騎士団入団2

夕食は彼が作ってくれた。彼いわくこの世界に来たばかりなのだからまずはこの世界でのポピュラーな料理を食べてみて欲しいとのことだった。驚くことに彼の見た目からは想像ができないほど繊細で味わい深いものだった。人は見た目によらないと改めて思わされる瞬間だった。


 「ご馳走さまでした。

  ありがとうとても美味しかったよ。まさか料理ができるとはな」

 「まぁな俺は、親がいなくてそうするしかなかったしな、それに外で食べるよりも作った方が断然安いからな。」


  どこの世界でもやはり外食は高いらしい。でもランベルトいわくキッチンは高価なものでついている家は少ないらしく、騎士に入る前は川辺などで釜を作っていたらしい、そんな理由もあって自炊できる家庭も少なくそのため外食が高くなるんだとか。

 ということは、キッチンのついているランベルトの部屋は普通に買ったり借りたりしたら相当高くなるはずだ、もしかして結構偉い人だったりするのかもしれない。


 「今度俺にも料理を教えてくれよ、やっぱり俺もお金は大切にしたいからな。

 ってかいつまたお金がなくなるかわからないから、今のうちに貯めときたい」


そのあとは入団試験について少し話したあと眠りに着いた


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 


 今日はいよいよ騎士団の入団試験の日だ。

  昨日はランベルトに美味しいもらい、久しぶりによく寝られた。また今日も美味しいパンにスープを飲んだので今までの飢餓感もなく、体調、精神面共に万全の状態である。


 「よし、準備もできたことだしじゃあ行くか」


 そう彼が言うと詰め所の裏にある訓練場へと向かった。

 訓練場に行くと入り口のすぐ脇で一人の女の人がたたずんでいた。


 「おはようランベルト、あなたが来たってことは隣にいる彼が入団試験を受けたいって人ね、見た感じあまり動けなさそうだけれどあなたが連れてきたってことはそこそこできるんでしょうね

。」


 と彼女は話しかけてきた、とても美人だが目付きが鋭くどこか冷たさを感じさせる人だった。


 「初めまして私はヒナタ=ニヒルです。ところで君、名前はなんと言うのかしら」


 俺は軽く自己紹介をすると彼女から試験の説明を受けた。

 試験は三回にわけられており内容は以下の通りである。


  第一試験、筆記 騎士団に入る上での心構えと、騎士団の存在理由について


  第二試験、面接 筆記ではわからない人間性についてなどで、ここをクリアすると第三試験に挑めるらしい


  第三試験、実技 ここではまず一等騎士と対戦し勝利出来れば試験管が新たな階級の騎士団員を指名し、自分が負けるまで続けるらしい。また階級とその人数は以下の通りである。しかし三等将校以上は基本人数に変動はない。


 騎士団長 1人


 副騎士団長 2人


 騎士団長直属騎士 1000人


 騎士副団長直属騎士 40000人(2000人づつ)


 一等将校 1500人


 二等将校 5000人


 三等将校 10000人


 一等騎士 約50000人(現在)


 二等騎士 約700000人(現在)


 三等騎士 約1000000人(現在)


 という方法で試験をし、後日結果が発表されるらしい。


 「今回は私が試験管督を勤める。では第一試験会場へ行くついてこい」


 そういわれてついて行くと応接室に通された。

 筆記は事前に問題をいわれていたので直ぐに終わった。

 次に面接である、これも特に問題なく終わったと思う。後になって知ったことだかこれらは西側からのスパイではないかを調べるものらしく特に他の意味はなかったらしい。


 「では他の試験管と検討するのでしばしここで待つように」


 そういうとニヒルさんは部屋を出ていき、それと入れ違いに今度はランベルトが入ってきた。


 「よう、お疲れさんどうだったよ簡単だったろ。実は筆記と面接は形式てきなものだからあまり意味が無いんだけどな、実力だけあれば基本誰でも入れるんだよ。だからこそ次は厳しいぞ、なんせ経験豊富な歴戦の勇士達だからなまぁ頑張れよ。」


 そんな話をしているとみはからったようなタイミングでニヒルさんが戻ってきた。


 「筆記、面接共に問題ありませんでしたので合格です。では第三試験を行うので訓練場まで来て下さい」


 そういうと部屋を出ていってしまったので俺達も直ぐにあとを追った。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 訓練場に着くと片手剣を持ったおじさんが待っていた、年の頃は50代前半といったところだろうか、頬に大きな切り傷がついているのが特徴的な人だ、


 「よう、お主が相手の間宮じゃなわしはモンドという、武器はなんでもよし、なければ好きなものを貸そう。

 本気でかかってこいよ、ルールは相手に降参させるか、気絶させた方が勝ちだ、制限時間はない好きなだけかかってくるがいい」


 と、言うと訓練場の中央へ行ったので俺もモンドさんについていった。


 「お前さん素手でいいのかよ、悪いことはいねぇ武器を使いな」


 とこちらを心配してくれた。


 「あ、大丈夫です。お気遣いありがとうございます」

 「うむ、ではいつでもかかってくるがよい」

 「では行きます!」


 そういうと俺が肩に触れた瞬間にモンドが麻痺して動けなくなるさまを想像してから全力で踏み込み走り出した。モンドには竜次が消えたように見えただろう、すれ違いざまに肩に触れた。するとモンドは一瞬固まると直ぐにビクッとして倒れて動かなくなってしまった。


 ニヒルさんは驚いたようで目を見開いて一瞬かたまったがすぐにこちらをみて


 「モンドの戦闘続行不可により間宮 竜次の勝利とする。

  いや、まさか君が魔術士だとは思わなかった。それになかなかのスピードだ。では次の相手は・・・

  ランベルトいけ」


   え、ランベルトさんが相手!?モンドさんは瞬殺だったからどれぐらい強いのかわからないけどランベルトさんが2人目ということはさっきの人よりは強いということだろう。


 「おいおいニヒル、俺ぁあれがないとこいつには勝てないぜ」

 「わかっているもちろん使ってよい、互いに準備ができしだい開始だ」


 しばらくすると、初めて会ったときの騎士の鎧姿ではなく、黒に赤のラインが入ったコートに身をつつみ、腰には二本の剣を携えたランベルトがやって来た。


 「悪いな竜次これを使っちまったら手加減できねぇんだわ、死なないように頑張ってくれや」


 死なないように頑張れって、死ぬかもしれないってことだろ。や、まじ棄権したいわ。などを考えて本当に棄権しようとした瞬間に対戦開始を告げられてしまった。

 すると一瞬霞んだかとおもったら次の瞬間には短剣を持ったランベルトが目の前に肉薄していた。俺はとっさにガードて短剣を防ぐと、バックステップですぐにランベルトと距離をとった。


 「凄いじゃねぇかよく今の一撃止められたな」


 どうやら動体視力はそのままだったらしくランベルトの速さに目が追い付かなかった。


 「ま、まぁね」


 内心冷や汗である。

 (ヤベーってまじ死ぬかと思った。スゲーぎりぎりでどうにかなったが、どうしろってんだよあんなの何回も受けられないぞ。どうしたらあのスピードについて行ける、考えろ、考えろ、考えろ俺まじでしぬぞ、何かそう一瞬で移動できるもの、それかとても硬い守りか・・・、そうだ瞬間移動これで先に攻撃すれば避けなくてすむ、そうだやられるまえにやれだ!)


 そう考えついた瞬間にランベルトの二撃目がきた。さっきよりも少しなれたのかぎりぎりでガードを張ることはできた。しかし威力が上がっていて受けきれず後方へ吹き飛んでしまった。そのまま俺は壁にぶち当たると圧力で肺のなかの酸素を全て吐き出してしまった。また、遠退いていく意識をギリギリで保つと、直ぐに瞬間移動をするべく、俺が一瞬でランベルトの後ろに立つ想像をした。すると一瞬で景色が変わった、成功である。


 「お、おい今なにしたよ、竜次お前さっきまで俺の攻撃で飛ばされて壁の方にいただろ、それに移動した気配も感じなかったぞ」


 驚いたランベルトは一瞬動きが鈍くなりこうきいてきた。本当の戦闘ではこの一瞬が命取りになるのだがまだ、竜次は気が付いておらず普通に答えてしまった。この瞬間竜次にも致命的な隙ができてしまった。


 「ただ、別の場所に一瞬で移動する想像をしただけだよ」


 そういうと今度はこちらから攻撃を仕掛けた。ランベルトのすぐ後ろに立ちそのまま彼に触れ麻痺させる想像をした。すると景色が直ぐに変わり彼に触れようとした瞬間、彼は短剣を逆手に持つとこちらを薙ごうとした。しかしその瞬間に竜次は別の場所に立って態勢を立て直すとすぐさままた移動して麻痺させる想像をした。それをまたしても感覚だけで防いだランベルト、そのような攻防を続けていると、竜次も次第に瞬間移動になれてゆき、8手目ぐらいで攻撃が通り、ランベルトはモンドと同じように一瞬固まると直ぐにビクッとして倒れてしまった。

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