第四部 ⒊ 胎瞳
⒊ 胎瞳(1) 胎眼上寿
「う……嘘やろ。だ、代行屋はん………」
「な……何が起きたんだ………」
あまりの突然な出来事に、見桐と眸衣の二人は驚きを隠せずにいた。
「
そいつは残念だが、奴は手遅れにあった。奴がここを訪れる前には、すでにとある
突然、二人の会話の間に割り込んで来たのは、
「
「
「……ヴァンピーロ、おんどれの仕業かっ!」
「《おんどれ》?
「なんやと?人をおちょくるのも大概にせぇよ」
「いや……単に関西弁が良く分からないだけだろう。《おんどれ》、と言うのはいわゆる二人称。『貴女』や『お前』、『君』などを指して言う言葉だ」
「これはこれは、懇切丁寧に。……成る程、理解した。そういうことなら、答えはYesだ」
「……さいでっか。いっぺん、
その瞬間、見桐は左目の神眼を開眼し、目力:【
が、当のヴァンピーロは何とも思わず、よく見れば奴の視界の前を凝固した紅黒い塊が、まるで光を遮るサングラスのように彼女の両目を覆っているでは無いか。
あれは………
「まさかいきなり目を潰しに掛かるとは、物騒なことをしてくれる。即座に血の塊を作らなければ、危うく失明でもしてしまいそうなところだったじゃないか。
にしても、クセのある言葉ばかりで、さっきから何を話しているのか、
奴が口にするまでも無く、塊の正体は血が凝固した
良く良く見ると、奴の周りを微かに紅黒い塵のような、霧のようなモヤが漂っているのを確認する。
それは見間違えようが無く、【
それは何故か?
考えるまでも無く、初めから【
「
使い方によって回復にも武器にもなるこの力は………なんて―」
一瞬の静寂。
その後のヴァンピーロの口から飛び出た言葉は大きく話題を変える。
「――
さっさと手柄となる戦利品を回収して、
結局は
死んだ人間が一度でもあれなのに、二度も生き返るなんて奇跡がある筈が無いだろう?
これまで
「……そな結果論な………話や無い…………」
「
「人が……人の為に………涙流して怒ることの………何が……悪いんや………ッ!」
「悪いだろ?」
「……はっ?」
「
だってさっきも言ったように生きる為、これまでさんざ
それを何故、奴に限ってこんなことをする?……友情が芽生えたから?……何か自分を助けてくれた恩人だから?
ざけんじゃねぇぞ!一体そこに感情を動かされる程のどんな理由があろうとも、ならこれまで命の為に、
そりゃあ無いぜ。同じ境遇の、同じ人間だろうがッ!甘ったれた感情出してんじゃねぇよ!
結局のところ、つまりそんなものは自分自身のエゴさ加減にしか過ぎないってことだろうがッ!
「な……何をっ………」
「勝手に相手の気持ちに寄り添ったつもりで泣いて怒って、人として有るべき理性を持って、行動したつもりになった気でいたんだか
そんなものは憎しみを単にぶつけているだけの、やる前から結果として何も得やしない無駄な闘争。
ただの争いごと引き起こして
「そな………そないなこと……………」
「嫌なことなど、すぐに忘れてしまうに限る。これが血の繋がった家族であるというのならばそれなりに考えられなくも無いが、所詮は知り合っただけの他人な訳だろう?
どうかここは一度、寛容な考え方を持ってこの場は大人しくしてくれることを願っているよ。命惜しくば、ね」
「……………」
完全に言われに言われて、言葉が詰まってしまったのか、遂に黙りこくってしまった見桐。
だが、ただの言われっぱなしになるつもりも無く、見桐はゆっくりとその口を開く。
「………そやな。確かに代行屋はんにばかり依怙贔屓したみたいで、そら悪い印象与えてしまってもしゃあないわな。そこは素直に謝る。
――けどな。大阪もんっちゅうのは、飴ちゃんぐらい
何言われようと、
この精神だけは侮辱すんなや!」
「……
「えっ?大和魂……?意味同じやったか?なんや
自分で言って気になってしまった見桐は、さっきまでさんざ言われていたにも関わらず、その空気をぶち壊すような勢いで、一人EPOCHで検索をし始める。
「ええっと……大和魂言うんは、元は中国伝来の『
もっとシンプルに書かれているページは………っと。あった、これや!
なんや、時代と共にころころと意味が変わっていったみたいやけど、今となっては『勇敢で潔い精神』を指すようやな」
「へぇ、少しニュアンスが違うのか?」
「ほなまぁ……こう、喉元につっかかえていた
心置きなく、おんどれを始末出来たるさかい!覚悟しぃや!」
見桐は再びヴァンピーロに攻撃を仕掛けた。
右目を開眼し、自身の右腕を雲状化させ、筋状の巻雲が絡み合って出来た、ねじれ雲のような形状へと変化させる。
「【
さきの【
放たれた拳は狙い定めた
「
これにより、いかなる物理攻撃も一切寄せ付けない、まさしく完全無欠―――」
「なっ!おんどれが少し前に話していた、霧状に散布していた血ってのはまさかっ!
その周囲に舞っている微かな紅黒いモヤは全て、肉体の一部が分散されて発生しとるもんって訳かいな。
単にちょこっと傷を付けて、そこから流れ出た血が散布されてるもんかと思っとっただけに、そこまでの分解レベルしとるとか、
想像以上の分散性に
「……けど、せやったら、直接目を狙うまでや!」
「そう言われて、簡単に
そう言ってヴァンピーロは周囲に舞う、血の霧から一本の長い槍状のものを形成させると、そいつで思いっきり見桐の腹を突き、見事に返り討ちにする。
ヴァンピーロの勢いは滞ることを知らず、今度は血の霧を見桐のいる方へと差し向ける。
すると見桐は瞬く間に血の霧に囲われてしまい、口や鼻、耳の穴の中にその霧が入り込む瞬間を目に捉えては、再び
見桐を体内から血を刃物状やら針状やらに変異させた、多くの鋭い突起物が彼女の内部を痛々しいまでに傷付ける。
「がっ……あ゙あっ………」
見桐は鈍い声を発し、その場に倒れた。
「なっ……見桐ちゃ…………『みきりき』をこないな目に遭わしてくれよったなぁ、ワレェ!しょーちせんどォォ!」
仲間をやられて怒った
その目からは動物油や植物油のような、良く目にする淡黄色したものとは違い、黒色の油が目から浮かび上がる。
「お……、【
余程、さきの一件で芽目に【
左目から流れ出た涙………もとい煙状に広がった黒色の油が厄介な血の霧を全てを包み込んでいく。
霧が晴れ、見桐の元へと駆け寄ると、彼女は口の中、鼻や耳の穴の中に数滴の油を垂らすと、その油が体内から生え出た血の突起物を見る見る内に取り込み、丸め込んでいっては、一巡するように元の垂らした穴から油が自然と流れ出ていく。
当然のことながら、普通の人間の体内の中にそんな油を入れてしまっては有害でしか無いが、彼女らは一度は死んだ身である神眼者。
例えるなら、抜け殻に仮の魂が宿っている状態の彼女らにとって、変に体内に油が溜まって残りさえしない限り、人間離れした回復能力を兼ね備えている以上、何かその後の人体に影響を及ぼすような危険なことにはならないだろう。
うがいだけは後でしっかりとやっておくよう、言い聞かせるつもりだ。
「ほぅ……こいつは少し能力の相性が悪いとは見える」
予想もしていなかったであろう、
たが特別焦る様子も無く、一見不利にも見えるヴァンピーロだが、何てことなく一手を構える。
奴はさりげなく
すぐにその
「ごはっ………」
口から血を吐き、鈍い声を発する
「流石に背中に付いた血を取り除くのは無理な話だろう」
ヴァンピーロの狡猾な手が狙い通りに喰らわされてしまった
「……そっちがその手なら、こっちはこっちでやりようあんだよ」
そう言ってまずは胸に刺さった血の塊を左目から流れる例の黒い涙で取り除くと、躊躇う様子も無く一度血を付けられてしまったトップスを脱いで上半身下着の姿になった。
恥じらいそっちのけで、
目力:【
その神眼をもった者だけに視える不可視の糸が命無き無機物に貼り付き、決して
見えぬ糸に吊り上げられた危険な見た目のガラクタ達が、寄って集って奴の血の付着から守るように、
「
「言ってろ!精々余裕ぶっこいてやがれってんだ。最後に痛い目見るのはどっちか、その悪魔のような紅き瞳に拝ませてやんよ!」
瞬間、
右手左手に20種ずつ多種多様のツールを備えたアーミーナイフの刃先の爪をした、ニタリっとU字に開いたチャック口のくまのぬいぐるみが一つ。
そこかしこに釣り針が縫い付けられた甲羅を背負い、
計三種のいずれもが狂気じみた……いや、凶器
ぬいぐるみ達は一斉にヴァンピーロに向かって斬り掛かる。
ジャキジャキとハサミを、ジャラジャラとナイフを、ギラギラと針先を、各々は刃を光らせ、奴の肉体を切り裂こうとする。
当然のようにヴァンピーロは
「さきの突っ掛かりで学ばれなかったのですか?そのような物理攻撃はこの
「そら、そのまんまならそやな………」
「何を言って…………
すぐにヴァンピーロは元の肉体の形に戻り、傷付いた身体の一部を【
これが本当の
「……刃が通った?そいつは少し違うな。あるちょっとした油をぬいぐるみが持つ武器に塗っていたまでのこと」
「油?……確かに何か手を打てるとしたらそれしか無いと思ってはいた。だが、それでは………」
「《滑る》、とでも言いたいんか?それが単なるギトギトベタベタした油であるならば………の話やが、私が
「……チョウジ……アブラ……言ったら、チョウジノキから産出される植物油………だったか?その用途は確か……薬に…香料として歯磨きに……化粧品、香水……あと、菓子なんかに用いられていることもあったっけか?だがそんな油を使って何が………」
「丁子油の用途はそれだけやない。古くは平安時代から刃物の手入れに使用される防錆油としても重宝していた訳やが………
その効果は植物油ゆえ粘度が高く、水分の除去効果……塗ると金属表面から水分や塩分を巻き込んで除去する働きがある。
また、オレイン酸を多く含むことから脱酸素剤としての働きがあり、酸化防止の特徴を持っている。
つまり……………」
「血の天敵………言う訳か」
「嗚呼……っつっても、元はと言えば、私のぬいぐるみ達に縫い付けている一部の刃物の加工をしてもらっていた、ある鍛冶屋の稀街言う女の押し売りなんやけど。
あれこれ買っていることだし、防錆用にこいつは使った方が良いぜって、あの時はさんざ丁子油を勧められたっけ」
「……誰なんだ、そいつは?」
「……そやな。死ぬ前の冥土の土産として話しておいてもええか。
『
一時期、若き実力派女性鍛治職人なんて、メディアで
「
この
それとあの方に対する忠誠心……そうっ!忠誠
【
「相変わらず言ってることは分からんが、何か良からぬ事を言っているのだろうってだけはそれとなくひしひし伝わってくる。
お前が少し前に話していた、みきりきに感じた感覚と似た様なものやろ」
「
そうして両者が闘い合っている中、一人遠方から見上げる人物が一人。
気付いたら誰にも相手にされなくなっていた
「私の……期待外れだったか」
奴らのいる地点の近くに横たわる、今尚燃え続ける一体の死体。
芽目はそれを遠くで見つめながら、一人落胆の声を上げていた。
「〈代行屋〉……言ってもこの程度の実力とはな。………仕方ない。また一から探し直すか」
勝手に切り捨てるように、もうここには要は無いと【
二人が戦闘を繰り広げている間に、何処からともなく燃え続ける死体の元に近付いていく一人の影。
その姿は【
悪魔ような二本の逆立った、白の
【
下も全く同じピンクスカートを穿いており、背格好も同じ為、いかにも双子か姉妹か思わせられる。
「……何だ、あいつは?」
妙な人物の登場に芽目は
『……○……△□……』
一体何を言っているのか、それとなく音は聞こえるが、肝心の声が耳に拾えない。
ここでは場所が遠く、偵察するにも情報が上手く掴めないからと、芽目はその人物に気付かれないよう、こっそり距離を詰めるように近い地点へと
近付いて奴の姿を改めて確認すると、何やら右手には蜘蛛のような複数の目が並んだ、気味の悪い白の蟲面のサイバーマスクを持っていることが分かった。
『これはまた、派手にやられて………ったく、私ともあろう者がなんてザマしてやがる。〈代行屋〉を名乗る者が聞いて呆れるよ、こんな
あーあ、もう恥ずかしくって、【
…ま、今のマスクだと視界もそれなりに遮られてしまっていたから、そこそこお金も貯まったことだし、
これを機にデザイン違いの変声器機能の付いたマスクを買い直ししようかと、私ら全員考えることは一緒な訳で――………
そこの、死にっこ晒した私の報告通り、ここへ来る前に例のお店に立ち寄って見れば、まさしく追い求めていた視界良好なマスクをお買い上げ出来たようなものだから、そこだけは大きく評価してやらねぇとな』
そう言って、ヒラヒラとその手に持ったマスクを見せびらかすような仕草をする。
一体、奴は何を言っているのだろうか?
私……確かに奴はそこに横たわる燃える死体のことを『私』と呼んでいた。
殆ど両者の姿・形は似ているが、仮にもその仮面の奥底の素顔が同じような顔であるのだとする。
似た顔をした人間はこの世にいることもある為、その一点においては特別不思議に思うことは無い。
だが、あくまでもそれは〈見た目〉においての話である。
しかしこれが《存在》そのものを指して言った言葉なのだとしたら?
一つ一つのほくろの位置やその数、手相の形やシワの数などの身体的特徴………それこそ、遺伝子情報から全く同じなんていう、本来あり得ない特徴をもった人間が、仮にも今この場に二人として存在している………それこそ、3Dスキャンして取り込んだデータから作った本物そっくりの【
年々、確実に科学技術の進歩・発展の躍進をしている世界において、秘密裏に開発された【それら】の存在であるという可能性も決してないとは言えなくも無いが、それこそブシュラのようなお金と研究力のある者がそれを実現させるならまだしも、ブシュラはすでに
これが何かと利用されがちな針海有見ならともかく、彼女が奴に関与しているとはとても思えない。
だからこそ、奴が口にしたあの『私』というワード。
これには一体、どんな深い意味があるのだと言うのだろうか?
だが、その『私』という言葉がその言葉のままの意味――それ
謎の人物は突然、顔を覆っていた犬面のサイバーマスクを左手でカパッと掴んで少し浮かせるように持ち上げ、僅かに出来た隙間の中で右手に持っていた例の白い蟲マスクを下から器用に被る。
カチャッと新しい仮面へと付け替えると、元々被っていた犬面のサイバーマスクを横たわる【
その姿はまるで同志の別れを惜しむような、生前奴が被っていたものと敢えて同じ種類のマスクをそこに捧げ、一人で寂しい思いをさせまいと、一緒に供養し追悼しているようである。
だが、そんなマスクを一瞬付け替える時のことである。
チラッと奴の左目が見え隠れすると、その目は確かに左目部分が割れて曝け出されていた、濃褐色の瞳と瓜二つの《虹彩》をしていたのである。
この世には他の誰でも無い、本人であることを証明する、
具体的にそれはどのような原理なのかと言うと、そもそも『虹彩』とは眼球の黒目の内、瞳孔を取り囲んでいる色の薄いドーナツ状の部分のことを指して言う。
拡大して見ると分かるが、虹彩の中には複雑で細かな線状の模様が入っており、実はその模様のパターンが人によって全く異なるのである。
その複雑さは指紋以上とも言われており、同じDNAを持っている一卵性双生児でさえも、違いがあるのだとか。
その為、手術云々でどうにか再現出来るものでは無いことは明白であり、他としていない
身近な存在で例に挙げるとすれば、パソコンや携帯機器などのロック解除、空港での入国審査。中には会社など、一部の入退室管理に使用されることもある。
なお、この島においてはコンテナ船などの外部から訪れる人間の入管許可の際、布都部島の船着場前に佇む巨大な正門を管理者自らの虹彩が
ただ、いくら人とパターンが違うというこの特徴を活かし、
だがそこは安心して頂きたい。何故ならば、
それは人の指に出来る指紋が《
まさしく、《
その為、右目と左目でも模様は異なり、『虹彩認証』において右目と左目の両方を登録するのはそこから来ている。
余談だが、私的に神眼研究をしている中学化学教師-『ブシュラ・ブライユ』の見解では、その『虹彩』の中の一本一体の
確かにそれならば、眼球の大部分を占める〈硝子体〉から成分を抽出して製作がされたという、《人工神眼》に目力が宿らなかったのにも理由が付くというもの。
恐らく、現段階の《人工神眼》では納得のいくものでは無いような気がするので、いつの日か彼女が本当に神眼を人工的に造り上げてしまう日はそう遠くないのかもしれない。
話を戻すが、見えた左目の虹彩のシワの数、その向きどれを取ってもそっくりそのままの虹彩を持った存在が二人いるともなれば、さっきの【
いや……それ以上に可能性として高いものとすれば……………
『私の目力……良いのと悪いのとで差が激しいからなぁ。そこの私の目力ではまぁ、結果こんなものか。
とは言え、折角の神眼だ。依頼人に引き渡す足しとして、役立たせて頂くよ』
そう言って、転がった二つの神眼を拾い上げようとした時、一人の声が後方から聞こえてきた。
「ちょっと待て、そこの白マスクの
奴と似た姿をしているが、関係無い者が横から勝手に掻っ攫っていこうとするのはどういうことだ?」
『……関係無い者が横から勝手に、だって………?フッ、笑わせる。
ある種、そこの眼球は私の
「何を言って…………」
『言葉のままの意味だよ』
そう言って、さっと身に纏っていたフードパーカーを脱いで
さっきまでの黒色とは打って変わって、対照的な白色のフードパーカー。
悪魔ような二本の逆立った、
すると奴はマスクの裏側で目をぱちくりしては、神眼を開眼。
赤い虹彩に蜂の巣みたく
僅かに神眼から発せられた眼光が漏れ出ると、奴はそのまま海沿いの護岸の向こう側へと視線を向ける。
視線の先の
門、とはまさしく、そのままの意味の上でのこと――
シンプルに、外部と分け隔てられた出入り口。まさしく正面扉である。
突如現れた、それら無数の
白色のフードパーカーを頭から被り、何度見てもおどろおどろしい蟲マスクで顔を覆った、まるで蟻の集団を思わせる衝撃の光景が一瞬にしてヴァンピーロ達の目の前に広がり起こった。
「一体……その集団は……………そんなデタラメな目力があって…………まさかッ!
あまりに奇想天外なその光景を前に、ヴァンピーロは一瞬で嫌な想像が頭に叩き付けられ、青ざめた顔をする。
『何、驚いてんだ?この光景を見りゃあ、理解出来んだろ?正真正銘、ここにいる私ら一人一人は『
『ハハハッ、何もこいつら一人一人が〈代行屋〉を名乗る替え玉じゃないって話さ!
私か?勿論、私も正真正銘の〈代行屋〉さァァ!ハハハハッ!』
『あっちも私。こっちも私。当然ながら、私も私。正真正銘、全員『私』だよ』
奴らは門から顔を出し、各々その場でヴァンピーロ達を
『ケケッ、驚いてやがんぜ!』
『そりゃあ、こんな仮面集団が現れたら、誰しもそんな反応するだろ?』
『それもそうだが、それ以上に【同じ人間を
「えっ………やっば…………」
一体全体何が起こっているのか、死を悲しんで暴れた
『今ここに、【
仮に……もしまた二つ名呼びされることがあるのなら、敢えてここは【
『えーっと、《【速報】〈代行屋〉、マスクを変える。犬マスクでなくなったので、今から【
新作マスクはこちらです。【
マスク姿の写真を撮って…………貼り付け!、送信っと』
『それにしたって、いやぁ……もう本当、同情するね。
けど……
そう言うと一人哀しげに――、亡き【
『おっ……早速、いいねが付いた』
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