悪竜ガスドロームは教団の操るもの

竜騎士リアス・カーヴィナとアルマゲスト姫ら、

一行は大帝の港でバニパラータと別れ、

陸路を進むこととなった。


山城、テアリナ姫のいる、エデアク城へいくために、

竜騎士達は山道を大帝の配下から手配され、

海の旅から一転、陸へと話はうつる、

飛竜で進むに適した地形だが・・・・・・。


陸の龍ドンガリガッチョを用いて、

山城への道を進む、エデアク城とはいかな城、

だろうか?長年、防衛を続けて、

落とされることの無かった城となれば長い旅の、

話をまとめるにも、

―――日々の行程の中で疑問や迷いを捨てて、

進んできたと言えばそうなる故に、

「飛竜に乗れればラクでしょうか?」

「あれは乗りこなすのにも力が要りますから」

より大きな生きものほど扱いは難しい、といえど、

「緊急の際にはお助けしますよ」

陸を行く動物は比較して危険も少ないとあってか、

気楽、山道登り道、一同の休養は充分とはあっても、

さすがにこたえるものもあったか

「居ねむりか?ブアッテ」


ドラクルも山城に同行と「監視?だろうか」

「大帝も・・・・・・」

「わりに信頼してくれてるようだったけどね」

たしかに、彼は真面目とは思うが、影もある。

互いに素性を知らぬうちにその内実を、

決めつけるのも避けたいが、

ドラクルの目的を知っておきたいところだ。

「ドラクル・・・・・・」寝ている。


山城に至ったころには日も赤くさす頃か、

赤いレンガの山城も一層彩りを、

「遠き所まで、大変でしたでしょう?

 東国一の鉄壁の守りです!!!

 アルマゲスト姫も、ささ、どうか、ごゆるりと、

 紹介しましょう」

山城をおさめる王はこういって、

「娘のテアリナです、我が城の姫と西国は

 ジェイディアの姫!!

 このような日が来ますとは・・・

 大帝陛下のはからい痛み入ります・・・して?」

背の高いドラクルのほうをみやるエデアク王、

「名はドラクル、陛下のお傍で魔術の指南を」

「おお!そなたがドラクルどのか!

 お噂はかねがね・・・・・・竜騎士どのに格別の

 もてなしを披露したとか!!」

テアリナ姫もドラクルをみやると、

「ドラクル、ですか、ごゆるりと

 ・・・・・・どこかで訊いたことのあるような?」

「これテアリナ、

 まあ、積もる話は、席につかれてからでも」

――――――各自別室を与えられ、

その夜を終えることとなったが、

アルマゲストとテアリナ姫はテアリナの部屋で、

調べものだという、

「警戒はするが、大丈夫だろうか姫は」


「ドラキュラ」

古の時代に城をおさめていた領主が、戦いに、

敗れた後に、吸血鬼として、ひとつ先の時代に、

蘇り、紳士、淑女を怖れさせ、闇の帝王とも、

なろうとしたという怪奇伝承、

領主の名にドラゴンを意味するドラクルが、

入っており、エデアク城とも、遠縁と言える、

らしいけれど、


「もう夜も深いわね、テアリナ様?」

「ええ、そろそろ就寝時間かしら?

 召使が消灯にまわるはずだけれど」


夜の影はすっとしみいるようかは知れぬもの、

兜も鎧も刃より一層、自らを縛るものに変わったか、

悩みも尽きぬ、「ヴィチャーム」

「君もさ少し休んだら?」


毎日を戦いに過ごしていると忘れるが、

人の一生にある種々の機会や友との時間などは、

「竜騎士として接するのは竜くらいにしてさ」

「ヴィチャーム分かってほしいのだが」

決して、好き好んで鎧を着ているわけではない、

鎧は竜の体に擬態する術、竜の呪いから、

竜の争いに切り替えて呪いを欺くためのもの、

「もし、この鎧を自らとしなくなれば、

 たちまち呪いにやられて

 目も当てられぬ非業の」

「死を遂げる、リアス・カーヴィナ

 鎧だけが呪いを遠ざける術ではないんだよ」

「――――――竜の骸の中で暮らせと?」

「竜使いは竜を育てることで呪いから免罪される」

・・・・・・と?

キィャァーーとつんざく「悲鳴?姫の!?」


2人は急ぎ駆けつけると、


「ドラクル!!」

「アルマゲスト様は無事だ」

「リアス! 大きな竜が一団を引き連れて、

 テアリナ姫をさらって行ったの!」

「竜となれば、このニオイ?ガスか?バパーム!

 このニオイを追うぞ!」

飛竜ひと鳴きの背に乗る竜騎士、

「と・・・・・・ドラクル?」

空飛ぶドラクルの影もついてきた、


「ドラクルは姫の心配を?」

飛ぶ最中、夜の強行軍となる2人、

「よそ見はするな、ガスが濃くなったようだ」

暗い夜の世界に一層、影色濃くあるは悪竜、

その名をガスドローム、影は二つ。

「どちらかに姫が?」


「二手と別れるか!!」ガスドローム相手にし、

片方を竜騎士がパッと刃で裂けば・・・・・・

「こちらではない、とはわかったが!」

「ドラクル!」

「いきおいが違うな、雲に紛れたか!!追うぞ!」

ドラクルの黒い翼は速く、


雲を突き抜けた先、ニオイばかりを頼りと開けた、

谷あいに、「あれは!?」岩棚にぽっかりと口の

ように開いた洞窟があって、「この形、広さは」

ガスドロームが隠れ潜むに十分と、

「あの暗がり、灯りも見えたな!!」


ところ変わって、エデアク城


「ヴィチャームは?」

エデアク城の警戒態勢と裏腹、

アルマゲスト姫とレティクスは竜騎士の留守をただ、

「姫さま、あとを追うらしいけど、

 場所の検討がついたら引き戻ってくるそうで」

「そう・・・・・・レティクス」

「追うことも出来ないのは残念ですが」

「竜があるものの術ですものね・・・・・・」

「お守りします」姫と騎士、

城の守りは十分か?


そしてリアス・カーヴィナとドラクルは、


「教団の根城としては人の出入りも難しい・・・・・・

 崇拝や信仰の場だろうか?」

「奥へ行くか?」

「バパーム! 外で待ってろ!」闇も深くとなれば、

仕方のないことでもあるが、いつどこから、

敵の手が迫るかも、分からない、

「ドラクルは・・・・・・戦えるのか?」

「しっ」

飛び出たはガスドローム!!


灯りが照らし出したその影、

ガスドロームは、

四つの風船のような足を持った悪竜だとしれた、


「手間はとらせない、てや!!」

リアス・カーヴィナ一太刀ままに教団の悪竜は、

二分とされ絶えた、

「教団のものは!いないのか!?」

奥へ、奥へと深まるばかりの洞窟、

「教団はどうやら、我らをここへ連れ出すことが

 目的であったようだが」

「この場所・・・・・・とても古い、古代の?」と奥から、

「ふふふ」

「笑い声?誰か!?」

「ふふふふふふ」

「その声・・・・・・テアリナ姫?」


「ええ、ようこそ、呪詛竜ガブリクマタの祭り場へ、

 お待ちしていましたわ」

「ガブリ、クマタ?」

石で出来たような部分部分を組み合わせて、

背丈を覆う瓦ウロコを持つ竜、一枚一枚に、

「呪詛か!きをつけろ!

 呪いを受ければ思うように動けぬぞ!」

とドラクルが一声を発したとともに、


ガブリクマタ!口の隙間から、あふれだした呪詛の

息が辺りに広がり、地面に血文字がばらまかれる。

「これは!踏んだら!?」

ドラクルは!?あえて足で踏む!「ドラクル!!」

「グオオ、呪詛返しの術が無くば、動きが

 封じられるぞ!リアス・カーヴィナ!

 おぬしは踏んではならん!ムンッ!」

長い呪詛の息を払って足早くかけるドラクルを

横目に、

「ガブリクマタは

積年の恨みつらみの溜まった憎悪の塊!

切り策も突くも呪いの倍返し!」

「くー卑怯な!!教団め!

 姫を手管と操るとはおのれ!!」

今やガブリクマタに魅入られ、

その威光を口にするテアリナ姫、


うろこ一枚一枚はがそうと、太刀をあてるたび、

「うろこ自体からあらゆる呪いが、地に広がり、踏めぬ」

場に足を取られて、攻めあぐねる、

「うろこが大元ではない?

 気をつけろ、呪詛に足を取られれば、

 私が手づから引き上げよう」とドラクル。


姫と竜の呪い言葉が響く、

「ガブリクマタと」「テアリナは共鳴しているのか?」

相手が二手に分かれてのことと、

呪詛の実体が姫と竜の間を、行き交う糸として、

とらえることが出来るものならば!

「ドラクル!」

「竜騎士はまま戦い続けて機会を!」

絶え間なく呪詛の息を躱しながら間合いをはかる。


呪詛竜の影にさっと竜騎士は入ると、

呪詛竜が転じて動く、転じたその身体に刃を通せば、

吹き出す呪詛があたりに散らばり、その度に、

一歩退いて、また影に入る

――――――

「足場が無くなるまでか!廻れ!呪詛竜!」


呪詛竜ガブリクマタとの一進一退の攻防が続く!

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