⒈ 夜云鬼威(3) 邪苦肉狂蝕
「覚悟出来てッか、おめぇよォ?」
「まっ、待ってくれ。その目はまさかその、普通の人にバレてしまうとアウトなやつなんじゃないでしょうか?」
「ああ、この目か?
瞬間、スケバン達は一斉に神眼を開眼した。
一人は赤紫色に瞳を輝かせ、また別の一人は黄赤色に瞳を輝かせ、更に別の一人は
「そんな………この人達全員が
圧倒的数の差に、かなりの危機的状況を感じ始めた悠人。
「オイオイ、あの一年坊主ビビッてやがンぜ」
「そりゃあ、全員がそうだって知っちまった時の絶望感は
「意地汚ねェとか思うンじゃねェぞ、これも生き残る為だからよォ」
赤紫、黄赤、唐紅の順に、次々と口を出す。
「始めからそのつもりで、こいつらに
噛月朱音がそれを言い掛けたところで―
「おッと、噛月の姐サン。あンまり話過ぎてしまいますと、あの一年坊主に手の内をさらしかねないッすよ」
妙な立ち回りで人を持ち上げる、色々な意味で計算高そうな唐紅のスケバン-
紫色のヘアピンを付け、右サイドの襟足の髪が豪快に剃り上がった、いわゆるツーブロックヘアーと呼ばれる髪型をしており、右耳にはピアスを付けた、いかにもな見た目の少女である。
「そうだな。いい加減、おっ
「そいつはウチに肩を付けさせて貰えねぇか?」
そう言ったのは、悠人に拳を受け止められてしまった、オラオラ系の赤紫のスケバン-
「この一年坊主には
「そうか。なら、やって見ろ」
「感謝すんぜ、姐サン。―さてと喰らいやがれ、一年坊主ッ!【
そう言って、
「《弱肉強食》?」
なんて悠人が不思議そうに
目が合った瞬間、悠人は急に手足をジタバタと動かし、のたうち回りながら―
「ぎゃあぁぁぁぁ――――――ッ!痛い、痛い、痛い、痛い、痛いぃぃいいいいいいいいぃぃぃぃぃぃ――――――ッ!」
悲痛な叫びを上げ始めたのだった。
「ぎゃははははッ、こいつの
「
「ふっ、
黄赤、唐紅、
「あがががががっ、いぎぎぎぎぎっ、ぐがっぐががががががっ、がっががっ」
「ああなってしまえば、壊れちまうのも時間の問題だぜ。全ては神眼を持って生き返ッちまったことが運の尽きだと思いな。このままおめェの最後を黙って見届けるッてのも、味気ねェしよ。冥土の土産に一つ教えてやるよ。
この力はな、
この力はまさに対象者に
「…ぐぎぎっ………う゛っ、ぐがs、そ………そういう……こと」
「何ッ?」
瞬間、悠人は鋭い目付きで
「ぐっ……がぎゃぁああああ……………ぎっぎゃぎゃゃぁぁあああああああああああぁぁぁぁぁ――――――ッ!」
崩壊寸前だった自我はギリギリのところで保たれ、反対にこの能力を使った
「何が起こってやがる」
「なんで、てめぇが狂ってやがんだ?」
「こんな芸当が出来るとなりゃあ、あの一年坊主。相手の力を奪えるのか」
「………はぁ、はぁ、はぁ、はぁ。さっきの力を知るタイミングがもう少し遅かったら、危うく精神崩壊しても可笑しくなかった。あと三人、どうすればこの場から
「いひっ、ひひひひっ、うひひひっ、ひーひっひひひひひひひっ」
崩壊していく
「ったくあの馬鹿、一人で片を付けるみたいなこと言ってこのザマかよ。噛月の姐サンを差し置いて、先に出しゃばったりするからだっての。ほらよッ、いつまでも
どこか調子の良いそのスケバン-
すると――
「あ?
さっきまで強力な
「目力が………無効化された?」
そう思ってしまいそうだが、こいつは違った。
「
端的に言やァ、肉体と心の痛みを忘れさせる鎮痛剤、はたまた苦しみから気を鎮める鎮静剤とでも言ったとこか?」
「……これまでこの学校の
けど、この学校の人達全員に
そう、この【ピヤー ドゥ ウイユ】というゲームには、とあるルールが存在する。
それは一般人に神眼の存在を知られてはならないというもの。
もしも誰かに知られるようなことがあれば、その神眼者と存在を知ってしまった一般人は共に、ゲームマスター:目神へアムによって殺されてしまうのである。
だが、この
しかしそれは、彼が思った以上に実にシンプルな答えであった。
「オイオイ、単純に考えても見ろッて。何も忘れたいと思う立場にいる奴なんて、視られた側だけに限らず、見ちまッた側にだって忘れたいと思うことがあるのは普通のことだろうよ。
分かりやすく例えを出すなら、ある時見るつもりは無かったのに人が殺された事故現場を目撃しちまッたとする。
犯人は勿論、目撃者なんていたら避けてェと思う反面――、それを見た側の人間だッて死体なんて嫌なもン見ちまッたら、そンなの良い記憶でも何でも
つまりよォ、
「それがこれまで知られなかった理由…………しかし、この学校の人達全員に
「うっせェ!てめェら二人共お喋りが過ぎンだよッ!こんな一年坊主なんぞ早いとこ、始末すりゃあ良いだろうがッ!」
唐紅のスケバン-
悠人に
「う………うぐっ、なんだ………今度は……………足が…………
い、
突如、立っていられなくなるほど、両足に痛みが生じ、地面の上に倒れ込む悠人。
ここで
その為、どんなに動けない状態であっても、同様に痛みが激しかろうとも、
「どうだい、立てねぇか一年坊主ッ?ま、これまで
「
そう言って、朱音は悠人の眼球に向かって手を下ろすのだった。
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[あとがき]
勿論、あとの二人の分も考えておりますので、それはのちのお楽しみに!
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