第3話

             The kids are alright.

「お母さん、車に轢かれてつぶれたカエルの真似するから見てて!」




         何故男性において左前頭葉は発達したか?

女「あなたって何をやらせてもダメね。」




                 呪術

 何年か前のことだが定年で退職する世話になった上司にお酒を贈り、そのお返しに靴下をいただいたのだった。その靴下もだいぶ履いたので片方の爪先が擦り切れてきた。もうそろそろ捨てるか、と考えていたある日、その上司が内臓摘出の手術を受けたことを知ったのだった。

 何となく靴下を捨てるのははばかられた。それに僕にできるのはその靴下を履き続けることぐらいだけかもしれない、と思って両足に穴が開くまで靴下を履いたのだった。

 しばらくしてその上司は快復して酒を飲み、余生を楽しんでるのを知った。靴下を履き続けた自分が馬鹿に思えたのだった。


 今ではその上司が生きていられたのは僕が靴下を履き続けたためだと思うようにしている。




                 義賊

 その蚊は悪人の血を吸った。だがカップ・ヌードルの温かさに引きつけられたのか容器の内側に落ち着いたところで上から蓋をされ、御用になった。そして義賊は釜茹でにされた。




               アベノミクス

 アベノミクス・トリスメギストス(三重に偉大なるアベノミクス)。




                 風刺

 何年か前にフランスでイスラム過激派による風刺新聞の出版社の襲撃事件があった。事件そのものに対する感想は僕も同じ。最悪。

 それにしてもあの風刺新聞の表現力の貧困さは何とかならないのか。犯罪そのもの。『アラビアン・ナイト』でも読んで出直したら。




              あの巨大生物を発見した

 ある日、その存在そのものが信じられていなかったあの巨大生物を発見してしまったのだった。ネス湖のネッシーでもなければヒマラヤの雪男でもない。念のために言うと片足人間スキアポデスでもない。僕は何と王蟲(オーム)を発見してしまったのだ。

 信じられないかもしれないがぜひ信じて欲しい。王蟲は実在するのだ。しかも一匹や二匹ではない。群れを成してウジャウジャいたのだ。風を身に受け行進する様は圧巻だった。と言ってもやはり誰も信じてくれないだろう。


 しかし王蟲は進んでいく。風に吹かれて彷徨いながら。




                  革命

 近所に野良猫が居つく。臭くて汚い雄猫。食べさせてもらっているうちにだんだん美食家になってくる。少し食っては残す。その残りを廷臣であるカラスが抜け目なく狙い、ハエは自分の権利を主張し、アリが後始末する。王様はいつも寝ている。

 しかし最近新顔の猫を見かけるようになった。どうやら王様の残り物はこいつが始末しているらしい。こいつが来ると王様はこそこそ逃げ出す。そして遂に起こるべきことが起こる。革命。

 しかしあんな王様でもいなくなるとやっぱり寂しい。

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