5.『自分』



小鳥の声が聞こえる。朝日が眩しい、俺の体を照らす。

昨日俺は、アイスに「好き……」と言われた。こ言うのって、どうすればいいの?わからない……

とりあえず、一階へ降りる

「おはよ、アルクス」

「おっは〜!」

「おはよう」

「お、おはよう」


「おはよう」

皆んなに返事をして、井戸に顔を洗いに行く、アイス案外いつも通りだったな……

俺もいつも通りの自然体でいいって事だよな?

これが、恋愛なのか?なんか違う気がする…………


でも…悪い気分では無い………


ぱぱっと、朝ごはんをすまませ出掛ける準備を済ませ宿を出る。


「じゃ、ちょっと出掛けてくる」

「行ってらっしゃいアルクス」


「うん、行って来る」ーーーーーーーーーー。



いつからだろう…私がアルクスを好きになったのは、このパーティーに入った時かな?

ああ、なんか嬉しいような辛いような………


アルクスと、ハグ出来たのは嬉しかった。あの、大きな背中だけど女の子の様な感じもした。


「駄目だ。思い出してしまう」

昨日の夜、中庭での出来事がどうしても忘れられ無い………


太陽の光が眩しい、私には、アルクスがそれよりも眩しく感じる。


好き、好き、好き、好き、好き………………


「はあ、好きだよ。アルクス?」


そう言ってベットの上で横になる。ーーーーーーーーーーーー。




1人で、街を歩く。行く当ても無く。ただ、歩く。

街の、大門を抜けると市場が広がっている。いつもは、人通りが少ないが、週末だけ会って人が結構いた。

そんな、市場を抜け裏道へ出て、俺行きつけのお店へ入る。

「よーアルクス」

「ああ」

アレックスが1人でお酒を飲みながら座っていた。アルクスは、その隣の席に座る。

「ところで相談ってなんだ?」

「そ…その……恋愛ってどうやってするの……?」

そんな質問をすると、アレックスは飲んでいたお酒を満開に吹き出し、噎せている…

そこまで反応するか…?

「あっ、ああ…それで!ゴッホ!ゴッホ!なんだ?」

咳き込みながら話すなよ。

「だから…どうやって恋愛するの?」

「え、えーとーだな……そ、それは………」

「それは………?」

俺は、唾を飲む。


「キスだっ………………!」

「へ………………………?」

キス?この俺が?出来る訳がない。

無理無理無理無理………………

「アルクス………」

真剣な表情で、俺を見つめるアレックス

「な、なんだ?」

「俺は、長い事付き合っていた子が居たんだが、なんも進展が無く。この前別れた…」

ええ……俺にそんな話しなくても……

「お、おう」

「だから!お前は、ビビらず!その!お前の女にキスをしろ!いいな!」

そう言い残し、アレックスは泣きながらお店を後にした


この人、何言ってんだ……?あと、アイス俺の女じゃないし…まだ……

そもそも、俺は勇気が無い、そんな俺にキスなんて不可能に近い話だ。


「はあ、疲れる…」

そんな、一言を残し店を後にする。


きずけば、もう夜だった。1人、川の辺りで寝ている。

帰るか……


宿に着くと、皆んな夕食を済ませていた。

「ああ、アルクス帰って来たか。ご飯できてるぞ。」

そう言って、セイジが夕食をテーブルの上に出してくれた。

「ありがとう」


階段を降りる、音が聞こえる。

「アルクス!どこ行ってたの!?心配したよ!!」

母親みたいな事を言ってくる、アイス

「ええと、ちょっと市場の近くの店まで…」

「もう、次からは、もうちょっと早く帰ってきてね、私もう寝る…おやすみ」

「おやすみ」

アイスが心配してくれるのはありがたい…けど……………




「面倒くさい……」





そんな言葉が俺の口から溢れた、無意識のうちに。

俺は、こんな感情の無い人間だ。そんな、俺を誰も知らない…………








  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る