2. 『温もり』



朝日が俺の顔を照らす。目を開けるとカビの生えた天井が見える。

「朝か」

今日は、ダンジョン7階層攻略出発の日だ、俺は素早く準備をして一階に降りた。

「おお〜起きたか!アルクス!」

「おはよ〜」

「おはよう、アルクス」

セイジとシリウスとアイスは、起きていた。あれ?キララは?

「おはよ〜あれ?キララは?」

「キララ、まだ起きて無いぞ」

まったく……。こんな大事な日に寝坊なんて、

「ちょっと、起こしてくる。」

そう言って、キララの部屋に向かった、

「おーい、キララ起きろー」

「………………」

反応が無い、どんだけ熟睡してんだよ。

「おい!キララ起きろ!」

「ふぇ?」

やっと起きたが、まだ、現実と夢の区別がついていない。俺は、キララの頭を叩きむりやりベットから、引きずり落とす。

「もうすぐで出発するぞ、早く着替えろ皆んな一階で待ってるぞ。」

そう言い残して、階段を降り一階へ降りる。俺が、皆んなを引っ張って行かなきゃ行けないんだ。

そんな、責任が俺の心を苦しめている、絶対に誰も死なせない。そう俺は心に誓う…。

10分後、キララが一階に降りて来た。

「遅いぞ、キララ。」

俺は、そう言ったが皆んな笑顔でキララを見ている。


『それじゃ!行こう!!』

皆んなで、そう言い街の中心にある広場へ向かった。



「結構人いるな〜」

広場に着くと、かなりの人数が居る、ざっと100人ぐらいだろう、皆んな強そうだ。

俺達見たいな、底辺パーティーもちらほら居る、そう思いながら広場を見渡して居ると、夢で見た事のある物が、俺の目に映った。それは、夢に出て来た、黒いフードを被った女の子……。俺は、すぐにその子の後を追いかける。だが、かなりの人数が狭い広場に溜まっているので直ぐに見失なってしまった。

「あの子は…。」

「どうしたの?アルクス?」

そう話しかけて来たのは、アイスだった。

「いや、なんでも無い」


「注目ーーーー!」

広場の真ん中から声が聞こえた、さっきまでうるさかった広場が静まり返る。

確か、あの人はこの街で最強と言われる剣士ヴァーム・アルベールだ。

「俺は、君らが素晴らしい結果を残すと信じている!!これより!ダンジョン第7階層攻略を開始する!」


『おおおー!』

静まり返っていた広場が、突然とうるさくなった。そうして、ダンジョン攻略が始まった。ーーーーーー。


ダンジョンに着くと、コノハのことが脳裏をよぎる。

やだ、死にたくない…怖い、怖い怖い怖い……。俺は、普通の精神状態は保てなかった。そんな事を考えていると、隣を歩いていたアイスが、俺の事を見て心配げに話しかけてくる。

「大丈夫?アルクス」

そう、言いながら俺の右手を掴んで、話す。

俺は、生まれて初めて女の人と手を結んだのかもしれない。その手は、温かく、優しく、強いまるで…。

子供の、手を握り締める母親のような温もりを感じた。

「う、うん ありがとうアイス」

「ううん、気にしないで私も手…つないでいたいから………。」

「うん」



ダンジョン7階層の入り口に到着した。


「これより、第7階層攻略を開始する!!」

アルベールが指示を出す。---------------。

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