ドラゴンと少女
「昨日のはなんだったんだ」
「わかんねぇな。そもそもドラゴンってのは頭がいいから、なにもしなけりゃあんなに怒ったりはしねぇ、つまりだ昨日頭に送られてきたあの人がなにかやらかしたとみて間違いねぇだろ」
「そうか、ならよかった。
じゃなくてだな!なんで直接頭に話しかけられるんだよ」
そう、昨日の一番の疑問はそこだ。あのドラゴンはペンダントの効果範囲に入ってないにもかかわらず彼らに話しかけ、そして少ないながらも会話を成立させたのだ。
「あぁそりゃドラゴンが使うテレパシーってやつだ。あたしも昨日初めて体験したがすげぇな」
曰く、ドラゴンとは討伐するとなれば災害級になり、強いものでは天災級に至る者もいるらしい。
「まぁそれはおいといて、依頼の物も手に入ったしよさっさと町へ向かおうぜ」
彼女がそういうとAHN-MARKⅠのシートを直して、すぐに出発した。
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暫く走っていると遠くがなにやら騒がしいので一度近くまで行って降りてみることにした。
「グルァァァァァ!!」
「ひぇ~ごめんなさ~い、どうかどうかおゆるしお~」
AHN-MARKⅠから降りるとそんな声が聞こえてきた。しかもそれは徐々に近づいてきて視認できる位置までやって来た。
「あ!そこの方々助けてもらえませんか~」
見つかってしまったようだ。まぁ最初から助けるつもりだったから別にいいのだが。とりあえず闇を放つ大いなる盾ナイトオブイージスを広範囲で包むと徐々に狭くしていき強度を高めた。
「昨日の冒険者よお前はこいつの仲間だったのか」
「いや、違いますけど、なんで襲っているか事情を話して貰えませんかね」
そう相手を刺激しないように細心の注意をはらって話しかけた。
「なぜお前に話す必要がある」
聞いての通り話してはくれなかった。
「それじゃ俺はここをどけません」
「仕方ない話してやろう」
ずいぶんと上から目線だなと思い、少し額に青筋を浮かべながらも続けた。
「こやつはな、私の住みかを焼いたんだよ」
ビックリだ。こいつ死にたいのかという視線を彼女に向けた。
「それはほんとにごめんなさい、開けたちょうどいい場所があったから魔法の練習をしていて。まさかあそこが住みかだったと思わなかったんですよ」
「そんな事は知らん!きさまが私の住みかを焼いた。ただそれだけだ」
ということらしい。つまりは魔法の練習を、したらそこがたまたまドラゴンの住みかで、それで怒っていたと。
「ならさ、もしその住みかが治ったら問題は解決なのか」
「あぁそうだが一度失った物はもう戻らん」
「いや治せますよ」
「・・・」
暫しの沈黙があったのでしかなく追われていた彼女を少し痺れさせると縛り上げた。
「な、なにするんですか」
「すみません、少しじっとしててもらえますか」
「な、な、何をするつもりで。は!まさか、ダメですよこんなところで。
あわわ、私は食べても美味しくないですよ」
そんな事を言っていたがお構い手を近づけていく。
「はぅぅ」
そう言って彼女は目を閉じる。それを俺は優しく抱き上げる。
「じゃあさ悪いけどそこまで俺たちを案内してくれませんか、もしダメだったら彼女は渡しますので」
「ふっん、ダメだうがそこまで言うならやってみるがいい」
そういうと、ドラゴンは人形になって森の中に入っていった。よくみると、黒髪に整った顔立ちそしてちょうどいい大きさの胸、とても可愛かった。
何時間歩いただうか、谷を越え山を登ったその山の中腹辺りにそこはあった。
「なにこれ、ここだけ山火事にあったみたいだ・・・」
そう、そこら一体は地面まで焼けており、草木が一本もなかった。俺は彼女をカリナに預けると魔法を発動した。
魔法で燃える前に戻れ、【再生】
そう言うと時間を巻き戻すかのようにどんどんと焼け跡がひいていき、そこにはさっきまでなかった木々が生え、中心辺りには草原が広がりその中心に一つの石碑のようなものがだった。
「う、うそ・・・
うぁぁぁー!!よかった、本当によかったありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう。」
涙を流しながらドラゴンはずっと俺にお礼をいい続けた。その様子を見ていた俺は住みかを燃やされたことだけが理由ではない気がしてきた。
「これでいいですよね」
「あぁ、すまない。本当にありがとう、友を蘇らせてくれてありがとう」
「友?」
「あぁ、ここは私の住みかだがそれ以前に死んでしまった友の墓のある場所なんだ。いくらお礼を言っても足りない、なにかお礼をさせてくれ」
顔をくしゃくしゃにして涙を流しながら微笑むとそういってきた。
「いや、俺はこの人を殺さないでくれればそれでいいから」
「いやそれでは私の気が済まない。ではあなた様は冒険者だろ、私をその旅に連れていってくれ。きっと役にたってみせる」
「ついてくるのは、別に構わないがこの墓はどうするんだよ。また荒らされないとも限らないぞ」
「それはそうだが・・・」
そう言ってうつむいてしまった。とても迷っているようだ。
「あ~もうそんな顔をするなよ。わかったどうにかするから」
そう言ってやるとドラゴンは顔を上げると、パッと笑顔になった。
「何とかするから今日はここで野宿をしてもいいか」
「そんなことなら構わない、いくらでもいてくれ」
許可を貰うと俺は蔵からテントを出して簡易工房を用意した。
「あの、あの」
「なんですか」
「私のこと忘れてません?助けていただき有難うございます。その私も何かお礼をしたいのでなんでも言ってください」
そんなのことをもじもじしながら顔を赤くして言ってきた。
「いや、ほんとなにも要らないですから」
「それなら私も冒険のお供をさせてください!」
「そうか、別にいいけどさ」
そう軽く許可を出した。AHN-MARKⅠ事態は大きいのでまだ余裕があるから問題ない。
「カリナ、もう暗くなるからさ何か食材を集めてきてくれないか」
「しょうがねぇな」
そう言うと直ぐに彼女は森の中に入っていこうとした、そこえ俺は声をかけた。
「ほら、これやるよ」
そう言って渡したのは俺が作った彼女の武器である双剣だった。
「それはな、ファイアっていうと先端から炎が打ち出せるんだ」
「ほぅそりゃ凄いな、ありがとよ」
そういうと腰に下げていた双剣を俺に渡すと行ってしまった。
「あ、あの私もお手伝いさせてください。こうみえて私も魔法が使えるので」
そういうとカリナのあとを追いかけていった。2時間ほどたっただろうか。二人が鹿みたいな体で豚を、細くしたような顔の魔物と山菜らしきものをたくさん持って戻ってきた。
「どおだ?終わりそうか」
「もう少しだよ」
「そうか、じゃあメシ作るから火だけ起こしてくれ」
俺は火を起こすとまた作業に戻った。
「よっしゃ~できたぞ」
そう言ってできたのは結界形マギアエルガレイオンⅠ霧結界きりけっかいこの霧には認識阻害の効果があり絶対に近づけない仕組みになっている。
「あとはこれを起動すれば誰ももう人は来ることはないが、俺達も来るのが難しくなってしまう」
「それでも誰にも荒らされないならそれでいいさ、ほんとになにからなにまでありがとう」
「そうだ、だったらここに家を建てればいいのか」
「どうだ、え~っと」
「名乗るのが遅れてすまなかった。私はホムラというよろしく」
「俺は間宮竜次だよろしく、それでたどうだろう」
「もちろんいいさ」
「じゃあさっそくやりますか」
そう言うと俺は地面に手を触れ縦長の長方形の箱を作った。そしてまずは壁の一部に手をあてて入り口を作った。その次は中の地面を整えると壁に触れ階段を作った。
階段を三分の一ほどのところでまた壁に触れるとそこからまた地面と平行な床を作り、同じ事を三分の二位のところでも作った。そのあと一番の上まで行くと天井に穴を開けて外に出る。そしてそこで屋根に傾斜をつけた。そのあと雨樋雨樋を作ると穴からしたにおり、そこを塞ぐそして2階に降りるとさっき登った余分な階段を消した。
2階ではとりあえず4部屋作った。そして1階へ降りるとそのまま外へでた。
少し楽しかった。ここまでおよそ三十分とわりと短時間でできた。これも日々の製作の賜物である。
「お~い、竜次できたぞって、なんだこりゃ~」
「ホムラがいいって言ったから作っちゃった」
「作っちゃった、じゃねぇよなんで少し目を話した瞬間に家がたってんだよ」
そうある程度驚き過ぎたことによる精神的疲労をぶちまけると、「ご飯にするぞ」と言って、行ってしまった。
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