ブロクンダワームと巫女

竜騎士リアス・カーヴィナは、

ドラゴン、イオラルヴァとサンザクパラゲ、

前景にある海竜シィバニック三体の戦い、

竜のチカラを使い続ける。

自らに課せられた竜の呪い、重荷をより一層、

つよく船旅に錆びついてしまうのか?


船旅は長い、幾日が過ぎたことだろうか、


レティクスは彼女の戦いを

「連戦を越えて、より、鋭く、お見事でした!」

とたたえるが、鎧のままたたずむ竜騎士は、

「ああ」と振りかえるそぶりもなく、

「ちょっとちょっと」船主バニパラータ、

「飲料水、おたくの飛竜飲みすぎみたいだね」

「飲料水とってきてくれない??

 タルはあるんだからね」

「!?」

「出来るだろ?」

バニパラータは後続の隊列を振りかぶっての、

ものいい、すでに出来上がっているようで、

「無茶をいう!」ヴィチャームは即答し―――

竜騎士の疲れを憂うばかりだが、

「昼飯に臭い水ばかりは嫌かろうね?

 アンタのやった竜を積んでやっても要るんだ

 悪竜?? 港まではもたせてよね」

竜騎士はバニパラータに向きなおすと、

「わかった」と手を、


リアス・カーヴィナ、北風竜のうろこ一枚を

胴にし、飛竜バパームととも空へ!!

「よくやるよ、手伝えることは!?」

ヴィチャームの声に竜騎士は、

「空き樽を用意して待ってて」

その声は暗さも晴れる天、日和と北風で、

雲を追い落とす大活躍!!


雲の塊を北風竜の風車でかき集めてしまえば、

大量の水の塊のできあがり!


どぱーん!とタルに一杯の水をたたきこむと、

「島が見えたか?」の声をバニパラータこたえて

「オロチ島だ!!」アルマゲストはそれを耳にして、

「オロチ?ここより外海の話では?」の疑問符に、

おこたえして、

「最近、巫女だのがオロチをな、崇めだして、

 オロチ島だなんて船乗りは怖れて言うのさ」

ただ竜騎士リアス・カーヴィナは、

己の役目、確かに感じ取って、

「オロチが竜なら先鋒行かせてもらう!」

矢のように、オロチ島へ飛竜、かっきって

飛んでいく――――――

船主もこれには、

「オロチの首たりるかな・・・船もか」


オロチ島――――――巫女が伝承を口伝えに、

ただそれだけでこの名をしたか?

「竜騎士」人々は飛竜を迎え入れて、その

降りたつ様に歓声をあげたが、

「お噂はかねがね、竜騎士さま」と

「私の名は巫女のラプロー」そう言い、

巫女当人か「ささ、ここではなんです」などと

もてなす準備をし始めた。


「私の名はリアス・カーヴィナ」

「リアス様、日も暮れて夜遅くなるばかりです、

 お休みになられては?」

巫女のさそいもうけてのことか、

気も紛れるが、

「船の方々は港の宿を手配して

 おりますゆえ、後続の方のご心配は

 無用のことですわ」

丁寧な応待に、

「ありがとう」

リアス・カーヴィナも久々の陸にゆっくりと―――


「―――リアス様」夜明けも間近か??

外の青さもまだ見えぬ時間帯に、

「鎧と刃のご準備を」巫女の名はラプロー、

宴の席でそう名乗ったか、思いだし、

「ラプロー」と出した声を制した手は、

「悪竜がおります

 そっとわたしと来てください」

――――――案内された地はいやに、


「開けた場だな、ラプロー、ここは一体?」

ラプローの姿は・・・・・・高台、

それ見上げた竜騎士に、

「ここは試練のすり鉢・・・

 ブロクンダワームの巣ですわ・・・・・・

 リアス様」

その声ことだまと掻き消えて、巫女がすっと

暗がりに引き下がったかとおもえば、

ズズン、と砂ぼこり!!!


ようやく青みがかった空に

ブロクンダワームの黒い影が大音たてて、

迫りくる!!

「これは!!古来より変わらぬ姿で生きる竜か!」

と「なれば!」

竜騎士リアス・カーヴィナ、その刃の試しと、

竜の鱗を使わぬ決意を、この戦い、

一戦をかけて運命を占う―――


ブロクンダワームの動きを前に、刃は通らず、

見やる限りを突いて切っても、鱗はかたく、

弾かれ、その開けた口の三つ牙が迫る、

ギシャー!!

「はやいな!!力もある、このまま、いけるか?」

かまえをあらためた時、その動きに沿い、

素早く動くブロクンダワームの表面を最も固く、

切れ味するどい、竜剣の切っ先!!

かっと切り裂いてパッと血しぶき手ごたえを知る。

「よしっ!」

と相手の力をにぎる持ち手で確かめて構える。


身悶えして、パッと走った悪竜、古来より生きた、

そのうろこ、古生悪竜ブロクンダワーム、

その尾っぽで強く地をはじくと、

飛びかかる巨体が、

近づいて視界を埋める!!

ブロロロロロロ!!!

その重さをなでて、切るように「竜殺剣!」


ブロクンダワーム二分にされ、その身体が、

すり鉢底にどっと巨体しずめば泉も湧くか、

かくてここに悪竜から出でた泉のひとつが、

生まれたわけである。

「む、このうろこには?」――――――

教団の紋様がひとつ記されて描かれてある。

「怪しいな」去った巫女、

ラプローを追って急ぐリアス・カーヴィナは、

宿まで引き返した「リアスか!!」


「ブアッテか!他の皆は??」

人影も確認できぬ夜明け前――――――

「みんな連れて行かれちまった

 なにやら高台の方で人を集めて、

 イケニエ、だとよ」

「危ういな!バパーム!」

飛竜バパームを呼ぶとすぐさま。


翻しての移動、なにやら、人影と建物が、

「あれか」

「おお、ヤマタカブリク、竜の鱗を数多に背負い、

 今こそ竜の祭司の求める力を!!」

 巨大な悪竜式が開かれている。


「なんてザマだああ」落胆する船主バニパラータ、

含め、三名のイケニエはレティクス、

バニパラータ、ヴィチャーム、

姫は巫女に詰め寄ってのものいい、

「教団の方々がなぜこのような野蛮な

 儀式を島に伝えるものでしょうか!」

唱える言葉、入り乱れたところに・・・

飛竜バパームの鳴き声ひとつと、


竜騎士リアス・カーヴィナの登場!!

「間に合ったか!」

「レティクス、バニパラータ、ヴィチャーム!」

騎士と船主と竜使いを縄からとくと、

巫女は、

「とくとみよ!!ヤマタカブリクのそん姿!」


奥にある谷底から這い出た首はひとつ?

いや、ふたつ!みっつ!よっつ!いつつ!

むっつ!ななつの首!!「これは!!なんと」

それぞれの首が別の意志を持って、

思惑を持って、うごめくもので戦うも難しい!


「振り回すのが七つ首ならば!!!」

竜騎士は七つの鱗を掲げ、

七つ首のヤマタカブリクに挑む!!

手早く、次の鱗に着替えるための所作振舞い

「てやっ!!」と

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