第12話
そして、彼は僕の目の前から消えた。
真っ赤に染め上げて。
僕のことも塗り潰すかのように。
目の前で・・・。
無機質な塊に潰され、呆気なく死んだ。
彼から、生きた証が流れ出す。
ドクドク・・・
彼をこの世から、消し去ろうとするように。
それを、周りはただ観てる。
誰かのBad endを、嘲笑うかのように、横を通り過ぎて行く。
どうでも良いのだろう。
関係の無いものだから。
暫くして、時間が経ったのだろう。
彼の血が顔にかかる髪の毛を固めた。
辛うじて見える表情は、笑みを浮かべていた。
「なぁ。
そんなに死にたかったのか?
確かに、全ての生き物はいつかは死ぬ。
まだ、未練はあると思うのだけど・・・。
それなのに、何故笑えるんだよ。
死んでからも、こんな扱いされて嫌じゃ無いのか?
まわりだって、そう思ってる奴が大半だ。
それなのに、人には同じ思いをさせるんだな。
人間って、分かんないよ。」
そう小さく呟いた。
僕が呼んだ警察のサイレンが遠くに聞こえてきた。
そうして、僕は目を閉じた。
何も見たくなくて。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます