第10話

その後も話は続いた・・・。


「自殺だよ。


首を吊ってさ・・・。


死んじまった・・・。


元々、鬱だったんだよ。


だから、俺は・・・。


俺は・・・ッ。


俺はッ!!!」


そう言って、拳を自分の膝に打ち付けた。


彼の目から落ちる雫が、彼の感情を染めていく・・・。


「俺はッ!!


学校に行かなくなったし、年齢を偽ってバイトもしたッ!!


家事もしたさ!!


なのに・・・。


なのに・・・ッ。


最後まで自分勝手だった・・・。


まだ、初めの方は良かったよ。


食器を捨てられ、飯を何日も食わせて貰えないことも・・・。


風呂も・・・。


服も、諦めた・・・。


それだけだった。


親父がいなくなって。


イジメにあって、帰った日からかな。


暴力振るようになったのは・・・。


暴言を吐くようになったのは・・・。


懐かしいよ。


産まなきゃ良かったとか、社会のゴミとか、生きる価値がないとか、一緒に死のうか?とか・・・。


今でも消えねぇ。


母親の瞳の色が・・・。


暗闇と絶望が入り混じった色だった。」


そう言って、一息ついた。





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る