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「後ほど……半日後くらいにお迎えにあがります。それまでゆっくりお話ください」
昔の件でもめそうな雰囲気がまったくないことを確認し、おれとクロノスは一旦家に戻ることにした。
邪魔者はさっさと消えよう、二人で思うままに話しあえば良いんだ。
「宜しく頼む」という
家に戻り、クロノスと話す。
「なあ、あの二人どうなるだろう」
「そんなことは判らんよ。だが、わだかまりは多少消えるのではないかな。
「まあな。うまくいってくれるといいが……」
離婚が決まるまでにきちんと話し合ったかと言われれば、俺は自信はない。
まだ気持ちは残っているのに、離婚しなければならないという状況を受け止めるだけで精一杯だった。
だから、会って話して、気持ちを整理したいという
そしてこれからのために、二人の気持ちが落ち着くところに落ち着けるといいなと思っている。
「迎えに行くまで、俺は休んでおく。クロノスはどうする?」
「我は駒姫達と身体を動かしてくる。何かあったら放牧場まで来い」
そういって家の外へ駆けていった。
ミニチュアダックスまっしぐらという感じだ。
放牧場には、子供達を遊ばせているベアトリーチェも居るだろう。
せいぜい彼女達にかまってもらうといいさ。
ネサレテに少し休んでいるからと伝え、寝室へ向かった。
・・・・・
・・・
・
「駿介、起きて」
どうやら熟睡していたようだ。
ベアトリーチェの声で目覚めたら、窓の外は暗い。
「ああ、ありがとう」
「そろそろ準備しないといけないでしょ? クロノス様はもう居間に居るわよ」
頬にキスしてくれたあと、ベアトリーチェは部屋から出て行った。
黄泉へ出かける前にシャワーを浴びたいから、着替えを用意して部屋を出る。
シャワーを浴び、髪を乾かし、白のシャツに腕を通し、薄い茶のズボンを履き、黒のジャケットを羽織って居間へ入る。
「お待たせ。さあ行こうか、クロノス」
・・・・・
・・・
・
ガイアが作ってくれた霧の扉を通り、
黄泉には昼夜がないのか、やはり灰色の空のまま。
争っているような様子はないので安心した。
冷静に話しているようなら、まあ、まだいいかと、その様子が見える程度の距離のところに離れて立ち、クロノスに声をかける。
「もう少しくらい待ってあげてもいいよな」
「お前がそう言うなら我もいいぞ。早く帰って食事したい気持ちはあるがな」
「あはは、肉が出たら俺の分も食べていいから、我慢してくれよ」
しゃがんで
「
全ての足を折って地面にペタッとクロノスは寝そべった。
――しかし、犬の姿のままでいると、犬が喜ぶことは同じように喜ぶんだよな。
背をゆっくり撫でると目を細めるクロノスの様子が面白い。
クロノスをイジってしばらく遊んでいると、
「すまないけれど、
「もう宜しいので?」
「ああ、長年わだかまっていた気持ちもほぐれたよ。ありがとうよ」
「そうですか。判りました」
晴れ晴れとした表情の
あ!?
過去に遡って
「なあ、クロノス。元神の人間を現代に連れてくることできる?」
「……試したことはないが、多分無理だろうな」
「どうしてだ?」
「お前は
「ああ、そうだが、違うのか?」
「違う。神としての資格を失ったとしても、人と同じ定めになったとしても、やはり神と同じく理のレールに乗った存在のままなのだ」
「難しくて俺にはよく判らない。だが、クロノスが無理だと言うのならそうなんだろうな」
残念だけど、仕方ない。
あ、それに、人としての生を現代で送れるようになったとしても、
ああ、死ななきゃいいという話ではないんだ。
「さて、
……俺とクロノスは、彼女のところへ歩いた。
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