第9話 ジェフの語る事件の真相

 あれは教授達に小言を言われ続け、何とか認めてもらい来期の契約更新を果たして講師室に帰って来た所だった。10時に始まり終わったのは午後1時だった。クタクタに疲れ、雇われの我が身を呪ったよ。急に電話の着信を告げるアラームが光った。

「ジェフ。やったぞ。俺達の勝利だ。美しい。窓を安定させ、開いたままでもう30分。ブレもせず。歪みもせずに窓は開いたままだ。さっきも連絡したが出なかったので今で3回目だ。こちらに来て見てくれ」

「おめでとう。俺たちの夢を実現してくれてありがとう」

「いや、ジェフ、君の理論のおかげさ。明日の大科学者に乾杯。・・・・・・・

あれは何だ。おいっ。あれを見てみろ。装置をきれ。あっぁ・・・・」

「ディビー。ディビー。どうしたんだ。おい、返事をしろ」

俺の脳裏に不安がよぎった。急いで研究所に車を走らせ、着いた時には電話が途切れてから3時間は経っていた。


 門を開け、研究所のドアにまでたどり着いたが、閉じられており警察に連絡、警察に開錠してもらい中に入った。陽が落ちて建屋の中は真っ暗だった。懐中電灯を頼りに恐る恐る進んだんだ。

 警察官20人を従えて進むとあの中央指令室は電源が落ちており真っ暗で、機械から火花が散り、床一面に血の跡が残されていた。極め付けは懐中電灯に照らされて見た、あの鉄の壁につけられた爪跡さ。電源が繋がり明るくなって見てみるとさっき見た右のアンテナが上半分が消えており、何処を探しても出て来なかった。機械も計器類も大きな力で潰された痕跡が確認され、多くの画像データーが消えていた。床一面に残された血液はDNAから人の物ではない事が判明。この世界に一致する動物がいないことから謎が謎を呼び警察も捜査を打ち切り、今日に至るのさ。


 これが事件の真相。君の両親を含め、18人が消えてしまったんだ。ディビーは俺を君の後見人と決めており、それで財団の切り盛りをしてたわけさ。

だが、俺の理論から推し量れば18人は異世界に飛ばされたに違いないと考えている。その証拠はあの床一面の血液のDNAさ。財団の生命科学の研究所に調べさせてわかった事だが、三重螺旋の DNAを持ち。寿命は優に2000年を保ち、羽を持ち、遺伝子配列から体長は少なくとも300メートルは下らないと判定された。これからわかる事は、推察するに、この研究所の異世界空間の窓から現れた物はドラゴンとしか考えられない。

 それで兵隊を送り込み18人を救出しようとしたが機械が作動しないんだ。3年やり続けたがどうにも出来ず諦めたのさ。

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