針骨竜ザシェイナと魔術師ドラクル

鋭い刃のひらめきが何度となく、

ザシェイナのうろこをはじくも、

「肉の無い竜がこれほど切りにくいとは!!

 うっ!!」

すかさず放たれる針の数!!

地に壁に、突き刺さるたび、竜騎士をかすめる、

『姫!姫!』

「なんとしつこいなんとまあみにくい竜だ!!」


ザシェイナのいきおいとどまることなく、

駆けあがり、塔の中を逃げる姫をらせん階段の

様につつみこむというのか・・・・・・その姿、

「よせ、針骨竜!」

リアス・カーヴィナの一撃もむなしく、

針のヒレに弾かれ・・・・・・

「ぐ、かくなるうえは!!」星の輝き!!


リアス・カーヴィナ星のうろこで飛び出して、

「一角!つらぬきの!!」勢いままに、

一角竜パズヌンタの一枚竜麟を胸に、

ザシェイナの尾をつらぬくが!!

「うわっ!!」

『おお姫よ!!どこに隠れられたのか!』

「わわわ……助けてくれー!!!」

姫の声も遠ざかる!!


天上に突き刺さったは一角の角、

「むーしくじったか!!」

走る姫は搭の裂け目より、ザシェイナの瞳を、

目の当たりにして、一層におびえてただ

頂上を目指して走り行った先は「げえっ!!」


「ロルッカ姫!!」

『シシシ!! 遂に胸中、懐中時計!カイロかな』

ザシェイナに姫を捕えられてしまった!

「ゆるさん!!針骨竜ザシェイナめ!」

一角のツノを苦心して抜くも難しとぶらさがり、

次の手を悔しく、


「口から入らせてもらった」

すっとドラクルがザシェイナの恍惚と開いたままの、

口に入り込んだ、

『くおっ!!まずい!まずい!これは!

 意識に男が入り込んだ! うえっぺっぺっぺぺ』

「あなたは・・・・・・そうだ鍵!」

「ロルッカ姫よ、よく見つけられたな」

『いや!いや!おのれ出すものか男め!!

 我が胸のうちが憎悪で焼き尽くしてくれる!!!』

「ザシェイナ!」

「なんだ?!」


搭にへばりつく針骨竜ザシェイナが上に、

振りかざされる太刀は「岩壁の!!」

落ちた大岩、一太刀に!!

針骨竜が頭蓋とととも搭へと叩きつけて、

『ぐぎゃあああああああ!!!!!!』

崩れる塔と、ザシェイナの体!!

威力確かに骨を潰して針骨竜のハートすらむき出しに、

地底湖のそこへと沈ませる!!

『ああ・・・・・・くやしや!!』

「やった!!というか、ぎゃあああ!!!」


ロルッカ姫が落下するのを抱きとめての

ドラクルは飛ぶものか、

「リアス・カーヴィナ!!

 針骨竜がとどめを!!

 鍵は手に入ったゆえに」

水柱をあげて落ちた搭の瓦礫の上、

「よし!!ザシェイナ!!」


「おのれおのれおのれおのれ!!」

骨と残骸と岩の太刀あわせて、

「むぎゃあああああああ!!!」

刃を叩きつければ一本残らず叩き潰した!!


「これが針骨竜ザシェイナの一枚うろこ、

 心臓竜麟か・・・・・・ドラクル?」


「ご苦労だったドラクルどの・・・・・・

 不死の秘宝の在処、教団に伝わる、

 この星のペンタグラムと、

 大帝の短刀があらば、向かうことたやすかろう

 ・・・・・・」

「イツァンどの、確かに受け取りました」


「バパーム!」竜の祭司が乗る悪竜を前に、

飛び来た飛竜バパームに乗り、

「裏切ったか!!ドラクル!」

「おっと大事な客人の手前だ、竜騎士には

 竜騎士が最適であろうな?」

「!?」

黒い飛竜!

「ドラクル!竜騎士を見殺しにするのか!?」

「ロルッカ姫は城にお返ししますが、

 イツァンどの竜騎士は我が戦友とも

 なります、どうか丁重に」

「はなせ!」

「あいわかった、心配なさるな、

 ・・・・・・すこし灸を据えてやるだけのこと」


「竜騎士ともあろうものが!!

 魂を売って振るう刃か!退け!」

リアス・カーヴィナの一撃も・・・

「なんだ!!竜で・・・・・・手練れている?」

「飛竜ギゾート、黒竜ともなる」

竜の祭司イツァンは得意げにそう言うと、

「与えたはちと過ぎたか?

 まあ、竜騎士の力など竜の差に他ならぬゆえに

 ・・・・・・アルマゲスト姫」

「リアス・カーヴィナ!!その竜騎士は!!」


「バパームでは押し切られる!?

 いや退くわけにはいかぬ!!黒竜!!

 断たせてもらう!」

ギゾートを操る竜騎士は・・・・・・

「なんだ!?たづなもとらずに!!」

手放しで太刀のみ振るう鬼のような振る舞いに、

「うわっ!!」片手で受けて立つもままならず、

バパームとも、宙を空転しながら、ようやっと、

外気に触れて外へ、「これほどまでとは!」


「ドラクル!!アルマゲストも竜騎士も、

 ほおっておいて薄情者!」

「ロルッカ姫、私はやとわれの身ですゆえ、

 騎士のような忠義はありませぬ、

 ガスドロームに捕まっていることです、

 まま、城まで連れて飛びましょうから」

ドラクルがガスドロームにロルッカを乗せて、

行かせ、大帝の元へ自らは引き戻したとあって、

「リアス・カーヴィナも組む相手を違えたな、

 アルマゲストは、教団の行く末を

 見届けるつもりか・・・・・・」

ロルッカは気も睡魔に虚ろとフゴール城に、


着いた時には、日の出前の静けさ、

「レティクス!!あのガス竜だ!」

「旗?あ、ロルッカ様を乗せて帰ったのか!?!」

東城フゴールは一時の安堵に包まれ、

寝息を立てる姫を起こさぬようにそっとむかえた、

夢の連なりか―――


「バパーム・・・・・・リアス・カーヴィナ??」

大帝の元へヴィチャームは連絡を終えて、

宿でルルクトととも休んでいたところに

「夢に出るほどか!ルルクト!行くよ!」

間に合う距離でもないが、夢にあっては、

近くも感じるか?

「おっと」


外野をよそに、

竜騎士と竜騎士は対峙していた。


「この竜騎士・・・・・・畏れも無いのか?」

ギゾートを乗りこなす様、尋常でなく、

「彼の名はグレク・カーヴィナ、

 訊いたことはあるだろう?」

「!?」

「リアス・カーヴィナ、

 代々継いだ竜騎士の家系その、

 はじまりの」

「ばかな、竜の大戦の頃より、

 変わらぬ姿で

 ・・・・・・今日まで?」

「千年だ、もはやその鎧、竜と同じく、

 ふふふ、お前の末の姿ともいえるやもな」


イツァンの語ること定かかは知れぬものの、

いかに対するか?


「舞台をうつそうか、千年前に相応しい場所へ、

 なあグレク?」

グレク・カーヴィナの操る黒竜ギゾートの勢い、

充分と――――――二人の竜騎士の

戦いは、遠方未だ見知らぬ地へ、


千年前より変わらぬ、遺跡の溢れる先の大地、

かつて覇権を争ってあふれるばかりの竜を今に、

送りだした、「竜王の古代遺跡」伝説は、

西の王国にも伝わり―――

未だ静まらぬ竜たちの、

怒りに人が、近寄れぬ場所と―――

この戦いの果てはいかに?

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