「仮面」
私は殺し屋。
知る者は、私のことを「ミーアキャット」の通り名で呼ぶ。
殺し屋の中では、すっかり有名人だ。
「──ねぇ、私いつまでここにいなきゃいけないのかしら…?」
「12時、あと五分だけ。それまでに返事があるといいね。無かったら私、貴方を殺さなきゃいけないから」
「………」
「………」
「どうして仮面をしているの。綺麗な声が台無しだわ。」
「1年前に手榴弾で顔を吹き飛ばされた。医者からは、この程度で済んでラッキーだって言われた。女の顔をなんだと思ってるのかとキレたくなったけど。」
「ねぇ貴方、いくらで雇われたの?お父様なら倍額お支払いできるわ」
「ごめんね。殺し屋は信用商売なんだ。裏切りをすると、自分で自分の首を絞めるハメになる。言葉通りの意味で。」
「なら、うちに雇われてくれない?それならば悪い思いはしない。私を殺したことにして、逃してくれるだけでいいの。」
「………12時。お父様とやらは君に10億は払えない、ってさ。」
「嘘、そんな、あり得ないわ!お願い!殺さないで!
──お姉ちゃん!」
「………」
「どうして……どうしてお姉ちゃんが私を殺すの!殺し屋に育てられたからって、殺し屋になる必要なんてない!お願いだから助け──」
「黙って」
ぱぁんっぱぁんっ!
「………20分は稼いであげる。その間に逃げて」
「お姉ちゃん……」
「早く行って」
「うん、お姉ちゃん。でも20分も要らないかな」
「貴方を殺すのに1分もかからないから」
どすっ
「えっ…」
「即効性の劇薬が塗られたナイフ。後五分も無いから早口で説明してあげる。」
「私は貴方の妹の影武者で、変装が得意な殺し屋。」
「今回の誘拐のお仕事は八百長で、お父さんは貴方の決意を試したかったみたい。」
「で、私は貴方が裏切るようなことがあれば殺せって言われてここにいる。というわけ」
「で、こんな内容をペラペラと喋るのは私の趣味。死に逝く人が納得して死ねるように、っていう
「じゃあね、三流ちゃん。殺し屋としては失格だけど、姉としては誇っていいわ。」
私は殺し屋。
知る者は、私のことを同族を頻繁に殺すことで有名な動物「ミーアキャット」の通り名で呼ぶ。
"殺し屋"専門の殺し屋として、殺し屋の中では、すっかり有名人だ
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