古の竜騎士と黒竜ギゾート2

竜騎士たちの戦いの幕開けにいたドラクルは、

既に大帝の都まで進んでいたものの・・・・・・

かようなことがよぎる間もなく、

あまりにも進みすぎた先の大地に、

化け物の量はさほど多くはないとしても、

竜が燃える床に場所、至っては、

「炎の鱗で熱を避けることは出来ても、

 この熱量か!!」

未だ地底の底で、冷めやらぬ熱水の蒸気か、

「千年前から続いてのことか?」


いっこうに口を開かないグレク・カーヴィナに対し、

「試しているのか!?ならば!!」

呪いのうろこは一枚心臓竜麟、

ガブリクマタの力、

「このチカラ、想像したよりはやい!!」

感覚は研ぎ澄まされて、グレクの動きも、

「読める!か!」

リアス・カーヴィナ、一撃一撃は、

はやく薙ぎ払って、力押しを返すこともかなう、

「太刀筋は同格に・・・・・・いや

 二撃増して打ち込めるか!!」

身を宙にしても、不安は無く、

飛ぶも自由とグレクを打ち払う、


グレク・カーヴィナに与えた一撃の先、

ギゾートの牙が迫りくるを足でけって、

バパームに戻るという、体さばきは軽く!

「行ける!次で取る!」

ギゾートが寄せてくるも、こちらのバパーム、

引く手も強く、勢いは勝ったか、

「むっ?!」

熱水がふきだすのを受けて感じとり、

「これは・・・・・・」

熱水の谷、既に暑さ寒さを感じぬが、

「バパーム!?」

熱泉蒸気か水しぶきにやられゆだったか、

飛竜バパーム!

「ひどいものだ・・・このうろこ、

 正常な感覚ではない!!」


胸のうろこ引きはがすに力がいったが・・・・・・

「これは、ここまでの熱!!

 このようなところを飛んでいたのか!?」

忘れていた体の疲れがどっと湧き、

刃を掲げる手の痺れを知り、

「バパーム!滑空して抜けるぞ!!」


熱水の谷、抜けた先の風は、すずしく!!

「あれは・・・・・・」

遠景に白み、青空とともにある白蟻の蟻塚とも、

見える、巨大な建造物は・・・・・・

「竜王の古代遺跡か!あんなところに」

果てしなく戦って、この地もまた駆け抜けた。


ここはもう千年の時を感じさせる、

「光?砂??」熱水が、滝と注いだ先の岩場を

抜けると、砂の黄色く輝くさまも、

「乾いた風・・・・・・」

砂塵が目に染みる、

「まだ涼むことかなわぬということか!」

死の砂漠までやってきたもので、


飛竜は鳴き声枯れて「バパーム!」

ここで決さなければ息絶えるか・・・・・・

「すまない・・・・・・次の太刀でおさえる!」

ギゾートはその黒いウロコを砂漠を背景に、

ゆうゆうとはばたき、砂煙をまき散らす。


「これ以上!先延ばしにはさせぬ!」

バパーム力を振り絞って砂丘を飛んで、

ギゾートの元へ、

リアス・カーヴィナ、グレクに対して、

いかな技で攻めるのか?

「グレク・カーヴィナ!!」

星!


流星流れて一角と突く、リアス・カーヴィナの

一撃はグレクに迫り、

「とった!」とギゾート身を沈めて躱し、

グレクは一角のつらぬきを自らの刃で弾き!!

「しまった!」


リアス・カーヴィナ砂漠に転がり落ちた、

「なんということだ」

グレク・カーヴィナとギゾートは翼で砂を、

巻き上げ、姿勢ままならぬ竜騎士にぶつけ、

砂と埋没し、力ないままと、

今やバパームは教団の悪竜にとらわれて、

空を行く翼も無く、

砂漠に彷徨うことしか出来ぬ竜騎士、

ひとりに、

「無念」

ギゾートは相変わらずの力で、

グレク・カーヴィナととも飛び去った。


重い鎧と体を支えて、竜剣ひとつきひとつきに、

砂丘を越えて歩くしか他ならず、

「どこへ、とも、か」

生きてぬけられるかも分からぬ、

赤熱地獄、なんとも・・・・・・

翼亡き道のりは遠く、あまりにも広大な砂漠に、

取り残されて無力と――――――

今まで満ちていた自信も意気も熱砂に焼かれる。

竜騎士リアス・カーヴィナを

心配するものはいるのでしょうか?



遠く友を想うことも出来るか、

そこは東城フゴールの話、



「レティクス!!南へ行くのか!?」

「ロルッカ姫!!アルマゲスト姫も、

 リアス・カーヴィナも必ず無事に、

 帰れることでしょう」

「ブアッテ!

 レティクスを頼むぞ!」

東城から飛び去った竜騎士らを追って進むが、

――――――

「丘の民に助けを願ったはいいが、

 千年前の大戦以降、まともに歩ける道も、

 海岸線のみとは・・・・・・」

自由にはばたける飛竜が海ばかりを進む、

ともなく、陸の道の危険を、

「避けるしかないだろ、おれたちだしな」


遠く果てを馬上みつめることも出来るが、

「?」

開けた海岸線、

「あちらに旗と船があるようだが」

眼にした旗の紋様に、レティクス、

「キングウエスト・・・・・・西の王国連合、

 先発隊か? 派兵したっていうのか!?」


先にある船を見てとったレティクスより遠く、


渡り鳥に乗って見つめた先、

「まあ、次の船便に兵糧と人手を物資廻せば、

 陣立てには充分だろ?」

「これは!バニパラータどの助かりますな!」

「大帝には一筆書いておくさ、アンタも」

「うむ、この金は、この印で受け取るがよかろう、

 ほんによく働いてくれる」

「毎度」

――――――

「姐さん、武器を積載してさばかなくても

 よかったんですけね?」

「竜と戦うってんだよ??

 役に立つかい? 経験上」

「たしかに」

「お蔵入りになるようなモン抱え込んだら、

 それこそ目つけられる元だよ」

とはいえここまで、急に進むとは、

教団に落とし前をつけるにせキナくさいったら、

「あとは巻き上げ機、

 クレーン目一杯、竜が出るよ」


東入り後、争いの絶えぬ現状に、

正規軍を出す口実として、充分な、

きっかけを得たと、姫の所在と、

教団の悪竜使いの摘発に向けて、

王の艦隊は進む、ここが商機と、

ものを売る商人も、受け持つ港の建設も、

大戦に湧き立つ、人の群れに噂も絶えず、

南進した先にある竜王が遺跡の話も、

絶えないとあって、


一人砂漠に残された、

リアス・カーヴィナを、ただ、

時ばかりが同じくと日が照らす。

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