霊竜スウィーテオと星見搭

「銀竜ヴェイン!」

『む、リアス・カーヴィナ・・・』

兜をとった竜騎士を目の当たりにするも、

はじめてと、ヴェインは目をぱちくりとする。

≪銀竜ヴェインよ、その娘を

 竜の天宮まで頼むぞ、

 星見塔から行けるだろう≫

『娘!?お前は女だったのか!?』

そう、竜騎士リアス・カーヴィナは女、

≪竜騎士が竜騎士でいられる、

 時間を過ぎれば・・・・・・

 ワシのように成り果てるのみじゃ、

 それまでに望みをかなえるのだ≫



グレク・カーヴィナの声はこだまして、

あたりを静かに両名を先へとうながした、


星見塔へ向かうヴェインとリアス、



「ヴェイン、無事か?」

『ははは!竜騎士が竜になるか!!

 はははははは!!』

「面白がることか? 星見塔は・・・・・・」

辺りを見回すと


リアス・カーヴィナ・・・ただ一人、

「?!」

ヴェインが、

「ヴェイン!どこだ!?」

宙をひとりままに漂って走る、

雲の流れも恐ろしく、辺りに差す、


日差し眩しく、足元に、「階段?」

グレクは星見塔のことを・・・そして、

ディアングは天宮の階段のことを、

「まさしくこれが、星見塔へと、

至る道だというのだろうか?」

長く続く階段をゆくと、

道の先に待つだろう影が光と照らされて、

まばゆく、光の粒がさまようばかりに、

暗がり遠ざけて、

「飛ぶような道だ」走れば、走るだけ、

距離を忘れてもしまう、


「うわっ!!」


足元の不意の暗がりに落ち込んだ、

リアス・カーヴィナそんひとひとりと・・・・・・

恐れは果ての無い速度で闇に没する、

おのれの体か夢惑うばかりに!!!!


リアス・カーヴィナは数々の記憶が、

バッと暗がりに流れるのを見て、

畏れも大きくなる一方向に、考えは過去のこと、

未来のこと? 今のこと、

はたや誰の記憶かもわからない、


「死ぬ・・・とは」

自分の器を床に投げうつことにひとしく、

くだけちった、

リアス・カーヴィナの体は、

陶器の壷のように白く、儚く、鎧の一つも、

花びらのように散った。




「はっ!?」

長く続く階段をゆくと、道の先に待つだろう、

影が光と照らされて・・・・・・

繰り返しの中でよみがえった肉体をいかに、

扱うかも、竜騎士にはわからぬ、

「不死竜ディアングか!?」

『夢か現か、わからぬうちに死に至る、

 多くの人が歩む道はそれだ

 不滅のたましいを信じるなら』


死は夢のこととなり現は死に至るまで、

何度でも襲ってくる。

『友の名も、家の血もいかなものも、

 己の道によぎる時、引き換えす口実に

 しては死を想い旅を行く先を、その時を』

この体、あまりにも多くの力を受けて、

もはや竜騎士とその家の名、つけられた

おのれの名、負った竜の名、越えた土地の数、

すべて抱えきれもしない、

「気だけたしかに歩むしか」


まるで思い出はかすみのように、

戦いは迷路となって、

ありとあらゆる人の声が暗がりから語りかけ、

ぽっかり空いた穴は竜の口、

「はっ!?」


「死ぬ・・・のか」

あまりにも多くを敵に回したがために、

世界が抱える業の全てが竜となって、

自分の器をパンのように裂いた、

白い牙が誰のものかも今やわからぬ、

残されたものは、



「・・・・・・」

長く続く階段をゆくと、

道の先に待つだろう影が光と照らされて・・・・・・

≪これが不滅の肉体の定め≫

『不死竜の鱗をもてば死ねぬ』

リアス・カーヴィナは知らずと、

不死竜の鱗を胸にし、おのれの形を、

再生するたびに確実に、

人とも竜とも騎士とも、

あらゆる命から遠ざかって孤立すると、

おのれの時間を畏れた・・・・・・


「なら、どうだろう」

手にしたうろこは濃霧竜キヌの一枚うろこ、

おのれの心を影もやとあらゆる年月が、

かすみの肉体を通り抜けて体は霧、

いかなものも突き通すことはかなわない、


『あっはっはっはっはははああああ』

眼にした敵は!?

「やはり竜か!」

『スウィーテオタイム!甘く儚い

 人生を何度も何度も味わいな!』

霊竜スウィーテオはふたたび夢の中に、


リアス・カーヴィナをいざなおうと、

大きな口を開けて、きらめく体の中の時間へと誘うが、

「霧やかすみがくわれるものか!」

霧の中からすました瞳で一閃!!


『ふあ!!?そんなあ!?』

スウィーテオ、霧の竜一匹を夢か霊のある、

時から逃して、自らの一枚心臓竜麟を残して果てた。

「これが、霊竜スウィーテオのうろこ」


甘いお菓子は美味しいし、

紅茶も出て嬉しいが、

「はっ!?」


『ええ!肉体は仮初の姿です!クフッ!

 これからはいつでも一緒!!

 一緒にお食事しましょうね!!』

なんということか霊竜にとりつかれて、

すっかりドレス姿めかし込んでしまった。

「これをどうしろというのか?!」

夢とも思えるそのチカラ、


はためかせて階段を駆け上がると、

「もう星見塔の頂上か天の証を」

スウィーテオのせいでキヌのドレスで、

星を見送るとかそういうものか、

天の証に応えたものは、

鎧と光って青空に姿を現す、


「あれが天宮?」

遠くの空に見えたもの・・・・・・

近くには白く竜の古代遺跡か、

塚の場所も目にした、吹く風は・・・・・・

「これは・・・?」はばたき、

おおきな翼の飛ぶ姿は銀竜、


『なんだ?どこに落ちたのかとおもえば

 ・・・・・・ノアザミのたねか?』

「ヴェイン!私だ!!」キヌのドレスを

はためかせているもので・・・・・・

『まだ竜になっていないのか』

「おまえは!」

銀竜ヴェインの翼が目指す天宮は・・・・・・


『竜の気配もするな・・・・・・

 また殺して食べるか?』


グレクに行けと命じられたままに進み、

アルマゲスト姫救助はどこいく風か?

誰もが自らの思惑通りに動けぬ中、

姫の無事のみが気がかりともなる。

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竜騎士リアス・カーヴィナ ウゴカッタン @kak16kyou

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