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 輸送艦グリーン・ベイは、ありとあらゆる、両軍の戦闘航宙艦が放つ、航宙艦攻撃兵器を縫うようにして、第五艦隊が組み立てつつある十字架に最下部から迫りつつあった。

 その光景は、その破壊力を考慮に入れなければ、美しいといっても過言ではなかった。

 極彩色の発射されたビーム兵器。ドムネア星系で採取される、瞬間燃焼系の特殊火薬を利用した射出兵器。宇宙艦隊が放つ、色とりどりの花火のページェントがグリーン・ベイのブリッジ、各船室からは見えた。

 しかし、それらは、一触即発の危険物である。直撃を喰らえば、輸送艦グリーン・ベイなどひとたまりもない。、   

 越乃少尉は、キャプテンシートに座り、その極彩色のペイジェントを楽しみながら、笑っていた。

「パットナム宙士長、やるじゃないか」

 しかし、パットナムは答える余裕はなかった。

 舵角にして5度、2度、見越し退避、時間差退避と相対退避、相対速度、バリアント星を中心にした絶対宙域位置、重力により加速度、すべてを利用して、両軍の兵器をかわしていた。

「黙っていなせぃ、キャプテン、これでも、航宙艦の舵輪握って、30年だ、だてに、宇宙で三十年も飯食ってませんぜ」

「その意気だ宙士長」

 もう戦艦"ニュー・アーカンソー"の影に入るしか、この宙域で安全な宙域はなかった。

 そこを、目指して、パットナムは、噴射と推進剤をまぜこぜに使っていた。

 輸送艦グリーン・ベイは一路、戦艦"ニュー・アーカンソー"へ。

 そこしかない。

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