レイカ

彼女を見つけたのは夜中の公園だ

全く何で客のわがまま聞かなきゃいけないんだよ。

飲めない酒しか無いなら他いけよ

イライラしながら一服しようと公園の喫煙所に行くと女性がいた。

真冬だというのに白いワンピース

海に面した柵に足を......

「離して!私は死にたいの!」

まさに海に飛び込もうとした女性の腕をつかんだ

「落ち着け、死んでなんになるんだ?」

「死んで復習してやるのよあの男に......」

「死んでも解決しねえよ!」

そのままヒステリーに暴れる彼女を抱き上げ走った。

なにやってるんだ?

気づいたら店まできていた。


「リクが女さらってきただと。」

ユウさんが苦笑する

あのわがままやろう......

その女性はイスに座って頭を抱えている。

「落ちついた?」

「死にたかったのに......生きている意味なんてない......」

「生きてちゃいけない人間なんていないよ。」

俺が言うと顔をあげた

泣きはらした目だが可愛らしい

「生きる意味がわからない......ヒロは私を捨てた......あのキャバあがりの女をえらんだ。」

そいつぜったいろくな男じゃないと思うが。

「君は家族はいないの ?」

「いるけど実家は私の居場所じゃない、仕事も上手くいかないしもう死ぬしかない。」

またなきはじめる

ああ もうどうしたらいいんだ?

「とにかく生きるんだ。男にすてたられたぐらいで死のうなんて考えないで。」

説得してとにかく保護した。


彼女は本業は辞めてしまい派遣で仕事をしているらしい。

「レンチャンたらいきなり連絡とれなくなるしビックリしたじゃない。」

充電が切れていた携帯が復活して落ち着いてから親友に電話をした彼女、レンカさん。

「ごめんなさい。もうなんにもえからなくて......」

「無理にとはいわないけどお。レンチャンじゃないとお芝居決まらない。代役がもうお話にならなくてお客さんからクレームだよ。」

女優とかかな?

「迷惑かけてごめんなさい。リクさん、お仕事ですか?」

「落ち着いてくれて良かったよ 。今日はオーナーの都合でお店休みなんだ。」

昨日、取り乱した彼女とは違う顔をしている。

「お芝居みに来てくれませんか?出来ればその迷惑じゃなければ公演の後に食事でも。」

ほっとけない気がしてOKした。


レンカ、月影レンはけっこう大きな劇団のプリマドンナだった。

堂々と公演を終えた彼女をみてだいじょうぶだと思った。


それからバーに仲間と来るようになった。

髪の毛をボーイッシュにして

格好も少年ぽくなって

その彼女を見守る男性は同じ劇団の主役を争う男性

まるくおさまってくれたらいいなと俺も見守っている。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

アムール~愛は甘くない~ 永久 夏波 @fumakamami

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る