⒉ 処憂餓威(4) 収束
「くそッ………斬月の身に何があったんだ。ここは
そう言ってこちらから電話を掛けてみるも、一向に繋がる気配は無かった。
「駄目だ。全然繋がらない」
「大丈夫なの?」
華は最近手を取り合うようになった斬月のことを良く知らず、心許無い様子の彼女。
それを察した悠人は変に心配掛けまいと、口を開いた。
「……彼女ほどの実力者、そうちっとやそっとで死ぬようなタマじゃないさ。だから心配するな。今は俺たちでこの状況を乗り越え、そして打破する方法を考えるんだ!」
「ゆっとがそう言うなら………分かった。今は自分たちの立場をどうにかする方が先だよね」
「そうだ。こうなったらまずはこの現象を起こしたであろう、ヤンキー先輩たちの居場所を探し出すことから始めるぞッ、華ちゃん!」
「そうだね、ゆっと!」
「不良のいる場所ッつったら、
彼は体育倉庫の裏を見る。
奴らの姿は………無かった。
「まっ、こうもテンプレみたいな展開があるとは限らない………か」
そうして来た道を戻るように後ろへと振り返ると、そこには―
「一年坊主の分際でウチらのこと、何コソコソ嗅ぎ付けてやがンだァァ、あァン?」
「華ちゃんは………華ちゃんは
いつの間にか、後ろで付いて来ていた筈の彼女の姿が見当たらず、悠人は必死にキョロキョロと辺りを見回し始める。
すると、連中のリーダー格である
「華ちゃン?それはこいつのことか?」
そう言って、噛月朱音が指を差した先には、あの時悠人に襲い掛かって来たクラスの連中のように、死んだ目をした華の姿があった。
「これは何が起きて……………」
よく見れば、奴の瞳は小豆色に発光され、瞳孔は釘バットと鉄パイプをそれぞれ
そう、神眼を開眼したのである。
「ぎゃはは!実に面白かったぜ、こいつはよ。あの中で複数人相手に襲われてたにも関わらず、特に
実に呆気なく能力に掛かってくれて、
「こんなことって…………」
「これで五対一。このまま、おめぇを
「なっ……やめろぉぉぉおおおおおおおおおぉぉ――――ッ!」
悠人は感情のままに勢いよく飛び出した。
噛月朱音が華の眼球に手を伸ばす。
悠人もまた、それを阻止せんと朱音の腕を掴み掛かろうと手を伸ばす。
だがどうしても華と朱音との距離の差が圧倒的に近いゆえに、どう
更には―
「ぉぉぉ…………ぐ、ぐあぁぁああああああああぁぁぁぁ―――――ッ!」
突然の苦しみが悠人を襲い、その痛みのあまり、彼の足はパタリとその場から崩れ落ちる。
「そこで大人しく彼女の最期を見てやがれッ、一年坊主ッ!おめぇに姐サンの邪魔はさせねェよ」
連中の一人、
「
「おいおい、何言ってンだよ
「それは確かに」
「「あははは!」」
仲間のスケバン連中の二人-
完全に神眼狩りが決まると確信している様子である。
それは油断。
これは華の神眼を完全に仕留めたと、周囲に目を配っていなかったことが彼女の接近に気が付けず―
「ごめん遊ばせ」
「な、なんだ………イ゛ッデェぇえええええええええええ――――ッ!」
朱音の背後より現れた、黒髪ロングの見知った同学年の少女。
その少女-
「「姐サン!」」
噛月朱音のピンチに二人のスケバンは助けに入ろうと駆け寄ろうとする。
だがそれを止める別の少女が背後に一人。
「この人達が例の
「「ナメた口、聞きやがって。今すぐその
揃って二人が振り返ろうとしたその瞬間、背後から伸びた手によって二人は頭を掴まれると、さながらシンバルを叩く勢いで互いの顔面は衝突され、勢いよく叩き付けられた
「まずはお二人さん、戦闘不能ってとこで」
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