悪竜アワドバブルと船主バニパラータ


「くそ、おぼえていろリアス・カーヴィナ!」

悪竜使いを逃してしまった。

ヴィチャームとリアス・カーヴィナは、

復旧に忙しいジェイディア城をよそに、

賊をけしかけたものの居場所を突きとめるべく、

港まで調査に出かけることとなった。


港は万人に開かれている、ここだけは、

軍も商人に従わざるを得ない、

豪商、金持ち、土地持ちが、船持ちが、

商家とかけあがるも遠くないか、

「ヴィチャーム、潮風だ」

「おっ潮風に、バパームもおどるかな?」

「クェクェ」


竜騎士はヴィチャームに問う、

「港町に行くとして、アテはあるのか??」と、

「ツテも無いが!なにせ空と海では

 おりあいがつかないな」

「訊き込みこの格好で避けられなければよいが」

騎士も竜騎士となれば、どう接せられるかも、

分からず、気付いた時には船が見えるほどに、

湾岸を突き進んでいた。

「!?」


ドッ!!!


「捕鯨モリ!!砲をこちらにむけるのか!?」


ドッ!!!


「海に向かわない、空へ向けて!?船からか!」

船から鈍い音が聞こえる、

「でかいカモメだな!!カジキを狙ってきたのか

 生け捕りにしてやる!!」

漁夫か水夫の大声に気圧される両名。


「竜使いか!竜騎士連れて何の様だい!!」

更なる大声をあげたは大女は、何者か?

声に応えると、

「竜のうわさでもとね!!もっともこっちが、

 とられてしまいそうだが」

「なるほど、陸に降りといでよ、カモメじゃ、

 腹の足しにもならないからね」

「?彼女が船主なのか」

ヴィチャームとリアスは警戒しながら、

港に飛竜で降りた。

「おーすまないね荷主がうるさくってね、

 よそから人が出入りすると困るだか、

 ごうつくばりどもだ!!」荷をバンと叩く、

港では荷主のほうが竜騎士より優先されるのか、

「ここ港領の騎士団の管轄には?」

「ああ、あいつらの紋章もあったか・・・・・・

 あいつらの荷につけてあるあれね、

 金払いが悪いったら」

荷を眼でやって、大女は気だるそうにした。

「で、本題だが、乗せるのは人?それ?モノ?」


「あいにく情報が先んじて必要でね、

 船にこの印の荷なり、モノなり積んだ覚えは、

 ・・・・・・?」

竜使いヴィチャームの訊ねに、

「こいつ、ゲー、前の船で出たっけね、で

 代金だが何払う?竜を貰ってもいいのかい?」

バパームとルルクトのことか、!?

「質にも貸す気もないよ、縄も網も解いてほしい

 けどな」

「やーよ!見世物小屋始めたいし、

 そっちの騎士の演武もセットでどう?」

「―――降りるんじゃなかったなヴィチャーム」

船主の雇われ水夫か、影がこちらをうかがう、

「その声、女か、確か竜騎士と言ったら、

 リアス・カーヴィナだって情報筋があったね、

 ・・・・・・ずいぶんともうけたらしいね

 竜全部とは言わない、船がさ、大型船二隻、

 船員込みで変えるくらい欲しいなって」


「断る」竜剣(竜騎士槍)をヤリと持ち手ふるうと、

パッと水夫も避けていくが・・・・・・、

「お友達は、どうしようかね」「リアス」

ヴィチャームの様子を見やり、危うさを感じ取る、

「船主がおいはぎまがいとは堕ちたものだ」と

竜剣をさげて背に、

「そういうなって、私だって

運河が使えてりゃなにもこんな印の

入った荷、運ばなくてももっとやすく、

新造船を買い叩けるんだが」

すっと大女は向き直ると、

「ささっ私の店へ、私の名前の店だよ」

バニパラータの酒場に通された。


酒樽をテーブルにして話し込むに、

「運河?」

船を移動させるための人口の水路があるとの話、

「造船所のドッグからこのひかれてる水路の

 ことか?」

竜使いとリアスは地図を指差し訊ねる。

「あっこは作った奴の権利関係がうるさいんだが

 、ね、また」

「――――――ここだけの話だが、

 教団のやからが、金にもの言わせて、

 悪竜だのまで呼び込んで・・・地下礼拝所?

 カタコンベ?っての?御法度だろ?

 騎士団の皆さんにゃあ!」と気のいいもので

昼食の皿が運ばれてきた。

「悪竜一頭で手を打とう、雇われ兵は

 御免こうむりたいが」

恐らく、教団が悪竜のチカラでこの港を、

脅しているという話なのかもしれない、

竜騎士の疲れた素振りに、

「安心しなよ、アンタにゃ竜との試合しか、

 オッズが、いや掛け金がつかないからね」

「やれ興行試合だとは・・・・・・」

ため息交じりの昼食に、

「せっかくの料理、タダ食いはないだろ?」

「・・・・・・」





ところ変わって・・・・・・


ジェイディア城の復旧はどうであろうか?

「騎士か?!止まれ、どこのものか!?」

ジェイディアの領土ではこのような調子が、

続くのか?

「グウィヌアの紋に見覚えは?」

少年騎士レティクスは続けざま、

「ジェイディアに竜騎士どのは?」

「今は入れぬ・・・・・・港にいる竜騎士どのには?」

「いや、やめておけ、他の家のものまで―――」

なんだろうか?

ジェイディアは様子が悪いのか?

騎士レティクスは、港の方へ馬を走らせることに

したが・・・・・・!!

「おい従者はいらないか!?」などとの

口振りに、馬に追いつかんという走りをした。

「おれはブアッテ、ジェイディアの偉丈夫!!

 走ってでもついて行くぜ!!」

!?

「ジェイディアから!?事情を知りたい」

馬の歩を緩めて、レティクスはブアッテに向き直る。

はたしていかな話なのか?





「歩きも、はねてまわるも、走るも、

 この鎧と竜剣では目立つものだが、なんとか」

運河にある竜騎士、人の影なにやら、まばらで、

騎士がひとり歩く風景もつらくあるが、

「まあよいか、この水路が地下水道になっていると?」


音響く、地下水道も、入ってのち深く進めば、

灯火もまばらに、あり、

「人がいるのはまちがいないか・・・・・・?」

奥に開けた、人影か?「む?」

悪竜式!?イケニエは竜騎士と!?「ワナか!?」

暗く開けた礼拝所から飛び出したは!?


船を両側に二つ置いたように、

とぐろを巻いた、水上を走る悪竜!

悪竜アワドバブル!!

「悪竜使いもおらぬところで暴れれば、

 どうなるかもしれぬぞ!!」

ふくらむアワと、その鱗の数は――――――

「一度、運河まで!!?ええい!!!」急いでの、


水路の水を突沸させたかごとく押し出してくる、

大水!!

「水竜ミヌァンテオ!水底からチカラを!!」

水龍の心臓竜麟一枚を一つ洞にし、だっと、

運河に泳ぎでたがその姿、青き鱗をした竜騎士、

「この悪竜は水に浮く浮き島か!?なら!!」

水面下から突いて通す、一撃、二撃、はねて、

うごく、アワドバブルが噴き出すあぶく、

「――――――妨げを!!なんの!!」

手早く刃、水車と回せば、これは速い!!

「この悪竜、想像よりも」


刃で水を切りすすむ竜騎士は勢いづいて、

「早く泳ぐ!なら!この水車で!!

 水を切って進めば!!」

水路を走るアワドバブルは体当たりをするたび、

運河の浮きや、いかだ、小船は押しつぶされて、

グシャ――――――!!!! 近くの住民

「うわ!!なんだこいつは!!」と畏れおののく、

「これ以上の暴走はゆるさぬ!!」

アワドバブル、今や水上をひた走る、

巨大な島となって、波しぶきを運河に!!

材木置き場か、建造船に迫る―――

勢い抑えることを知らぬ・・・・・・が、

「は!!!」

水龍を身にまといし竜騎士が水車が浮き島は、

悪竜、アワドバブルの上を!!!


走ってかっきり、白い泡を吹きだしてしぼむ、

アワドバブル・・・・・・うろこは??

まだ!!まだも泡を吹きだして、走るが、

「でやい!!」

竜騎士が、

水路の水を刃を水車として巻き上げた渦潮は、

水柱ととも竜巻となって!!!


「北風竜の風切刃を受けよ!!」

港に開けた材木置き場の空き地にドガンと、

アワドバブル悪竜を叩きつけて!!

「とった!!」

そん首天頂よりの刃一振りで!!ジャキ!!!


竜騎士の剣も炸裂とあれば、アワドバブル、

シュウシュウと蒸発する泡を血と吹き出して、

残すはうろこと皮目を支える強固な骨、と、

ゼラチン質もタルに詰められるが

「どれ・・・・・・いい数だね、ざっと目方は」

女船主バニパラータ算盤弾いて、


「なかなかのトン数じゃないか、これだけ、

 悪竜鱗銭あれば、船をだしてやるには充分な、

 額だよ! いや! ご苦労!」

水夫はどっとつめよせ

「勝たせてもらったぜ!!」「よくやるよな!」

「よっ姐さん!!」 などと賭け事を?

「酒はサービスさせてもらうよ、いい

 一番勝負だった・・・・・・ね、いやあ」

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