前のエピソード――第25話

　　　　　　　　　　　　　　月に行ったら何をする？

月に行ったら飯を食べる。

こいつは無しでは生きれんだろう。

月に行ったら何をする？

月に行ったら本を読む。

静かに本でも読ませておくれ。

月に行ったら何をする？

月に行ったら野球を見る。

月でもテレビは見れるんだろう。

月に行ったら何をする？

月に行ったら酒を飲む。

月で月見は楽しかろう。

月に行ったら何をする？

月に行ったら地球に訴える。

早く地球に戻しておくれ。

　　　　　　　　　　　　　　　　牧歌的風景

ブーゲンビレアの傍らで

ゴキブリが餌を食んでいる

頃は月夜

静まり返っている

警戒するものがない時のゴキブリは

かくも穏やかなのだ

蝶が蜜を吸っているようだ

そっとしといてやろう

そしたらそのうちに

「モーッ」とか「ヒヒーン」と啼きだすだろう

　　　　　　　　　　　　　　　停電も悪くない

　停電で困っている方々が沢山いるのは知っているがあえて言わせていただきたい。都会では停電もたまには悪くはない。

　先日僕の住んでいるエリアが停電になった。静けさ。いかに僕らの日常生活が電気のノイズに囲まれていることか。まるで美しい花を見るのに曇ったガラスを通して見ているようなものだ。それも毎日。都会で生活している人間はそれから離れることが必要だ。そういう意味で生産的な計画停電というのを都会でもいつか考えなくてはならない日が来るのではないか。