騎士団入団3

「しょ、勝者間宮 竜次!」


 竜次はその声を聴くと緊張がほぐれ直ぐに地面に座りこんでしまった。

 どこからか拍手が聞こえる、その音はだんだんと近づいてきて自分の前で止まった。


 「おめでとう間宮君合格だ。君ははれて宮廷魔術士団の一員となった。」

 「あ、ありがとうございま・・・す?

  えっと宮廷魔術士団ですか?私は騎士団の入団試験を受けたのですが」

  「あぁそれはね、今戦ったランベルトが宮廷魔術士団第三団隊長だからだよ。それとも不満かね?

 宮廷魔術士団に入れば騎士団よりも給料はいいし宿舎も個室、それに帝国最強クラスと同義なんだが」


 なぜだろ俺は騎士団の入団試験を受けたはずである。それなのに帝国最強クラスと戦わされて、更には帝国最強クラスがそろう宮廷魔術士団なるものえの入団が認められてしまった。


 「おめでとよ竜次、やまじ参ったわあのビリビリはきつい」

 「いやいや、どうゆうことですかランベルトさん、そもそもあなた騎士団員じゃなかったんですか、それに宮廷魔術士団って何ですか」

 「悪かったな黙ってて、俺は宮廷魔術士団第三団団長でな"神速のランベルト"なんて呼ばれてんよ。っでも騎士団員ってのも嘘じゃないぜ、本当だからな。

 でだ宮廷魔術士団って何かってのはあそこにいる人に聞いてくれ」


 そう言って促された先にいたのはさっき話しかけてきた人である。


 「自己紹介が遅れてすまなかったね。私は宮廷魔術士団第一団団長兼宮廷魔術士団総団長のカルル=ランドゥーセン"鬼神"なんて呼ばれてたりする。

 でだ宮廷魔術士団とは簡単にいうと皇帝直属護衛部隊のことで皇帝を守るためにあったりする。騎士団は国を守るために動くが我々は皇帝を守るために動く、だから皇帝が外交などに自ら赴く際等は我々が護衛するんだ。これが主な仕事、あとは謁見があるときに謁見の間の両脇に立ち護衛をする。」

 「何か質問はあるかね」

 「皇帝を守るために動くということは、もしも帝国が危なくなったから、民を見捨て皇帝のみを守るということですか」

 「たしかにそういうことだ。しかし我々は魔術士だしかも帝国でトップクラスの、たとえ帝国が攻め込まれようと結界を張って皆を守るさ、本当にどうしようもないときはもちろん皇帝を優先するがね」


 なんか嫌な感じてはあるが、国なのだから仕方がないかもしれない。なんとなく割りきれないでいる竜次にランベルトがこういった


 「全てを守りたいっていうのは理想であり傲慢だ。

  でもな俺はそれは悪いと思わない、実際俺は全てを守るために宮廷魔術士団に入った。守りたいならそれだけの力をつければいい、それだけのことだ」


 そうである、もし守りたいものがあるなら強くなればいい。俺はおそらく魔術の天才である(自己評価)ならばできないことはない。不可能を可能にするこの力で全てのこれから出会う大切なものや人を守ってみせる。

 そう決意した竜次の瞳にはたしかな決意がみてとれた、どこか中二っぽいところがあるのが惜しいところだが


 「ランドゥーセンさん、いや団長これからよろしくお願いします」

 「よし、じゃあ明日から忙しくなるぞ!」


 そういいながらランドゥーセンは訓練場を出ていった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 「いや~良かったな合格できて。でもスゲーじゃねぇか、騎士団に入らずに魔術士団に入ったのなんて過去に三人しかいないからな、しかもおそらくお前が最年少だぜ」


 そう、魔術士団は今まで三人しか直接入れたのはいないのである。基本全員が騎士団を経て入団するのだから、しかしその三人のうちの一人がランベルトだということを竜次が知るのはもう少し後の話だ。


 「よ~し、入団祝いにパーッと飲みに行こうぜ」


 そういうと俺の腕を掴んでどんどん歩いて行ってしまった、そう俺の酒が飲めないという声も聞かずに


 「ついたぞ、ささはいれはいれ」


 そう言って連れてこられたのはなんともthe barといったふいんきを醸し出すお店だった。


 「マスター、酒二本瓶で」

 「いや、何度もいうけどさ俺酒飲めないから」

 「は、いついったよそんな事聞いてないぜ。

 まぁここまできたんだ飲んでけって」


 ニヤニヤしながら言ってきた。どうやらさっきまでの声も聞こえていたらしい確信犯である。まぁここは日本ではないからいいかとあきらめという名の妥協をした。


 「はい酒瓶二本ね」


 そういうと一升瓶二本とグラスが渡された。その後もランベルトは次々とおつまみらしいものを頼んでいった。少しするとテーブルはつまみで溢れ帰っていた。


 「ちょいとトイレいってくるわ」


 ランベルトが席を外した。おそらくテンプル道理ならここで絡まれるであろう。

 ほら早速やって来た。


 「おい兄ちゃん、結構持ってるみたいじゃん俺らに分けてくんね、今さなくて困ってんよ」


 そう言うと"がん"を飛ばしてきた、絵に描いたようなチンピラである。少し笑ってしまった。バレてないよね?


 「すいません、私もあげられる程持ってなくて。他をあたっていただけませんか」


 なるべく下手にでる。俺は平和主義者だから、それにこんなところでケンカしてせっかくの仕事がなくなってしまったら困るから争い事は避けたいのだ。まぁ、もちろんこちらの気持ちを理解してくれるわけもなく


 「おいおい、なにを言ってんだよないってんなら目の前のそれは幻か。なら邪魔だからどかしてもい・い・よ・な!」

 「やめ・・・」


 最後まで言うこともなく、チンピラにテーブルをひっくり返されて、御飯が台無しになってしまったので。


 「おい、謝れよ」

 「あ、なんか言ったかガキ」

 「謝れよ、謝れよ、謝れよ、謝れよ、謝れよ、謝れよ、謝れよ、謝れよ、謝れよ、謝れよ、謝れよ、謝れよ、謝れよ、なに謝れよ、謝れよ、謝れよ、謝れよ、謝れよ、謝れよ、謝れよ、謝れよ、謝れよ、謝れよ、謝れよ、謝れよ、謝れよ、謝れよ、謝れよ、謝れよ、謝れよ、謝れよ、謝れよ、謝れよ、謝れよ」

 「おいおいなにに謝れって言うんだよ」

 「作った人にだ!」

 「そんな必要があるか」

 「謝れって言ってんのが聞こえねぇのか!!」


 竜次の気迫に一瞬怯むチンピラ達、そして直ぐに我にかえると短剣をだして攻撃してきた。


 「なんだ、そのナイフは・・・

  食べ物を無駄にするやつに生きる資格はない」


 そういうと竜次は向かってきた男が痺れて動けなくなるイメージをする。そして肩に触れると直ぐに男は崩れ落ちた、それを見ていた仲間たちが敵討ちとばかりに一斉に攻撃してきた。竜次はそのことごとくをかわすと、男と同じように痺れさせて動けなくした。その後縄を作るとそれでも男達を縛りあげた。


 「すみませんお騒がせしました。これは私が片付けるのでそのままにしといてください、少し外でこいつらと話して来るので。」


 それだけ言うと俺は縛り上げた彼らを引きずって外に出た。


 「おい、お前ら覚悟はできてるよな」

 「今回は見逃してやる。でももし次にやったら楽には死ねないと思えよ。今からお前らに呪いをかける約束を破ると徐々に体の機能が失われていくというものだ。覚悟しておけよ」


 そういうと俺は彼らが食べ物を故意に落としたのをキーとして徐々に体の機能が失われていくイメージをした。それをかれら俺は彼らの頭上に手をかざすとそれを刷り込んでいく。やり方としては暗示に近いだろうか。終わったところでランベルトがやって来た。


 「竜次なにをやってる」

 「なにってこいつらに呪いをかけてやったんですよ」

 「呪い~!?何はともあれそれ以上はダメだ!」

 「や、もうやりませんよ。呪いもかけ終わったんで」

 「そ、そうかそれならいいが・・・

  いやよくないが,そいつらどうする気だ」

 「そうですね、とりあえず詰め所に連れていこうと思います。」

 「そうかわかった、なら俺も一緒に行こう」

 「あ、待ってください。お店の片付けと支払いをしてくるので」


 そういうと竜次は歓声を無視してお店の汚してしまったのを魔法で直すと支払いを済ませて出てきた。魔法ってほんと便利である。


 「じゃあ行きましょうか」


 そういうと竜次達は詰め所へ向けて歩き出した。

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