第33話

                 愛の終わり

 先日三十代の女性と少し話をする時間があった。そこでたまたま平成が終わることに話が及んだ。

「あれ、平成が始まった時お姉さんはまだ生まれてなかったですよね?」

 僕としては「お姉さんお若いですね」ぐらいの感覚でユーモアを言ったつもりだったのだが、彼女から返ってきた答えはこうだった。

「いえ、私昭和の終わりころの生れなんで……。」

 会話にならなかった。


 男女間でこういう会話が成立しなくなるところをみると、いつかラヴ・ロマンスなるものは消えゆく運命なのだろうか?




                 地球の脅威

 NHKの科学番組を見ていたのだが、どうやらNASAには地球防衛部門なるものがあって、地球への隕石の衝突を常に監視しているとのこと。しかしNASAのスーパー・エリートたちは地球への最大の脅威が隕石などではなく人間、しかも彼らのような人間であることに全く気付いていないらしい。アインシュタインが自らの研究が原爆を生み出し、核開発競争を招いたことへの反省、「何故人間はかくも愚かなのでしょうか」という言葉は彼らには伝わらなかったようだ。




               月末月曜の人間模様

 そう、月末の月曜は入金やら引き出しやらで銀行の一番込み合う日なのだ。その日も僕の職場の前の銀行では列を作っていた。

 すると二十歳ぐらいの若者が出てきて近くにあったものを色々蹴飛ばし始めた。

「チクショー!」

 あてにしていた金が入っていなかったのか。

 そのうち道路を超えてうちの職場の備品まで蹴り始めたので僕もつい叫んでしまった。

「何しやがる!」

 彼は逃げていった。そして逃げ去りながら一言。

「ああ、俺こんな生活していたら……。」

 こっちの緊張も完全に緩んでしまった。考えてみれば自分にもそんな経験があるのだ。しかも一度ではない。


 ということは、だ。若者よ、そんな生活をしていたらいつか僕のようになれる。




                現場・事務方戦争

2018年4月  新体制発足。現場の円滑な運営のため現場のベテランが指導的         役割を果たす。利益は二の次。


     7月  そろそろ現場が安定してくる。「こういうところはこうしてい         ただいた方が。」事務方よりさりげない一言。


     10月 「オーナーさんサイドの意向もありますんでこんな感じでお願         いします。」それを言われるとベテラン、返答できず。


2019年1月  「今まで頑張っていただいたんで多少お手当てがつくと思うん         ですけど。」現場陥落。

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