど。

諦めたのか、はたまた『また、来る』などと決まり文句吐いて帰ったのか。どうでも良いが、慈由クンの勘違いは見過ごしておけないな。他者から見れば。だと言っても墓に遺骨を入れる訳でも、もやしてやる仕事でも無い。

ただ、と言うのが正しい。

まぁ、彼等には違う風に見えているのかもしれない。………勿論、ボクにも。


ふとドアの方を見る。


『何、してんですか、支部長?』

翠色の瞳が特徴的な青年部下がドアを開ける。

『………ぁ…?あぁ、君か。青年Aクンとでも名前を付けようと考えていた所だ。』

青年が少し目を細めて

『止めて下さいよ。そういう話は。また、楽耶麻かぐやまに当たられたんですから。少しは気遣ってくれても良いくらいです。』

『………ボクの手に負えないな、彼女は…んん…何と言うか竹を割った様だが、霧の様に見にくい。フラフラ歩いてる上に無断欠勤ときた。ボクには帰って来た時の為に温かい珈琲を入れる事くらいしか出来ないよ、残念ながらね。』




彼女の為に入れていた珈琲が温く、不味くなってしまった。

無駄な時間を過ごして居たようで

そろそろ、ボクの仕事を始めるとしようか。

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