第11話 旅立ち
どうも殺し屋たちは英語以外の言葉を使う集団の様であった。そう外人部隊の出身者なんだろうか。奴らの考えている事は分かるが、言葉は英語でない。フランス語・ドイツ語・ロシア語などを話している様だ。ボスは英語を使い指示してる。彼らの後ろからだれかやって来た。
「ハハハハ。こいつがアキオか」
チャラい格好の男が出て来た。どうもこいつがこいつらのご主人様のようだ。自分以外はゴミって考えてる様な雰囲気をプンプン臭わしながら現れた。
「ト・マ・ス・マクレインだ。覚えておけ。と言っても、もうすぐ死んじゃうんだけどね〜」
俺がシートでひっくり返してのばした奴が俺に近ずきニヤリと笑う。
「こいつ、さっきはよくもやりやがったなあ」
俺は殴られ床に転がされた。
「おいっ。寝てるんじゃねえ」と更に殴ろうと胸ぐらを掴まれ、引き起こされた。が、近くにいた男が奴を止めた。
「やめておけ。こいつにはな」
と言ったかと思ったら、振り向きざまに右の頬を殴られた。
「この俺の方が腹たってるんだよ」
左側に転がされ、中央指令所前の壁に叩きつけられた。
「何、遊んでいるんだ。早く始末しろ」
その声の方を見るとジェフが立っていた。俺は薄々感じていた違和感が確信に変わった瞬間だった。
「なぜだ。理由を言え」
俺はジェフに行った。
「俺の命が残りわずかである事は事実だ。最近まで必死にお前を守っていたのも本当だ。お前に話した事は全て本当のことだ。すまないなあ」
ジェフは手のひらを上に向け、肩を少しばかりあげて、「仕方なかったんだ」と言う様なジェスチャーをした。
「すまない、俺はキリスト教徒から足を洗たんだ。この世は刹那、一瞬の連続だ。何が起こってもおかしくない。ハハハハハ」
ジェフの笑い声がこだまする。俺は殴り飛ばされ、体がフラフラしてすぐには立てなかった。指令室前の機械の壁にのけぞりながら立ち上がった。肩で息をしており、周りは取り囲まれており逃げることなど考えられなかった。
「えっ。ここは・・・・・」
壁だと思っていた。寄りかかった壁を触っている右手が逃げ込む場所のあることを教えてくれた。
「これしかない。どうせ殺される」
もう行くしかない事は明白だった。俺はフラフラを演技し、その床に倒れこんだ。
「俺がやる」
タコ頭の野郎が銃を構えた。
「キル・ヒム」
ジェフは言った。俺はその時、壁の穴に飛び込んだ。穴の中は暗黒だった。後ろから「逃すな。追え」の声が聞こえて来た。
「あの声はトマスだな」と思いながら落ちてゆく。
「ゴー、ゴー、ゴー。ゴー」
と掛け声も鋭く7人がやって来るのがわかる。
「手下だけに任せるな。お前もいけ。奴の息の根を止めてこい」
「ジェフがトマスにハッパかけてる。トマスも来るのか」
暗い空間に沈んで行く様な、落ちてゆく感覚だけが感じられた。どれだけ時間が経ったのか、いや、もしかしてすぐだったのか、暗闇の先に何か光が見えて来たと思ったら、気を失い伸びてしまった。
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