3rd Stage
美少女の寝姿はあられもない
3rd stage
半徹したせいで翌朝はちゃんと起きられず、昨日と同じ様に、ぼくは慌ただしくバイトに出かけた。
栞里ちゃんはまだ眠ってる、、、
って、どんだけ寝相悪いんだ!
昨夜は暑くて寝苦しかったとしても、かけてやったタオルケットは足でベッドの隅にグシャグシャに押しやられてて、Tシャツは胸の近くまではだけ、おへそもパンツも丸出し。
爽やかな朝の光で見る美少女はまた格別で、ハリのある肌はツヤツヤと日差しを反射し、丸みを帯びた部分が白く輝いてる。
うつ伏せになったお尻はパンツがずれてて、生地が股に食い込んでて、、、
朝からこんなの、目の毒じゃ~~~!
ベッドの方を見ない様に急いで準備をし、栞里ちゃんが起きた時のために、パンと紅茶をテーブルに用意しておく。
『バイトに行ってきます。夜は友達と会って遅くなるので、夕食は宅配をとるか、近所のコンビニでお弁当を買って食べて』と書いたメモとお金を、彼女の目につきそうな所に置いて、ぼくはバタバタと外出した。
今日は早番なので4時でバイトは終わり、その後ヨシキとコスプレイヤーの美咲麗奈さんと合流する事にしてる。
カラオケとかゲーセンで遊ぶだろうから、帰りは夜になるだろう。
それまで栞里ちゃんは家にいるだろうか?
『いてほしい』と、ぼくは願ってた。
だから、こんな書き置きをしたのかもしれない。
二日続きの遅刻で、森岡支配人の機嫌は、昨日よりいっそう悪くなってた。
しかも今日も、仕事が終わったら速攻で帰り支度をしていたので、ぼくを見る彼の視線には、軽く怒りの色さえ浮かんでる。
…ったく、昭和の団塊オヤジは、サービス残業をすることが仕事熱心だとでも思ってる。
今どき正社員でも、仕事に対してはドライなのに、ぼくみたいなただのバイトくんに、そんなモーレツっぷりを求めるなっつ~の。
遅刻したのは申し訳ないが、自分のノルマはちゃんと全部終えてるし、明日の引き継ぎもきっちりやってるんだ。
文句ないだろ。
「よっ、犯罪者。うまくやってるか?」
待ち合わせの私鉄の駅前で、ヨシキはぼくを認めると軽く手を挙げ、からかった。
「犯罪者? なにそれ」
ヤツの隣にいた美咲麗奈ちゃんが、ヨシキに訊いた。
今日の麗奈ちゃんは、真っ白なフリフリのロリータファッションに身を包み、超ミニのスカートの下にはボリュームたっぷりのパニエをはいてて、髪は高い位置でツインテールにしている。ツインテールの中でもいわゆる、『ラビッド・スタイル』と呼ばれる型だ。
ふつうの男ならドン引きで、いっしょに歩くのを
ぼくも例外ではなく、今日の麗奈ちゃんの格好は、ロリータフェイスな彼女の魅力を引き立てて、キュンキュンきてしまう。
ヨシキに至っては、『ツインテール同盟会長』を名乗る程のツインテフェチなのだ。
間違いなく心の中で萌えまくってる事だろう。
麗奈ちゃんも、そんなヨシキの好みを知ってて、そういうカッコをしてるっぽい。
「実はこいつの部屋に今、JC(女子中学生)がいるんだよ。なんか『責任とれ』って、脅されてるんだってさ。モテる男は辛いよな~。なあミノル」
ヨシキがそう言ってぼくを冷やかした。
「なにそれ。ミノルくんの彼女? ほんとに中学生?」
「かっ、彼女なんかじゃないよ」
麗奈ちゃんにも好奇の視線を向けられ、ぼくは慌てて否定した。
「でももう、二泊もしてるんだろ? その間になにもないって方が、不自然じゃん」
「ええっ~? ほんとになにもないの?! なんか… 逆にイヤかも、そういうの」
「え? どういう事?」
思ってもみなかった麗奈ちゃんのリアクションに、ぼくは思わず訊き返す。
「だってぇ。二晩も男といっしょにいて、全然手出されないわけでしょ?
それって、女の子的には屈辱かもよ。女の魅力ないって言われてる様なもんじゃん」
「そ、そんなもの? ゲイとか、誤解されるかなぁ」
「ゲイの部屋に女の子の萌えフィギュアとか、飾ってないっしょ。ふつー」
ヨシキが口を挟む。
「ん~、、、 好きでもないヤツとエッチしたいとは思わないけど… かと言って、全然女の子として見られないってのも、女のプライドが傷つくみたいで、なんだかなぁ」
「…そうなんだ」
「それは麗奈、おまえが淫乱だからじゃね?」
「ええっ。ヨシキひど~い!」
ぼくたちの会話に、ヨシキがいちいちチャチャを入れてきて、麗奈ちゃんはむくれっ面を向けた。
だけどそれは、ヨシキに対してほんとに、『怒ってる』って感じじゃなく、むしろ『かまってほしい』ってアピールしてる様にも見える。
そのあとも、ふたりのそういう光景は度々目にしたんだけど、麗奈ちゃんのヨシキに対する態度は、明らかにコミケの帰りに三人で呑んだ時と違ってた。
麗奈ちゃんはヨシキの腕に軽く自分の手を絡ませ、『やだぁ』とか『うっそぉ~』とかオーバーなリアクションを混ぜながら、ヤツに色っぽい視線を向けてる。
ヨシキの好みに合わせた服を着てきた事といい、こうやって『ぶりっこオーラ』を出す所といい、、、
女の子って、一度エッチしちゃうと、こんなにも態度がコロッと変わるものなのかなぁ。
アイドルみたいに可愛い麗奈ちゃんが、こんなにヨシキに媚びて、シッポ振ってるなんて…
やっぱりヨシキが羨ましい。
なのに、ヨシキの方は麗奈ちゃんに対して、『自分の女』的なオーラを出す事もなく、エッチした事なんか忘れたみたいに、いつもと同じ様な態度で接してて、なんだか余裕さえ感じられる。
麗奈ちゃんみたいな素敵な女の子とエッチしても、コイツの『彼女作らない主義』は、変わらないのかなぁ。
ヨシキにとっては麗奈ちゃんも、ただの『セフレ』のひとりなんだろうか?
羨ましいのを通り越して、ヨシキには軽く殺意さえ感じてしまう。
つづく
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます