第十四章 <Ⅱ-1>
「
あたしたちが街を出発してから、そろそろ三時間ほど経っていた。
「はい、先生。ちょっと眠いですけど――。先週までは寝ていた時間なので」
林の膝には、子グマの顔が抱かれている。
――ほんとにリンリンは、普通にみんなとしゃべれるようになったなあ。
「リンリン。そのクマ、ポンヌフっていうんだよね? 可愛いねえ」
「ありがとう。この子は
「すっごい上手! 売ってるやつみたい」
「ほんとに? 作ったときって、おねえちゃん、まだ中学生だったんだよ」
林は自分が褒められたみたいに嬉しそうだ。
「それはすごいな。木槿さんは料理も得意だったのか?」
ポンヌフをななめに観察しながら
「ううん。全然ダメだったと思う。たしかリンゴも剥けなかったし」
「なんでっ?」
全員同時につっこんだ。
「やりたくないことはしない! って威張ってたよ。すっごい食いしん坊なのに」
助手席のママが前を向いたままクスッと笑った。
「おねえちゃんって、その頃いくつ?」
「十六歳」
「大丈夫か、それ」
林とあたしたちの笑い声がはじけた。
「木槿さん、マジ面白いな。――そうか。今、ちょうど同い年なんだ?」
青深がイケメン顔で林に頬笑みかける。
「会ってみたかったね!」
と、あたしが言った。「――きっと仲良しになれた気がする!」
「ほんと! 一緒に遊びたいねー♪」
陽蕗子がさえずる。
「ありがとう。みんなに会ったら、おねえちゃん喜んだと思う」
林がちょっぴり涙ぐむ。
岩山を
ここまで登り続きだった道が
「やあ、久し振りだなあ」
車のスピードを落としたパパが、嬉しそうに
集落に入る手前で谷川に架かる石橋を渡ると、尖った石碑が立っていた。
道幅がやや広くなった山側に五台分の駐車スペースが取られているが、車は一台も停まっていなかった。パパがウインカーを出して一番端にSUVを入れる。
「ここが村の菩提寺なんだ。君たちの予定にはなかったが、
シートベルトを外してパパが笑った。
――それでママが
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