第47話

               水は大切に

 植木に水をやっていたら誤って電話回線のモデムに水をかけてしまった。「ジュッ」という嫌な音がしたと思ったらモデムが点滅して誤作動を始め、それが原因で固定電話が繋がらなくなった。うちのモデムは契約している電話会社からのレンタルなので修理を依頼したところ、出張費として三千円、機器の補償費として五千円かかるとのことだった。たかがほんのちょっとの水のために八千円。何か月分の水道料金になるのか。

 水は大切に使いましょう。




        奇妙なことだがイスラム国よ、ありがとう

 古代ローマの建造物は征服地に自分たちの文明の偉大さを見せつけるために築かれたと言われている。それは本当に質が高く、偉大そのものである。エドガー・アラン・ポーの詩に

 古代ギリシャの優美さ

 そして古代ローマの栄光

という一節があるのだがこれ以上の表現は見当たらないかもしれない。

 だが一方で、あるのは押しつけがましい「栄光」だけで、ローマは基本的に「優美さ」とは縁がなかった(ビザンツ時代は除く)。それがどんなに優れたものであってもあれだけやられると退屈でうんざりなのだ。

 こんなことを考えてみてほしい。日本が生み出したコンビニエンス・ストアのシステムは本当に優秀で、今や世界各地に進出している。世界のどこに行っても便利で安心して利用できる。だが何が悲しくて海外に行ってまで日本のコンビニを利用しなければならないのか。世界のどこかで日本のコンビニが一店舗消えたぐらいで悲しむ必要があるのだろうか。

 古代ローマもそんな感じだと思ってほしい。


 数年前イスラム国によって中東にある古代ローマのパルミラ遺跡が破壊された。世界中がそれを蛮行だと言って非難した。ただ考えようによっては他の国にもあるものが一つ破壊されただけだ。むしろイスラム国に破壊されたことによってプレミアが付いたとも言えるのではないか。今から100年後の人たちはこう言ってるかもしれない。

「これが100年前にあの世界を騒がせたイスラム国によって破壊されたパルミラ遺跡です。ここには当時の弾痕の跡がそのまま残っています。」





                時代の音

 昔好きだった音楽を久しぶりに聞き直していたら、それが実はレゲエのリズムだったことにやっと気づいた。それで気になって他の音楽も聞き直してみたら意外とレゲエのリズムの曲が多いのが分かった(今まで一体何を聞いていたのだろうか?)。

 もし後の時代の人がこの時代の音楽を聴いたら「当時の人間は世界中でレゲエを聞いて踊りまくっていた」と考えるのか、と思うとちょっと面白かった。




               絶叫マシーン

 毎年この時期やってくる住民税や国民保険料の支払通知書。落下感。ただまったく楽しくない。




            捨てる神あれば拾う神あり

 近所で「産業廃棄物 200円」のシールが付いたギターが捨てられていた。まだ使えそうだったのでうちにある半ば崩壊したギターと入れ替えておいた。

 ただ後になって「あのギター捨てるのにはまだもったいなかったな」と思い直して拾いに行ったら既になかった。

 

 


 

 


 


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