第5話 屋敷
その後、他に話せることがないかいろいろ聞かれたが、面倒ごとはなるべく避けたいので少し苦しい気がするがたまたま話せたというところに落ち着くように持っていきたいと思う。
と言うかまだ喋ってなかったのか僕。
お父さんとお母さんからの追求をなるべく無垢に見えそうな瞳で返すこと30分ほど。
お父さんたちもあきらめたようでどこかに行ってしまった。
小さい頃が一番周りに気を使わないといけなくて大変という経験則からきている考えはやはり当たっているようだ。
「さて、そろそろ動き出そう」
そう言って僕は立ち上がった。
まず周りを見渡す。
この世界について知れそうなもの。
本とかが一番手っ取り早い。
本棚を探す。
が、少なくとも寝室とリビングにはないようだ。
もしこの二つの部屋のどちらかにあればいろいろと動きやすかったのだが仕方ない。
他の部屋を探そうと思って、リビングのまだ開けてない扉を開いた。
「は?」
僕は思わず声を出してしまった。
開けた先は想像していたような部屋ではなく廊下だったのだが、問題はそこではない。
廊下は長く、統一された白い服を着て掃除をしている従業員のような人たちが複数人いて、8部屋ほどの扉をつけておきながら上階への階段までうかがえる。
つまりここは、賃貸住宅のようなものなのかもしれない。
とりあえず情報を集めなければいけない。
僕がどんな環境に置かれているかの情報を。
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