074 『いつもながらに理不尽』

エイプリルフールと言うことで2部を公開中です。…嘘じゃないです。

63話から2部開始です。

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「かつて交わした誓いを、オレは破棄する」


 みーくんがそう宣言する。


「これで、消えたってことか」


 実感はわかないが、これで俺を縛っていた幼い頃の契約は消え去った、ということだろう。彼女が誠実なことは、かつて共に過ごした思い出や、再び出会ってからの様子からも確信できる。


「あぁ、そうだ。これでもう、彰はオレのものじゃない。けど、勘違いするなよ」


「ん、勘違い?」



「オレは彰のことを諦めないぞ! 絶対にいつか、オレに振り向かせてやるからな!」



「ふふん、やれるもんならやってみなさい! あんたなんかに彰は渡さないわ!」


「えぇ、あなたのことなんか考える前に、私が彰さんは陥落させますので」


 みーくんの言葉に、俺の隣にいた少女達が俺に抱きつき宣言する。


 ……ただ、上半身で抱きつくのはいいが、蛇の尾と蜘蛛脚で絡むのは止めてほしい。いや、軽いのならレイアの蛇の尾の冷たさや、依織の蜘蛛脚の硬さは心地いいし嬉しいんだが、流石に強く絡まれると苦しいのだ。


「ふん、今はいいさ! 彰と結ばれるのは、オレだからな!」


 二人の少女にそう言うと、更にみーくんは俺に視線を合わせる。


「それと、彰。彰はもう、オレのものじゃないけど、オレはいつでも、彰のだからな……」


「えっ?」


 これまでの態度を一転、もじもじと顔を赤くして、照れたような表情で言うみーくん。そして彼女は、いきなりの変化に戸惑う俺や少女達を無視して顔を近づけ――、


 ちゅっ。


「これは、その、前払いというか、予約っていうか、ただしたかったし……その、ああぁもう! とにかく、オレは彰に相応しくなって、またくるから、ちゃんと待ってろよ!」


 突然の行為に戸惑う俺達を置いてけぼりに、まくし立てるようにそう言うと、みーくんはその四つの健脚を全力稼動して、何処かへと走り去っていった。


「ふふっ、彰さん?」


「覚悟は、できてるわよね?」


 ギリギリと、もはや苦しいを通り越して痛いぐらいな、尾と脚の締め付け。


 顔を見なくても、声だけでもはや二人がどんな状態かは想像がつく。


「待て、俺は何もやってない、さっきのはみーくんが……」


 なんて言うが、そんなものは受け入れられるはずも無い。


「聞く耳持ちません」


「言い訳は見苦しいわよ」


「……ですよねぇ」


 こうして、かつての幼馴染との再会は、どうにか無事に幕を閉じた。……俺が犠牲になることは、もはや確約されたといえるけれど。


「本当に、最後の最後まで、愉しませてくれる娘であったな!」


 結局、一番愉しんだのって、こいつじゃないだろうか?


 あぁ、いつもながらに理不尽だ……!




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そんなこんなで二部1話、幼馴染編、了です。

次回は新ヒロイン登場です。


もともと出来てるものなので、こちらは触手と違って更新ペースは早いです。

次回も近いうちいっきに1話分まとめて公開します。

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