第4話「夕闇に遠ざかる足音、あの娘の名前を覚えているかい?」
夢を見る
昔からよく見るやつがある
学校ーー
昔、見たことある同級生たち
もうすぐ卒業が近づいている
離れがたい寂しさ
私は一匹狼
休み時間になったら
誰かを探している
場面はコロコロと変わる
「ーーくん。小説、好きなの?」
誰かが話しかけてくる
白昼夢のように
白っぽい雰囲気
顔は霧に包まれたように見えない
誰なんだろう?と
カーテンがいつも
眼の前で仕切られている
ーー眼が覚める
ただ、夢は少しずつ時間を進めている
編み物を編むかのように
“卒業”の時期が近づいている
「こだわらないって、言っただろう?」
生きる場所や、仕事の内容
「これ以上のことを望むなら…君は、ただ生きづらくなるよ」
生まれ直した後悔について、きっとあなただって、溜め息をつくことだろうーー
ボーナスの時期になった。
私の会社も間もなく支給されるはずだ。
会社の収益には、あまり関心がない。
自分の居場所が無くなることは困る。
帰属意識については、自分が与えられた役割をこなす、それだけでやっている。
結果、それがお金にならないのなら、仕方がないのか。
youtubeで動画を再生しながら、考え事をしていた。
動画を開いては、移動して、開いては、移動して。
しまいには、ウィンドウを重ねて。
探したいことなどあるのかも分からずに、何かを求めてゆくーー
眺めていた動画
再生していた音楽が聴こえないのはなぜだろう?音量?
不思議なものだ
過去の誰かの一瞬や、一時期、生活音が、動画に遺る
音量が消えていたのは、パソコンの不調だった
スピーカーが壊れているのか
ただ、音が消え
動画上で人が動く姿を眺めていると
とても儚い記憶になって、でも美しく
それがとても貴重で、尊い、代え難い何かであることが伝わってくる
失ってはいけないものがある
私は、私の手元にあるコンピュータを不思議に眺めていた。
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