悪竜使いの噂あるところに

「すこし情報収集がしたい、

 しばらく話を訊いて廻っていてもいいかな?」

「あいよ、大丈夫です、晩まではここで、

 荷物の整理をする予定ですから」

竜騎士リアス・カーヴィナは、

飛竜バパームの面倒を馭者に頼むと、


大市場が開かれている街の酒場まで行った。

「おっ例の竜騎士様のお通りだよ!!」

「よっお姉さま!」「勝利の一杯といきますか?」

「悪竜に関してのうわさをききたいのだが」

「悪竜ですかい、その話っていうと」

酒場の店主が眼でやった先にいる男が物静かに、

語りだした。「悪竜が育つところに悪竜使いあり」


「?」

「そんな風の噂を訊きつけましてね、

 色々調べてまわったところによりますと、

 どうも悪竜を育てて各地にばら撒いてる、

 輩がいるらしいんでさあ」

迷惑なはなしですが、竜の一匹は一国一城にも匹敵する、

宝となり得るとかで、それが目当てで悪竜を、

作りだし一攫千金を狙ってるとかの話でして、

「昔みたいに竜騎士様がそんなに居ないご時世に、

 突拍子も無く悪竜に出られちゃ、商売あがったりで、

 竜騎士様には本当に助けられてます」

「いや、礼などはよいが」

「あのトカゲ男のことも調べますかい?」

「ああ、それをしてくれるとありがたい」

リアス・カーヴィナは宝石を一粒男に放ると、

ぴたっとキャッチした男。

「ではまたの機会にってので、

 出会いはこの宝石でしめし合わせましょう」


店を出ると、

「どうも胸騒ぎがする、

 悪竜の息遣いが感じられるような、

 近くこれは出るかもしれないな」

リアス・カーヴィナは急ぎバパームの元へ、

「バパーム! 悪竜があれだけとは、

 限らない! 急ぎ飛び立って辺りを、

 探してやろうぞ!」

「クエエエエ」

「あ、竜騎士様!? よろしいんですか!?」

「ああ、何かと世話になったな馭者よ、

 だがこれは竜騎士の宿命、

 竜あるところに赴かねばならない!」

「リアス・カーヴィナ様!」

手早く兜、鎧、具足を一式装備し直すと、

飛竜バパームにまたがり、天高く舞い上がった!

「行ってしまわれた」


飛竜を駆り飛ぶ先、

前あった悪竜モシェイドとの戦いの場、

そこに悪竜の痕跡は無いかと、

悪竜の這い移動したとみられる痕跡を

深く、森の中まで追っていくと、

「これは?」

木々が折れて曲がっている部分が、

留めてあり、人が煮たきなどをした痕跡が見当たる。

「なんだろう、バパーム警戒して降りるぞ!」

「クェクェ!!」


翼を広げて、体を制止し、何あおぎかして降りると、

そこにあったのは怪しげな儀式のあとか?

「これは、なんだろう、何か式をあげたのか? ん?」

一風怪しげな紋章が辺りにいくつか点在し、

竜騎士自身もこれを見たことがあるような気もしたが、

と、その時「!?」投げられた棒きれがこちらを襲う、

「しまった! 小鬼どもの巣かここは!?」

木の枝を伝って無数の小鬼の影が、こちらを嘲るように、

石つぶてや棒を投げて、よこすと危うく、

「バパーム、ここを急ぎ去らねば!」

バパームは興奮して、群れを成して、

襲ってくる小鬼を躱しきれない、

「くっ、あまり戦いたくない相手だがやるしかないのか!」

身構え、竜騎士は臨戦態勢を取ると、

相手の数は木の影になって幾百と知れず、

(体力はもつだろうか!?)


ビィン!ヴィン!ヴィン!ヴィン!ヴィン!ヴィン!ヴィン!

と、突如として大きな音が揃ってなり始めた。

ビィン!ヴィン!ヴィン!ヴィン!ヴィン!ヴィン!ヴィン!


音に驚いた小鬼は散り散りになって逃げ、四散した。

「助かった、のか?」

弓を携えた一団に取り囲まれていることに気付いたリアス。


「侵入者かな?とおもったが、竜を従えているな」

「さしずめ竜騎士さまといった身の整えですわ」

「わたしは竜騎士リアス・カーヴィナ、あなたたちは一体?」

「おっと我々はここの森の民だよ」「森の」

「ええ、普段は人から隠れて暮らしているけど今日は特別」

「どうもここ最近、ここいらで人の出入りがあったみたいで、

 見に入ってきてみたら、君だよ、一体どうしたんだね?」

「それは悪竜退治の話をすることになりますが」

「おっと、移動しながら話そうか、ここは危ない、

 私は森の民のピテットというものさ」

「ピテット、よろしく」

竜騎士リアス・カーヴィナはひとまず、

彼らと行動を共にすることにした。

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