宵待ち姫<前編>
『宵待ち姫』前編 <壱>
作・絵
むかしむかしあるところに、とても
村人の信頼は厚いものの、かげでは
あるとき、頑固長者とそのお嫁さまに、かわいい女の子が生まれました。
女の子は、
信心深い夫婦は観音様からの
宵待ち姫は大事に
頑固長者の家はますます栄え、宵待ち姫は誰からも愛されておりました。
でも、宵待ち姫はしあわせではありませんでした。
それは、七つになったお祝いの夜にはじまりました。
夢のなかで、宵待ち姫は鬼になるのです。
頭には
鬼になった宵待ち姫は、力まかせに暴れまわります。
田んぼの
宵待ち姫のお父さんもお母さんも、村のみんなも泣いています。
夢のなかでは、それが楽しく楽しくてしかたないのです。
そんなことを願ったことなど一度もないのに。
目が覚めると、宵待ち姫はおそろしくて泣きました。
宵待ち姫は眠るのが恐くなりました。
でも、子どもがいつまでも起きていると叱られます。
大人たちが寝静まってから、こっそり起きて、一人で遊ぶようになりました。
しかし、人というものは、眠らずにはいられません。
宵待ち姫は、いつも昼間に居眠りをするようになりました。
七つの子どもが居眠りをするので、頑固長者はたいそう心配しました。
何人もお医者さまに見せましたが、宵待ち姫の居眠りは治りません。
宵待ち姫が恥ずかしがって本当のことを言わなかったからです。
そんなある日の
橋のたもとで、宵待ち姫が眠くてぼんやりしていると、橋の向こうから黒い人影がやってきました。
近づいて来たその影をよく見ると、それは、いつも夢に出てくる鬼でした。
鬼になった宵待ち姫でした。
宵待ち姫が悲鳴をあげて逃げようとすると、鬼が言いました。
「待て。待て。宵待ち姫。これは夢だぞ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます