夢月の唄

@Hinata1221

夢のなか


 いつも、同じ人の夢を視る。



 物心ついた時から見続けているその夢は、登場人物は変わらないまま、いつも違う場所、違う状況で――まるで、短編集を読み続けているような気分になる。



 あの人は、平安貴族の格好をしていることもあれば、武士の格好であったり、神主さんだったり。



 そして私は何度でも、彼と恋をする。



 目が覚めるとあの人の顔を忘れているけど、想いはちゃんと残ってる。



 愛しい、切ない、悲しい、苦しい。



 朝になるたびに重くのしかかってくる想いは、強くなるばかりで。


 いつしか、私は顔も名前も知らないあの人の面影を求めるようになっていた。



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