第11話

「でも・・・さ。


失って気付いた・・・。


あぁ、俺は1人になったんだなって。


馬鹿だよな。


俺は、1人でいることに慣れていたはずだったんだ。


でも、こうして、いなくなると実感したよ。


俺は、“本当に1人になったんだ”って。


お前もそうなるなよ。


失ってから気付くなんて、こんな馬鹿なことありゃしない。


唯、一生その傷を・・・。


その痛みを、背負うだけなんだぜ。


罪人の背負う十字架みたいにさ。


これから、まともに生きていける自信がねぇよ。


だから、さぁ。


これが、最後の挨拶だよ。


俺は、弱いから、死ぬわ。


ありがとうな。


楽しかったぜ。


お前と過ごす時間は、最高だった。


お前と笑い、泣き、喧嘩し、馬鹿な事をした。


それだけで、生きてて幸せだと思える。」


そうして、綺麗な目で・・・。


綺麗な顔で・・・。


微笑んだ。


意を決したように・・・。


何かを諦めたように・・・。


過去を懐かしむように・・・。


生きる事を恐れるように・・・。


誰かを愛おしく思うように・・・。



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