1. 『夢』



光が、俺達の行く先に見える。眩しく、強く、優しい光が…。


「出口だ!!」

セイジが、声を上げた。『おおー!』みんなで喜ぶ。

「よかった。」

呟いて、目を瞑る。

こうして、地上の光が見れて本当に良かった。正直、もう駄目だと思っている自分がいた。

でも、こうして…。地上に、帰って来られた。本当に良かった…本当に………。



「ゆ、夢か…………。」

朝起きると、カビで汚れた天井が見えた。あんな、夢見たくも無かった……。あんな夢。

俺は、泣きながら床に倒れ込む。

「なんでだ!なんであの時、助けられ無かったんだ!クソ!クソ!」


大粒の涙を流し、昨日の事を思い出す。

ダンジョンへ探索に出掛け、戻ったのは。俺、シリウス、セイジ、キララの4人だけだった。そう、コトハと俺は探索中に、大型モンスターに襲われて……………………。なんで…なんで俺だけ、助かるんだよ。

この世界は残酷だ、俺達は生きる為にモンスターを狩る、だが、モンスターも自分を守る為人間を襲う。それは、分かってるけど……。死って、突然来る物なんだな、せめて遺体だけでも持ち帰って、お墓に埋葬してあげたかった。

俺は、その日の夜1人で飲み屋へ行った。シリウス、セイジ、キララも誘ったが、皆んなベットにうずくまり

来る気配は無かった。


「おう、アルクス。」

1人で、お酒を飲んでた俺のテーブルに友人のアレックスが、来た。

「よう、アレックス。」

元気の無い返事をする。俺、

「アルクス、今日の朝聞いたんだが、コトハちゃんが死んだのは、本当なの……か?」

「うん。多分…いや、確実に死んだと思う。遺体は、持ち帰ってない。」

「そうか……。あの、コトハちゃんが…。」

「うん」

「そこで、俺的に思ったんだが、ダンジョンを探索するには、ヒーラーは必要不可欠な役職だ。俺の友人にその…今、パーティーに入って居ない。ヒーラーの女の子がいるんだが、どうだ?」

確かに、ダンジョン探索には、ヒーラーは必ず必要だ。でも………俺1人で決めれる程軽い話しでは無かった。

「わかった。とりあえず今日、宿に戻ってから、パーティー全員で話てみる。」

「おう、頼む。」

宿へ、帰り俺は全員を呼び話しを始めた。

「あのな、さっき飲み屋でアレックス会ったんだ。そこで話た事を皆んなに伝えるいいか?」


「ああ。」

「ええ。」

「はい。」

皆んなの、悲しく、寂しく、悔しい感情がこもった声が聞こえる。


「俺達のパーティーは、今コトハが死んでヒーラーが居ないそこでアレックスの友人がヒーラーでどこのパーティーにも参加してない子が居るらしい。そこで、その子俺達のパーティーに入れようと思うどうだ?」

皆んな、迷っている。当たり前だ、だって昨日だ、昨日俺達の仲間がしんだんだ。まだ信じれない。信じれるはずが無い。


だが、その中1人立ち上がった。

「俺は、賛成だ。ヒーラーがいなきゃ、ダンジョン探索さえ出来ない。」

立ち上がったのは、セイジだった。

「私も、そう思う……。」

シリウスも、少し戸惑いながらも賛成してくれた。

「ふ、2人が言うなら、うちも賛成。」

キララも賛成してくれた。

次の日、アレックスに報告し,明日その子と会う約束をした。


俺たちは、前に進まなきゃ行けないんだよな。青空が綺麗だ、両手を空へ上げ日光を沢山浴びる。


「進もう」ーーーーーーーーーーーーーーーーー。



次の日の朝、昨日の飲み屋に皆んなでいった。

お店の中に入ると、もうその子は来て居た。孤独で、1人ポツンと座っている。



向こうが俺たちの事をきずき軽く礼をしてくれた。


『こんにちは』

若干、元気無く挨拶する。皆んな、流石にまだテンションが低い。


「こ、こんにちは……名前は…アイスです」


「よろしく、アイス俺は、アレクスと言います。」


「俺は、セイジという」、「私は、シリウス…よろしく」、「私は、キララですよろしくお願いします。」

全員挨拶を終えて、本題に入った。

「まず、アイスさんは俺達のパーティーに入るって事でいいんだよな?」


「はい、よろしくお願いします。あと、呼び捨てでいいですよ。私も、皆さんの事呼び捨てにするので、」


「わかった。」

皆んな、頷いている。


そして、皆んなで雑談をしていると俺達の隣の席から、会話が聞こえて来た。

「おいおい、ギルドがまだ攻略されていないダンジョンの7階層を攻略するらしいぜ。攻略組は、無事攻略出来たら、金貨10枚だとよ!」

「おいおい!まじかよーでも、モンスター相当強いだろーそれじゃあキツイんじゃ無いかー?」


本当なのか?ダンジョン攻略って。

「皆んな、ダンジョンの7階層攻略って本当なのか?」


「ああ、聞いた事がある。成功報酬は確か金貨10枚だったはずだ。」

どうやら、本当らしい金貨10枚なら、俺達は一年間何にもしないで生きていけるぐらいの金額だ。

もう2日、ダンジョンに行って無いため、俺達の懐は空っぽだった。


「あ、あの!それ参加して見ませんか!」

そう切り出したのは、シリウスだった。以外な、人物で俺と他のみんなも驚いていた。

人ってちゃんと成長してるんだな。

「おう!いっちょ!やってみっか!」

セイジも賛成のようだ。

「私も〜!やります〜!」

キララもだ。


「それじゃあ、決定だな!」

やっと、皆んなに元気が戻り本調子になった気がした。

アイスが、俺たちの宿へ引っ越して来て。話す機会が増えた。もちろん、他の皆んなも。



次の日、俺はアイスと一緒にギルドへ、階層攻略参加の手続きをしに出かけた。

「アイス、俺達誰も死な無いよな?」

「誰も、死な無いと言う保証は無い。でも、皆んなが死な無いように援護するから....安心して、アルクス。」

「わかった、頼むぞ。」

頑張るのは、アイスだけじゃ無い俺も、パーティーを引っ張っていかなければ行けない。皆んな、頑張っているのに俺だけ、何にもせず.....。

「ついたよ」

アイスの、冷めた声が聞こえる。

「ああ。」

アイス、悪い奴では無い、コトハの様な笑顔、優しさは欠けるが、俺達に気を遣い優しくしてくれる。いい奴なんだな。

「よう、おばさん」

「あっら〜アルくんじゃないの〜今日はどうしたの?」

「ダンジョンの階層攻略参加の手続きをしに来た。」

「あれー?見ない顔ねえ〜アルくんのガールフレンドかしら?」

『違う!』俺とアイスの声が重なる。

「仲のいい事!」

俺がアイスの方を見るとアイスはそっぽを向いていた。アイスの顔が赤い。

「そ、それで?手続きはまだか?」

「今、してる所よ!」

「わかった。」

手続きをした後、俺とアイスは近くのお店によった。

「ねえ、アルクス。」

「ん?何だ?」

「わ、私のことどう思う?」

え?アイスが急に、おかしな事を聞いてきた。どう思う?

「ええ?頑張ってると思うよ」

「違う、そう言う事じゃない!私の事......か、可愛いと思う?」

顔を赤くしながら、聞いてくるアイス。まあ、俺的には可愛いと思う。

「可愛いと思うぞ」

「本当に?」

「本当に」

何故か、アイスが照れて顔を手で押さえている

「へへへ.......」

会話が途切れた。そろそろ、帰ろうと言おうとした瞬間、アイスが話しかけてきた。

「アルクス!あ、あの絶対死なないで、」

「ああ、こんな所で死ねるかよ」

「よかった.....ダンジョン攻略して、皆んな生きて帰ろうね」

「うん」

初めて、アイスの笑顔を見た。それはどこか、コノハに似ていた。



「帰ろう皆んなが待ってる」----------------------------。






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