4.『恋』


俺は、死んだのか……?


目を開ける……そこには、首が無いモンスターが倒れている。え?誰が?

「大丈夫?」後ろから女の子の声が聞こえる、後ろを振り返るとそこには、夢で見た黒いフードを被った女の子だった。

「え……?あ、ありがとう」

この子が助けてくれたのか?一人で?嘘だろ……

「うん」

あの子だ、間違いない、夢で見た子だ。

「き、君……が一人で俺の事を助けたのか?」

「そうだけど……」

そんな…魔法でやっと倒せるモンスターを一人で………いや、こんなの誰にでも分かる事かもしれない……

この子強い。次元が違う感じがする、そのなんて言うか、雰囲気?が俺達とは全然違った。

「あんたは座ってな」

黙って頷く……そう言い残し彼女は、モンスターを目に見えない程の速さで殺す。殺す。殺す。…………

俺達はそんな力の差を思い知り、足の力が抜け倒れた………この世界は、人間は平等だ。なんて、言う者が居るがそれは違う。

何にも、少し足りとも平等ではない。

弱者は死に、強者は生きる、これを平等なんて言うだろうか?

俺は思わない、実際差別される奴隷がいて、農民でさえ差別される世界そんな世界を神は望んだのだろうか…………?


気付けば、モンスターは一体も居なくなっていた。

けど……………


最初は、100以上いた攻略部隊が今では、半分も居ない。


「はあ」

俺は、ため息を吐く……これだから、この世界は………………。




その後、国の聖騎士が到着して負傷者などが救出された………幸いにも俺達のパーティーは1人も死なず。

セイジが、軽傷を負っただけだった。


死者76名 生還48名


死にすぎた、尊い命が………………ほんの数時間で消える。その辛さを俺らは体感した。



ダンジョンを出て家まで帰る頃には皆んなヘトヘトで、歩く事もままならない状態…ご飯も食べずにベットで横になる。顔を両手で覆う、手が濡れている。なんで?どうして?



俺、泣いてるの…………?



夜中急に目が覚めて、外の空気でも吸おうかと中庭に出ると、中庭にアイスがいた…アイスも落ち込んでいる表情だ。

「よ、アイス…」

「あ、アルクス、どうしたの?こんな遅くに…」

「外の空気を吸いたくてな…」

「私も」

会話が止まった。俺は元々女の人と会話をするのが得意ではないし、そもそも、好きになった事もない増して、恋愛感情など今までの人生で感じた事が無かった。

こういう時、どうすればいいかな……?そんな事を悩んでいると、アイスが………突然話しかけてくる。


「わ、わたし………アルクスの事が………好き。」

好き?そんな事始めて言われた気がする。いや、コノハにも前言われたか………?よく覚えていない。

好き…それこそ恋愛感情…


俺の感じた事の無い。


俺が、感じてみたい感情。


「え、えっと…………」

言葉が詰まる


「アルクスのそんな無感情な顔が好き、アルクスの体が好き女の子見たいなひ弱だけど、しっかりとした体が…もっと、もっといっぱいある……」

アイスの、顔が月の淡い光に照らされ、輝いている。

これが、恋愛感情か?心が熱く、苦しく、そして嬉しい気持ち…


アイスが、抱き締める、俺の事を…


俺は、抵抗が出来なかった。いや、自分の意思で抵抗していないんだと思う…

俺も抱き締める、アイスの小さい背中を


「アイス……」

「なに?言って置くけど離さないよ」

「ああ、そんなんじゃ無い、生きるって最高だな」


「うん」



その日は、何にも無く、普通に自分の部屋へ戻り寝た………ーーーーーーーーー。

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