第20話 落石
二匹は襲うのを諦めず、何処にも行かず、俺たちを見ていた。
六羽いたグワジを一羽づつ腹に収めた。後のグワジは何とか逃れたみたいだった。それで腹が減っていたのだろう、その内に仲間の肉を食い始めた。腹を食い、他の部位を食うのかと見て居ると俺たちの居る所にやって来たが、襲っては来ない。
奴ら、どうも怖がっていやがるようだった。そう感じた俺はしばらくこのままで居ると2匹はいなくなると考えた。
「アキオ、ゴワグ、歩く」
「ああ、そうだな。どこかへいきそうだ」
見て居ると俺たちと反対の方向に行きかけたが、急に振り返り戻って来た。こちらは行くと思っていたのでびっくりして居ると、二匹はこちらの意図を感じてかさっきよりも近ずいて来た。もうこれではじっとしていられない。俺はロケット弾を崖から迫り出している大岩の根元に向け発射した。
「ギン、もっと壁に近ずけ」
ギンを壁に押し付け、身をちじめて居るとゴワグは俺たちに噛みつかんと近ずく。
食い付かんと正に大口を開けて襲いかかった時、轟音とともに大岩が落ちて来て二匹のゴワグは死んでしまった。
「ギン、助かったぞ」
「アキオ。強い」
「ああ、そうだ。勝ったんだ」
一匹は死んでいたがもう一匹はまだ生きていた。体を何とか岩から出そうとあがいていたがそれは無理な話だった。体の半分以上が岩の下にあり、もう助からないのは明白だった。
「ギン行こう。こいつを避けて行こう」
俺はギンにまたがり大岩を避けてゆっくりと歩む。やっとゴワグから離れたところで、俺たちは聞いた。ゴワグの泣くような声を。
「キュ〜ッ、キュ〜ッ」
哀れな声で泣いていた。きっとこんな弱そうな奴らに負けて口惜しいんだろうなと俺は思っていた。
「ギン。俺のような生き物の居るところに行こう」
ギンは走り出した。
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