第6話
前に話した生徒会。『獅子天王』たちのいるところだ。普段オレとは無関係なので、詳しいことは知らないが、どうも評判が良くない。あまり近づきたくないメンバーである。
『2年D組の日乃本都ォ、放課後生徒会室に出頭するようにィ。』
ガラの悪そうな男子の声で校内放送が教室に流れた。いったい何の呼び出しだ。
「都、なんか悪いことでもしたの?アタシには関係ないけど。」
由梨が横を向いたままオレに話しかける。
「いや別に心当たりはない。いいことはしてないけど、悪いことはさらにしてない。それにしても『出頭』とはどういう意味だ?」
ありていに語ったオレ。
『あっ、忘れておったァ。放課後と言ってもォ、夜8時に参るようにィ。』
8時だと?これは穏やかではない。第一、帰宅部のオレにどうやって時間を潰せというのか?仕事のできないサラリーマンじゃあるまいし、8時は遅すぎる。
「そ、そう。別に好きにすればいいわ。アタシも忙しいけど、都が泣いて頼むから、仕方なくついていくわ。」
泣いてなんかいないのは言うまでもない。
((これはいかにも、匂うどす。注意しないと。うちは一緒に行くどす。それが妻としての務めどす。ぽっ。でも由梨はんが行くなら、うちは行ってはならんどす。))
「だーれだ?」
どこから湧いてきたのか、万步がオレの後ろにいた。なぜ判明したかというととある部分のボリュームがオレの後頭部を圧迫したからである。
「都たんのエッチ~!」
万步はそう言いながらも笑顔。アイドルならこれぐらいのことはバラエティで経験済みだろうな。
オレが何も言わないうちに、絵里華除きで3人タッグが成立していた。絵里華はババ抜きの一件が影響したのか同行せず。美緒は保健室フロアにいるのだろうか、そして授業に出てるのか、ちょっと不安。
下校時間からかなり開いていたので、一旦家に帰って、再度登校するということになった。桃羅には『ちょっと外出』と書き置きをして出立。学校には部活をやっている生徒でもいたのか、まだ門は閉まっていなかった。生徒会室は4階にある。オレ、由梨、絵里華の三人で、現地に向かう。そういえば4階での授業はないから、行ったことなかったっけ。エレベータなぞないので、階段はしんどい。由梨をおんぶズマンしているからだということは口が裂けても言えない。
「何か言いたいことあるの?」
「べ、別に言いたいことなんてあるわけないぞ。どうしても聞きたいなら言わないでもないけど。」
「だ、誰の真似してるのよ。セレブにはぜ~ったい届かないんだからね。まあ100万年はかかるわね。」
「それはセレブになれるという意味に解釈できるぞ。不老不死の閻魔大王になればの話だが。」
「閻魔大王って不老不死なのかしら?」
「さあ、知らん。」
「まっほもセレブになったら不老不死になれるかな。死んでるけど。」
「万步は余計なことは言わないの。アタシを見てなさい。セレブがいかに偉大で、遠い存在かわかるわ。」
下らない話をしているうちに、到着した。
『ROYAL SALON』とある。生徒会室なのか?
ドアも結婚式場のように両開きで、取っ手にはダイヤモンドがちりばめられている。とにかく呼ばれている以上、入室は許可されているはずだ。思いっきりドアを開いた。そもそも暗い廊下から入ってきたわけではあるが、それ以上に中は暗かった。室内の様子は一見して異様だった。見渡す限りの墓地。雲が月を遮り、かなり暗い。地球の自転で、少しずつ明かるくなり、お互いの顔が十分確認できる程度の照度となった。ここって生徒会室じゃなかったっけ。
「あれっ。由梨。たくさんぶらさげたり、頭に付けたりしてるんだな。それっていったい何?」
オレがツッコミたくなるのも無理はない。背中に乗った段階では何もからだにつけてなかったはずの由梨。首にあまたのお守り、十字架と藁人形にこけし、背中には破魔矢、両袖にはお札、額にはハチマキとろうそく。そこには『悪霊退散』とある。頭部側面にはツインテールを止めるリボンの代わりに、生にんにく。二個ずつで髪止している。
「こ、これはあれよ。あれっ。」
「あれって、もしかしたら、魔除けグッズなのかな。」
「ち、違うわよ。どうしてそんなものが必要なのよ。ここにあるのは、すべてアクセサリーよ、ファッションなのよ。そう、セレブはどこに行くにも身だしなみは豪華にしなきゃいけないことは昔から決まっているわ。」
「そうなのかな。動くのにジャマじゃないのか。」
「そ、そんなことないわ。十分機能的よ。ほら、この通りよ。」
由梨がその場でターンをしてみせる。
「うっ、これはたまらん。」
都は思わず鼻に手を当てる。にんにくの強烈な臭いがもやのように周囲を曇らせる。
ここは墓地。この時間帯であればひっそりしており、都たちの会話だけが響くはずだが、そうではない。むしろ、回りの方がうるさい位に騒がしいのである。それも相当な数。食べたり、飲んだり、歌ったり、茶碗を叩いたり。能を舞ったり。中にはギターやドラムで演奏したりしている者もいる。
「由梨たん、都たん。あれを見て。」
万步は平気でヒトらしき者を指差した。社会通念上は失礼な行為であるが、相手は人間ではなさそうなので、問題なし?
「・・・・。」
「あれって落武者?」
由梨は血の気がひいて言葉を失っている。ぼろぼろの甲冑を着た者がたくさん見える。髷が解けて、残バラ髪になっている者も目立つ。手にしている刀も歯こぼれしている。敵がいるわけでもないのに、矢を次々と放ったりもしている。さらにそんな姿で、バンドをやっているのはどうみても異様である。世紀末というのはまさにこの状況を表現するのに適切な言葉である。
オレたちは隠れて見ているわけではない。ということは向こうからもこちらが確認できるのである。
「おい、あれなんだあ?」
傷だらけで、流血夥しい侍のひとりが腕を大きく伸ばした。その指は明らかにオレを指している。
「万步。あれって、ジバクだわね。」
「正解だよ。多分攻撃してくるよ。どうやって料理するかな。投げキッスでもやっちゃおうかな。ねえ由梨たん。」
のんきな万步。
「・・・・。ガクガク、ブルブル。」
由梨は薄い胸のところで、両腕を交差させて、からだを巻いている。典型的なこわがりポーズだ。
「薄いは余計よ!」
少し元気がでてきたようだ。
由梨が少し元気になったところに、ジバク侍たちがぞろぞろとやってきた。かなりの数である。そのうちのひとりが歯こぼれした全然切れそうになり刀を振り下ろしてくる。
「きゃあ!」
由梨が悲鳴を上げた。瞬間、三枚に下ろした魚のように、きれいに切り裂かれた死体が転がった。由梨の手には、スプーン型の剣。由梨は自分の武器として、現世から持ち帰ったスプーンを使っている。実家のカレー屋さんで使っていたのであろうか。由梨たちは現世から霊界に来る際に、ひとつ思いでの品を持ってくることができる。それがオリジナルの兵器となっている。但し、持ち帰る代わりに何かを失ってきている。それは秘密である。なお、このスプーンは普段はユーホーキャッチャーとして目に付けている。
由梨に次々とジバクが襲いかかるが、所詮ザコ。簡単に倒されていく。但し。
「きゃあ、きゃあ、きゃあ、きゃあ・・・・。」
由梨は目を瞑って、敵をまったく見てはいない。単に剣を振り回しているだけである。それでもジバクがやられていくのは、剣からオーラが出ていて、それに触れているためである。弱いジバクはこれだけで十分である。
万步も同じように剣を持って、敵を倒し続けている。だがオレは何もできず、ボーっと佇んでいる。今のところはふたりで十分なようだ。三人だけで征伐に来たのもうなずける。
そうして、かなりの数を倒した頃。
「うわああああ~。」
オレが何もないところで転んだ模様。オレの倒れた先には由梨。傾いた時、手が何かに当たったのか?
「ちょ、ちょっと、都。戦闘中になに触ってるのよ。」
顔を赤くして、臀部を押さえる由梨。
「僕は何もしてないぞ。」
オレは自分の両手を広げて無実をアピール。
「じゃ、じゃあ、いったい誰が。」
由梨の後ろにいるのは他のジバクとは違う立派な身なりの武士。左右に金色の角が施された兜を装着している。月が雲に隠れて顔はよく見えないが、雰囲気が大将クラスらしき侍が由梨のオシリをなでなでしている。
「きゃああああああああああああああああああああああああああああああああああ~。」
由梨の絶叫が墓地の喧騒を超える。
「ちょっと、都、なんとかしなさいよ。」
由梨がオレに命令。でも何もできないオレ。万步も動かない。一方、ジバクのなでなでは止まらない。だんだんと攻撃領域を拡大しつつある。そのイヤラシ手つきは背中から前に向かう。いかに起伏が小さいとは女子の象徴である部分の危機。
オレはトリガーカードを使おうとする。無論カードは由梨たちが持っているものであって、懐に入っていたりはしない。
「出でよ。カードの魔人」
テキトーな呪文を唱えるが、何も起こらない。起こるはずもない。トリガーカードはそんなものじゃない。まさにクライシスが実現しようとしていたその時。
「もう見てられないぞ!」
大きな声が飛んだ。その発信源にはふたつの影。月がその姿を明らかにする。美緒と絵里華だ。
「美緒、こわかったよお。」
半泣きしながら抱きつく由梨。涙が収まるまでしがみついていた。いつの間に美緒と仲良くなったのか。
「助けてくれなんて言ってないわよ。助けに来るなんてビッグヘルプなんだけど。」
由梨は死ぬ間際の蝉のように美緒に張り付いたままの状態で強がりを言っている。
「そうか。ならば」
美緒は鏡を由梨に向ける。
「きゃああああああああああああああああああああああああああああああああああ~。」
再び絶叫する由梨。こんなシチュエーションだと、鏡で幽霊である自分にビビりまくってしまう由梨。
「もう意地悪しないでよ、美緒。」
「口のきき方が違わないか。相手は畏れ多くも神であるぞ。」
「そうでした。ごめんなさい。神様、許して、助けて~。」
ついに自分のポリシーを折り曲げた由梨。依然として美緒にへばりついたまま。
「どうしてこんな悪戯をする。お前たちは静かにここで眠っていればいいものを。ここは丁度いい寝床ではないのか。」
美緒が般若のお面をつけたままジバクたちに話かけている。面の額の部分が『怒(軽)』となっている。顔文字のようなものらしい。まだ完全に怒っているわけではなさそうだ。
「こんなところでじっとしておれない。ストレスが溜まるんだよ。現役時代天下目指して頑張っていたのに、今はこんなところで、小さく収まれっていうのが無理なんだよ。」
こう言いながら、姿を現したのが四人の武将。うちひとりは由梨をセクハラしていた人物。月の邪魔をしていた雲群が逃げると日食が終わるように光があたりを照らしてきた。侍たちの姿形が見えてきた。これがなんとも月明かりに映えるとびっきりのイケメン揃い。年齢で言うと20代前半、脂が乗ってきた若武者のイメージである。カードゲームに出てきそうなオーラを放っている。ちょっと待てよ。こいつら生徒会の『獅子天王』じゃなかったっけ?朝は普通ではないが、普通の生徒だったけど。よく思い出してみれば朝校門に立っている(正確には柱に座っていたが)時に、何か見えていたのは白い輪だったかも。しかし、今は学生服ではないので、微塵も高校生には見えない。
((スゴイどす、戦国武将コスどす!))
色めきたったのは絵里華の人形。なぜか本体もガッツポーズをしている。顔が無表情のままなので異様ではある。そう言えば武将系ってのは腐女子向けのゲームやアニメで数多く見られるものである。
「絵里華、みんな気をつけろ。こいつら、コスプレなんかじゃないぞ。」
近づいてきた四人の武将。いずれも威風堂々な甲冑姿。口髭が実に凛々しい。これなら『獅子天王』と名乗っていたのもうなずける。色めき立つ絵里華人形。
((写メを撮らせてほしいどす、ツーショットお願いどす、プリも撮りたいどす。))
アニメ声で立て続けに3つのリクエスト。欲張りである。
「華やかだね。時代劇でのロケを思い出すよお。わくわく。」
万步はアイドル時代、色んなドラマに出ていた。もちろん主役とかではなかったが。撮影現場で、有名俳優の凛々しい姿などを見慣れている。でも霊界ではそれはご無沙汰であったので、久しぶりに現世の華やかな雰囲気を味わえると喜んでいる様子。
「ところで、美緒神、絵里華+人形。どうして、ここへ来たんだ。」
実にもっともな疑問を呈した。美緒の呼び方を微妙に変えた。
「こら、都。いきなり話しかけるな。これを使え。」
美緒は糸電話をオレに渡した。オレの部屋では平気のように見えたが、直接会話は禁止のようだ。
『う~ん。あの部屋に絵里華とふたりでいると退屈でなあ。』
確かに人形使いとふたりではやることもなかろう。
『のんびりと夜の散歩にしゃれこんだわけだ。別にここに来ようと思ったわけではないが、ふらふらと歩いていたら学校に着いていたというわけだ。』
『でもその割にはすぐにここに来てるな。』
『ううう。』
言葉に詰まる美緒。お面は『怒(中)』に変化した。
((美緒はんはみんなが心配なんどす。でもはっきりとは言えない気質なんどす。許してたもれ。))
絵里華が妙な言葉使いで助け舟?
「こら、絵里華、余計なことをいうんじゃない。」
美緒は怒ったような口ぶりであったが、額は『恥』となっていた。
『おいおい、そなたたち、何を身内で騒いでおる。呼んだのは日乃本都じゃったはずだが。まあいいわ。そんなことより、我らと遊んでいかぬか。』
四人のうち、ひとりが前に出てきた。見る限り男である。顔と目が細長く、小さな鼻髭があり、いかにも神経質そうな感じである。美緒は間合いを取った。15メートル下がったのである。そして、糸電話。自分のカップにつながる糸から、4本の糸が分岐している。つまり、1対4である。
『貴様も武将ジバクのはしくれなら、まず名を名乗れ。』
美緒の額は『男(凶)』と表示。
『なんだこれは?と言いたいところだが、糸電話だな。』
戦国時代にこんなものはない。でもジバク。現代の知識も十分保有している。
『別に名乗るほどの者ではないが、そういうならお答えしよう。ワシは信長。そこにいる三人は秀吉、家康、光秀じゃ。』
そういえば歴史の教科書に出ているあの有名人にソックリである。なお、彼らも額に、『信』『秀』『家』『光』と書いてある。これはわかりやすい。繰り返しの疑問であるが、生徒会ではないのか?
『まさか。そんな大物がジバクとは。確かにみんな死んでいるし、現世に悔いを残していてもおかしくはないな。戦国時代の英雄なんて、すべて満足して死んだなんてあり得ないしな。そもそも人間の欲望に限りはないし、その中でも飛びきりの連中だな。そちらが名乗った以上はこちらもそうすべきだが、ジバクにそんなことをする必要はない。でも偉人を前にしておまけしておこう。この神は神代美緒だ。』
『神代たちはいったい何しに来たのかな。というより我らを征伐しに来たんじゃないのかのう。』
信長は自分の頭を撫でながら糸電話に空気を送り込んでいる。
『そうだったな。じゃあ、すぐにここから消えてもらえるのか。』
美緒の額は『無』と表示されている。冷静である。
『まあ、それは条件次第じゃな。成仏させたいなら、こちらの要求を呑んでもらおう。我らはストレスでいっぱいなんじゃ。だからゲームでもして気持ちを明るくさせてくれたら言うことを聞いてもいいぞ。』
『よかろう。しかし、さきほどのようなセクハラはダメだぞ。』
『承知。あやつ、光秀はロリコンの気があってな、注意しなければならん武士ではある。おい、光秀、もうあんなことやってはならんぞ。』
『御意。御屋形様の仰せのままに。』
光秀はあらぬ方を向いて、返事をした。言葉とは裏腹に忠誠心は感じられない。これで大丈夫か。
『それではどんなゲームをやりたいのか、言ってみよ。』
『我らも武士のはしくれ。しろぜめじゃな。』
『城?そんなものはここにはないぞ。』
『しろといってもその城ではない。しろくろつけるという意味じゃ。』
『というと?』
『質問攻めのことじゃ。』
『つまり、この神たちに質問をしたいということかな。』
『そういうことになるな。それでよいか。』
『そんなことでよければ構わない。もっともこ神はバトルの方がやりたかったがな。』
『ではいいのだな。それでは始めるぞ。』
信長がそう言った途端に、墓場にクイズ会場ができあがっていた。パネルクイズ形式のようだ。左右に、ジバクチームと美緒たちチームに分かれている。パネルの中に、各選手が座っている。パネルには名前が書かれている。パネルといっても大きな墓石でできており、それをくりぬいて空洞を作っている。そこに入る仕組みである。草書体で、空洞の上の方に縦書きで『信長之墓』『秀吉之墓』『家康之墓』『光秀之墓』とある。向かい側に『美緒之墓』『絵里華之墓』『由梨之墓』『万步之墓』。都のはない。つまり、オレはなぜかゲームから外されてしまった。美緒たちは死んでいるが、オレはいちおう生きた人間なので墓はない。そのステータスの差か。しかし、元々呼ばれたのはオレなんだが。まあ、こんな勝負には出ないに限るが。
会場の真ん中に人影、いやジバク影が現われた。黒い眼帯をしている。隻眼のようだ。こいつも大層立派な兜、甲冑姿である。兜で顔はよく見えない。
「レディース&ジェントルマン。俺が司会者だ。文句あるか。」
いきなり登場したにもかかわらずケンカ腰である。でも回りに何も言わせないオーラがある。
「何の前触れもなく、出てきて不躾であろう。貴様何者だ。」
パネルに入って、男たちとの距離が許容範囲内となったので、美緒は糸電話会話を解除していた。
「俺は生徒会長政宗だ。以上。」
「なんとシンプルな。いちおう貴様が生徒会長か。他の四人が生徒会役員というわけだな。なるほど。眼帯をしているのはそういう理由か。わかった。」
美緒は何がわかったのか。
「では、クエスチョンタイム開始だ。エブリバディ、なんでも答えろよ。質問者は自分の名前くらい言えよ。」
政宗が司会者を務めるらしい。
『ぱぱぱぱぱぱっぱ~ん』どこからともなくファンファーレ。
「先鋒は信長じゃ。初恋は?相手は?」
うりざね型のやや長い顔。色白ではあるが頗る血色がよい。女に見紛うほどの美形戦士タイプである。額の『信』が眩しい。
美緒の回答。
「神に恋とはこれいかに。神話の時代に終わった。」
「「「「かっこいい~!」」」」
ジバク四人組が同時に拍手喝采。
絵里華の回答。
((中学1年の時にアキバに行って、フィギュアを見た時、絵里華の恋は始まったんどす。たくさんの恋人がいるどす。ウサミミナース、眼鏡っ娘ドクター、ミニスカートポリス、放課後女教師、パティシエ見習い、ドジっ娘キャビンアテンダント、小柄なバレーボール選手、泣き虫保育園先生、ハチマキ大工少女、萌える消防女子、タイトスカート公務員バイト女子高生、にこにこマック店員さん、モテモテパン屋さん・・・))
長いので、途中でオミット。
「「「「腐女子という者もいいのう。」」」」
由梨の回答。
「セレブのたしなみは社交デビューからよ。」
「「「「じゃあ、恋人いない歴16年?」」」」
「う、うるさいわねえ。ほっといてよ。」
万步の回答。
「幼稚園の時だよ。」
「うおおおおおお~。幼稚園児萌えるゥ~。」
光秀だけが盛り上がっていた。
「アイドルはそう答えるのがフツーなんだよ。なあ万步。」
美緒が問いかけた。
「そうかな。そうでもないかな。まっほわかんない。」
両手を口に当てて、アイドルポーズ。こういう時は大抵嘘をついていると思った方がよいだろう。
『ポロッ。』何か奇妙な音がした。しかし、誰も気づかなかった。
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