らぶトモ 第3話 【奈々は妹・・・妹なのだが・・・】

「まったく角田のやつ〜。ただ筋肉を自慢したいだけじゃないか」

筋肉マッチョサイエンティスト角田の教育的指導は、

暑苦しくてたまらなかった。理工学のプリントを渡され解くまで帰れ○テンとか、ネーミングが電波すぎだろ。ていうか、そのまんまじゃないか。


しかも解いてる目の前で、ボディビルのポージングをされ、まったくプリントに集中できなかった。そのプレッシャーたるや半端なく、1つのポージングが視界に入る度に、生気を吸われていく感覚を味わった。


家までの道中、幾度も気絶しそうになった。

「はあはあ、つ、疲れた・・・。ただいま奈々」


家のドアの鍵を開け、奈々に帰りの知らせをした。

ーーしーんとしてる。


「あれ?

奈々帰って来てな...くはないな、靴はあるし...いつもなら」

【お兄ちゃんお帰り~、お腹空いた~♪】

「って、かけてくるのに」


リビングの中を見ても、

「ここにもいないか・・・どこいったんだ?部屋かな?

晩飯作ってれば出てくるだろ。さて、支度するか」


夕飯の献立を決めようと冷蔵庫を覗いていると、

ガバッと、背中に重さを感じ少し前のめりになった。


「お帰りなさい、お兄ちゃん」

奈々が背中から抱きついてきた。俺の小柄な体型からしたら、覆い被さられてる状態に見えなくもない。


「た、ただいま、あ、その、なんだ、ちょっ、少し、離れて」

「ええーやーだー!今日一緒に帰れなかったんだもん。

今の奈々は、お兄ちゃんに甘えたいの~」


ほぼ毎日甘えてるような気がしますが...とは、言わないけど

「そ、それにしたって、ち、近いのですよ奈々さん...」

ぐおおおお!背中から感じる2つの膨らみという凶器!全くけしからん!しかもなんかいつも以上やわっこい感じなんですけども。

もしかして、下着を着用されておいででないのでございましょうか?だって、なんだか、だってだってなんだもん!

いかん!思考が、言葉が、どこの国の人かわからなくなっている!小学2年の夏頃から、どんどん成長していくのを見ていたが、早々に170cmを超えていき、それに合わせて、胸はFカップ87cm。腰は見事にくびれて、中学生とは思えない体型に仕上がりつつある。


神さまありがとう!


年頃の女の子といえば、体の変化とともに心も変化していくものだ。けれど、奈々は俺に接する態度が変わらない。しいて言うなら、下着だけは自分で洗うようになった。それ以外は変わらず俺の後ろについてまわる。身体はすっかり大人かもしれないけど、俺にとっては、いつまでも可愛い妹だ。

俺は・・・150cm【あるはず】、クラスじゃ根暗と思われているし、友達も片手で足りる。しかも奈々は勉強もできる。

お兄ちゃんスキルのひとつの勉強分野では、いい格好できない。

「晩御飯作れないので、そろそろ離れてくれるか?」

このままでいたら、いろいろよろしくない。

「お兄ちゃんなんか話し方へんだね。

あ~そっか~わかった!にひひひ~、お兄ちゃん奈々が後ろから抱きついたからちょっとHな気分になったんでしょう?」


や、やばい!妹のお胸でエッチな気持ちになってしまったなんてバレたら嫌われる!死亡フラグだ!

「な、なななななってな~~~い!!ぜんぜんなってない!!妹の奈々にHな気分になるわけないだろ?奈々のおむつだって替えた事のあるこの俺が?ないない、絶対ない。さ、さあ今日は奈々の好きな「エビマヨ」つくてやるから、向こうで待ってろ、な」

「やった~エビマヨだ!おとなしく待ってまーす♪」

「それに、その格好じゃ寒くなるぞ。もう一枚着ときな」

「はーい」


奈々はリビングの奥でテレビを観始めた。

キャミ一枚でしかも・・・下着を着けていないとは・・・。

やばかったー!今のはやばかったー!よく耐えたぞ俺!


その後俺は、無心【←強がり】で晩御飯の仕度を心がけた。


「はい召し上がれ」

「あむ・・・ん〜〜美味しいっ、やっぱりお兄ちゃんのエビマヨは最高だよ〜♪」


 食事はいつものように楽しく過ごした。

「ご馳走さまぁ、あ〜お腹いっぱい食べっちゃった〜」

「奈々今日は一緒に帰れなくてごめんな」

「んん、気にしないで。お友達と一緒に帰ったから」

「そうか。今日は宿題出たのか?」

「うん、これからやるんだ〜」

「寝る前に済ませておけよ。あとで夜食持っていってやるからな」


 台所で洗い物も終わり、風呂入ったら夜食持っていってやるか。


 リビングから出て、風呂場のドア開けた。

 すってんころりん !

《頭ごっちん!》


「ぐいお!痛!なんか踏んだな・・・ぞうきん置きっぱなしにしてたかな?いたたた・・・こ、これは!!」

「お兄ちゃん今のおっきな音な〜に?ああ〜それ〜!」

「あ、奈々、あ、これはだな・・・」

「えっと・・その手に握ってるのって」

「あ、こ、これか?ぶ、ブラジャーですね・・・違う!誤解だ!風呂場に落ちてたんだ!!」


 奈々は大きく息を吸って、何か言おうとしている。ダメだ嫌われる!


「(棒読み)きゃ〜、おにいちゃん奈々のブラなんか持ってなにしようとしてたの〜?

 Hなこと考えちゃったのかな〜?H、Hお兄ちゃんのH〜。恥ずかしいからブラ返して〜、わあああ」


 ものすごく棒読みに喋った後、そのまま部屋へ戻っていってしまった。

「・・・・なんだったんだ今の?」


 あ、ブラジャー返してなかった・・・。

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