帝都出発
「準備が整ったから明日にでも出発しようと思うのだがどうだろうか」
そう話しているのは朝食の席でのことだった。
「いいんじゃないだろうか、では明日は宮廷魔術士団の各団長を集めてお見送りをしよう」
「いや、いいよ。どうせこのイヤリングがあれば話はどこにいてもできるから」
「そうはいかんよなんせ友の旅立ちなのだからな、明日は楽しみにしておけよ」
そう言うと、ラグナは公務に向かった。
今日は昨日のことを騎士がギルドに報告しといてくれるというので、ギルドに向かい。そのあと小物を、揃えるためにお店に行く予定だ。食事を終え、準備を済ませた竜次は早速ギルドに行った。
「いらっしゃい。あらこの前の、あのときはすまなかったね」
ギルドに着くと直ぐにこの前のおばさんが謝ってきた。
「いいですよ。でも今日は彼女来てないんですね」
「あぁ彼女はギルドの職員じゃないからね」
そう言っておばさんは複雑な表情をすると、無理やりなにかを隠すように話題を切り替えた。
「それで今日は昨日のだよね、カードを出してごらん」
カードを渡すとなにやら裏にスタンプのようなものを押していく。するとカードが発光し緑色に変わった
「レベルアップおめでとう。これで危険度1の魔物の討伐依頼をできるようになったよ。魔物の資料が左奥の棚にあるから見てみな、少し高いけど金貨1枚で危険度1から3までの魔物の資料を買うこともできるよ」
そう言うとどういう理由か色が変わったカードを手渡してきた。俺はそれを受けとると早速魔物の情報を手にいれるべくその資料を買ってギルドをあとにした。字が読めない人はどうするのかという疑問はあったが特に俺には関係がないので無視することにした。
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次に行ったのは道具屋ザザンだ。
「おや、いつかランベルトに連れられてきたヤツじゃないか」
「こんにちは、今日は旅に出るのでこの世界の地図と、他になにか必要そうなものを探しに来ました」
そう言って用件を伝えるとザザンさんは奥へ入るとなにかを持ってきた。
「えっとこれが地図でいいものほど高いけどそのぶん安全だよ思う。あとこれは回復薬でこれらが状態異常の回復薬だ」
とりあえず俺はそこそこいい地図と解毒薬を買うとお城に戻って寝ることにした。
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次の日、今日はいよいよ冒険に出る日だ。お城の玄関ではラグナ、ランベルト、ニヒル、ランドゥーセンがお見送りに来てくれた。
「今まで本当にありがとうございました。これラグナさんには渡したのですが、通信用マギアエルガレイオン"繋がる"です。これを着けて同じマギアエルガレイオンを持っている人の顔を想像するだけでその人と距離は、関係なく話ができるようになります」
そう説明して渡すとそれぞれお礼を言って受け取った。
「それではこれから大変だろうが頑張って来てくれ。あと連絡は手紙ではなくこれに直接してくれればいいから」
「はい!ありがとうございます。では行ってきます」
そう言うと俺は城をでた。
短い期間だったがとてもお世話になった人達がいるいい町だった。そう感傷に浸りながら歩いていると後ろから聞き覚えのある声が聞こえた。
「やっと見つけたぞ」
そう言って声をかけてきたのはギルドでナイフを投げてきた彼女だった。
「ギルドではすまなかったな。婆さんから聞いたぞ、この国を出るんだろ、それなら私を連れてってくれ」
「なんでだ」
俺がそう聞くと彼女はうつむいて少し暗い表情になると決心をしたかのような表情になって言葉を紡ぎだした。
「私は、前まで冒険者をしていたんだ。一緒にパーティーを組んでいた仲間が目の前で魔物に喰われそれ以来仲間を失うのが怖くて、それに死ぬ人を見たくなかったんだ。だからお前が冒険者になるって言ったとき止めようとした」
「そうだったのか、心配してくれてたんだなありがとう」
そう言うとなぜか顔を赤くしてまたうつむいた。
「その・・・お前なら強いから死なないだろ。
それに・・・その、すきだから」
「なんか言ったか」
最後の部分がよく聞こえなくて聞き返した。
「なんでもねぇよ!で連れてくのか連れてかないのかどっちなんだよ」
「連れてくのはいいけど・・・」
「よっしゃ、そうこなくっちゃ」
そういうと話の途中なのにどこかえ行くと。すぐに荷物を持って戻ってきた。
「よし!じゃあまずどこへ行くんだ」
「とりあえず、カリウドリア公国を目指そうと思う」
「そうかじゃあそっち系の依頼を取りに行こう。あと依頼は二人別々で受けよう、そうすれば多くの報酬が貰えるし、魔物は協力して倒せばいい」
そうつげるとどんどん先に行ってしまった。ギルドの中に入ると既に依頼を受け終えた彼女が待っていた。
「おそい!」
「それはすみませんでした」
なんでだろうだんだんと俺の態度が素っ気なくなっている気がするんだが・・・
「え~っと、ラブトパスの討伐、銅貨10枚。これは安いな。金貨2枚、お!これいいじゃん、なになに~スライム掃討これにしようかな」
「それはダメ」
スライム掃討にだけもの凄い拒否をした。
「なんでだよ。危険度1の依頼じゃ一番高いよ。」
「なにがなんでもダメだ。だってアイツらは服を溶かすんだぞ!お前そんなに俺の裸か見たいのかよ。そんな変態だとは思わなかったよ」
そういうと彼女は自分の体を両手で抱き締めて隠すような、危険な人を見るような顔をした。
「いや全然見たくない、わかった別のやつにしよう」
そう真顔で言うと今度は少し悲しそうな顔をした。女心ってわからん。そして結局ハリウサギの討伐、銀貨20枚を選んで受け付けに持っていった。
「はいよ、これで依頼の受付は完了だよ。運が良かったねこいつらそんなに強くないけど高級食材だからね、報酬が高いんだよ。ギルドにこれを売れば中々の値がつくよ」
そういわれるとギルドをでた。
「あとは、鍋と馬車、それとあなたのその身軽すぎる装備をなんとかしないと」
そう言ってまた先に行こうとするので引き留めた。
「それについては大丈夫だからついてきて」
そういうと帝都を出て森の中に入ったところで止まって蔵からマギアエルガレイオンNo.15自作水陸両用車、AQUA HUMUS NABIS略して"AHN-MARKⅠ"を取り出して見せた。
「ねえ・・・あんたって何者」
「そうだね互いに自己紹介がまだだったね。俺は宮廷魔術士団所属間宮 竜次よろしく」
「嘘だ・・・でも、それならあの強さも納得が行くか。
私は、カリナよろしく」
こうして二人の冒険が始まった。
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