神の子と鬼切太郎
一本橋を渡った先には、昔から
里に住む人間は、たびたび山に入り山菜や木の実、野生の動物を獲っていたが、
人里近くに
神の子が産まれて間もない頃。真夜中に村を襲った恐ろしい赤鬼を、神の子は触れることなく撃退した。
それから毎年。夏の
初代神の子は真面目な
村長の子として、神の子として、初代神の子は誰かも信用され、尊敬される人間に違いなかった。
ただ一つ、残念なことがあった。
初代神の子は村の娘と
ふたりの姉は初代神の子のように真面目で誠実な
末っ子で皆に甘やかされて育った
だが初代神の子が亡くなった後。
村はこの先も神の子を絶やさぬよう、二代目神の子と村の若い娘たちを結ばせ、次々と子を成した。
二代目神の子は
そして初代神の子が亡くなって、二年目の夏の夜。
前の年、二代目神の子は初めての鬼退治へ出向いた。
虫も声を
赤鬼は二代目神の子の姿を見るや否や、身の毛がよだつ声で
赤鬼の声に驚いた二代目神の子はその場で尻もちをつき、そのまま一本橋の上で気絶した。夜が明けて目を覚ますと、赤鬼の影も形も無くなっていた。
二代目神の子は赤鬼に対して何もしなかったが、なぜ赤鬼はいなくなったのかを考えた。そういえば初代神の子も、触れることなく鬼を撃退したという伝説があった。神の子に選ばれし者は、なにかしら目には見えない
神の子が鬼の前に姿を現すだけで、鬼は恐れを為して逃げて行くと解釈した二代目神の子は、鬼を恐れる気持ちをすっかり無くしてしまった。
星夜の下の一本橋の上。
虫の声も聞こえない静寂が、張りつめた空気に一変する。
森の奥から一本橋に向かって、枝を揺らし、踏みつける足音。
二代目神の子は、目を疑った。
現れたのは、前の年に出会ったあの恐ろしい赤鬼の、首を持った人間だった。
「
「こ、
「神の子か。いざ勝負!」
赤鬼の首を脇に放り投げた
諸国を巡り鬼退治をするこの
裕福で安定した暮らしを得たにも関わらず、この
各地で鬼と呼ばれる存在。それは
鬼を切る。その行為に取り憑かれた
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