火炎竜イオラルヴァ


暗がりより声もする―――「よくも、竜に頼りきり、

好きにして、情けも、みっともない」

「水竜!!ミヌァンテオ?」

「忘れるな、なにものも、お前に力を貸す理由も

 ないということを、」

岩壁竜の―――心臓竜麟一枚牙ではぎ取ってやると、

竜騎士に渡し去っていく、

「ミヌァンテオ!」

「どの竜もお前に倒されたとは考えず、未だ

 おのがまま生きようとしているのだ」

「忘れないこと」

「忘れれば同じことを」

忘れるな、



「――――――リアス・カーヴィナ!!」

「むっ?ここは――――――」

「気が付いたか!無事で何より」

「海底におちた岩壁竜サンザクパラゲの上にあって、

 それをブアッテが縄でふんじばって、

 船上の巻き上げ機でつりあげたんだよ!!」

「とはいえ・・・・・・よく息が続いたもんだ」

「ヴィチャーム、バニパラータと姫は?」

「火山島の島民と話をつけに行ったよ、

 仲間引き連れて、さ」


「リアス!!」レティクスとともに第一声、

帰ってきた一団と話をするに・・・・・・

「あのサンザクパラゲが倒されたことで

 入り江が開けたと」

「まあ、そんなところ!!これからは船も

 入りやすくなったが、竜は沈んだけどね」

「といっても船主どのは、あとの船団に命じて、

 引き上げる準備を――――――」

「レティクス!!それよりも、もうひとつ

 噂があってね、火山島―――と名があるだけ

 あって、」・・・・・・竜騎士は、

これを立ちあがって訊き。


「火炎竜イオラルヴァってやつがいるらしいのだけど、

最近どうもあばれてるらしくってね、

よそものが入ってきたからだ、とか」

「ヴィチャーム急ぎ準備を」

「おいおい・・・・・・無茶だろう?」

飛竜バパームに乗ると休む間もなく、

「あー!!!リアス・カーヴィナ!!」

アルマゲスト姫は島民からの話を何か聞きだしたとか、

というところで、バパームは、風を巻き上げ、

飛んでいく、


竜騎士は己の力を再び試すために、竜のチカラを、

うまく引き出すために、天をかけて、

火炎竜イオラルヴァのもとへ飛んでいく、

「火口に位置するとの話だが・・・・・・!?」


炎!炎!火口が口を開きものをいう、

『―――竜騎士かサンザクパラゲの一戦、無様なものだな!』

「火炎竜イオラルヴァ!長生であるあなたに――訊きたいあ!

 なぜ水竜ミヌァンテオはわたしを助けたのか!?」


『簡単な話だ』


『臆病者の心に、臆病者が集って人間が、

 群れなしたと同じく――――――』

イオラルヴァ姿を現して火口の炎ととも、

『お前のもと集った竜も弱い己の心を省みず!!

 強者の長き一生を畏れた故に!!』


イオラルヴァの火を吹くさま躱し、

岩壁竜のうろこを一枚洞にすると、

「火山島の門番を長くなした、岩壁竜を前にしても!!

 なお、おのれひとりで―――――――生きていたと?」

『ふざけるな!!』

炎が竜騎士を包むが、岩の一太刀が火口をうがてば、

落石いくつもがマグマ溶岩の上にあって、足場と広がる。

『竜を狩って、竜を模し、竜を喰らって

 成り変わる愚か者め!』


『竜騎士ども幾人がこの火口に落ちていったか!

 その眼でとくとみるがいい!!』

足場をうがった石の柱で、イオラルヴァの炎と、

マグマかわすが、

『こしゃくな!!』一太刀一太刀は火炎竜の体に、

響き炎の色を弱めるが――――――

「際限ない火力が!!火山より引き受けた力か!」

『なにを!!わが力だ!!みるがいい!!』

 マグマ吹き出して、火口も崩れる!!


「―――ならば!!」竜騎士は岩をうがつその太刀で、

火口よりいっそう切り壊して崩す!

『逃げるか!?』マグマの滝を石の船で、

岩石の塊をもってして下る、吹き出す溶岩、

とどまることなく「噴火か!」


急流マグマくだりとなっては!

「火炎竜イオラルヴァ!!火口のマグマもそん身と

 誇ってみせないのか!?」

『言わせておけば!焼焦げてしまえ!竜騎士!』


火山が爆発すれば、火炎竜といえど生きられぬと、

焦ったか急流、『ぐぬ!貴様!?』

「臆していたは火炎竜も同じ!!」

リアス・カーヴィナ、大岩を蹴って高く飛ぶ!!


『水か!海と!おのれ!』リアスカーヴィナ、

岩の鎧で、深く沈むとすぐさま海竜のうろこ一枚に、

取り替えて、転身する!

「水底深くから大渦をなして!今一度!」

刃を船のように大渦を駆けること、

海竜シィバニックの流れをその鎧と一体にし、

火炎竜イオラルヴァを追いつめる!

『この水!この波!』

「水は怖いとみえた!今一太刀!!」


イオラルヴァ炎を吹くもむなしく、最後のひと吹きを、

終えて・・・・・・『これまでか!!』竜騎士の、

海月刀一振りでどどーっと血を流して沈みゆく、

胸に一枚、火炎竜麟一枚をとったとき、竜騎士に、

残った心は、「慢心・・・・・・こんな戦い方では」

と火炎竜、最後のひと鳴きに、

『ははは!!そのうろこ

 胸にして憤怒に燃えて死ぬがいい!!』


リアス・カーヴィナの勝利むなしく、火山島のマグマが、

あとは、わざわいに他ならず、

「―――島に争いを持ち込んだとき・・・

 山は崩れるとの話です」

姫につげられるも、ひとり鎧とたたずむのみに、


リアス・カーヴィナを見守るも、少年騎士は、

なんと声をかけるか思い浮かぶものではなく、

「竜を引き上げたらズらかるよ―――

 長居したってロクなことにゃならない」

マグマがおさまるころには今日の出来事も、

冷え固まるか、

「アンタが悪竜かなんかにとりつかれてるんじゃ

 ないかって、助けてくれたシャーマンは

 言ってたよ」


うろこを重ねては、悪竜となにも変わらじか。

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