第9話

次の朝になった。目を開けると朝日が見える。今日も生き残れた。

いつ死ぬかわからない今、生きていることに感謝するようになった。

樹希を起こし、食堂へと向かう。昨日よりも遅く起きたので食堂は人がいっぱいだった。席について食べ始めてから真優君がいないことに気づいた。まさかと、思ったけれどそんなことになってほしくなくて考えないようにした。朝食を食べ始めてから少し経つとみんな食べ終わり、食堂から出て行った。すると放送が鳴った。

<―追放者を発表します。長沢真優。次に人狼に食べられた人の場所をお伝えします。図書館の隣の池。皆様移動をお願いします。>

真優君・・・。今はそれどころじゃない。人狼に食べられた人の場所へ行かなくちゃ。

「樹希。行くよ。」

「んー。まって。まだ食べてる。」

「今日パンだから食べながら行くよ。」

「ふぁーい。」

朝食をまだ食べる少し寝ぼけた樹希を連れて池へと向かった。

池に着くと、たくさんの人が集まっていた。そして水咲と紅音もいた。

「水咲ー紅音ー。おはよ。」

「航平。おはよ。遅かったね。」

「樹希が寝ぼけてて。で、誰が殺されたんだ?」

「緑。島川緑だよ。カードは市民。」

クラスメイト達が建物へ戻って行くので島川を見ると、頭がなかった。池に浮いているのは体だけだった。頭は陸に置いてあった。体も左足がなかった。右足も半分なかった。残酷だった。

建物へ帰る途中紅音が珍しく聞いてきた。

「ところでさ、真優君は何だったんだろう。役職言われてないよ。」

「確かに。あとで放送されるんじゃない?」

「・・・航平はいつも安全なほうへ逃げるね。」

「えっ!だめかな?」

「だめじゃないけど、もうちょっと自分の意見を言ったほうがいいと思う。じゃないと考えが周りに伝わらないと思う。」

「そっか。なるほど。アドバイスありがと。」

「別に・・・いつも樹希と一緒にいてくれるお礼だと思って。」

本当に、紅音は樹希のことが心配なんだな。

「樹希ー。」

「何?航平?」

「ちゃんと紅音にお礼しろよ。っていつまでそれ食べてんの?!」

「はーい。」

「はーい。じゃなくてね、食べるの遅くない?!」

「あ、これ2枚目。3枚目いる?」

「いらない。」

「朝ごはんはしっかり食べないと大きくならないよ。だから航平小さいんだよ。」

「樹希から見たら男子は全員小さいでしょうが!」


〔真優、緑、死亡 残り人数57名〕

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