忘れ去られた神の闘い

2章 壱

先日の事件以来、町の結界が弱くなっている。

本人は気付いていない、もしくは気付いて

いながらも知らないふりをしているのか直る兆しが一向に無い。

なにも狼守町の守り神は鈴の双神だけでは無い。

「少し面倒臭いがアイツに頼むしかないだろう」

そう呟きながら鴉天狗であるうるしが結界調査していると不自然な傷を見つけた。

「この傷はおかしい…内側からではないな。

外部からの攻撃を受けているようだ。

弱い物ではないと思っていたが…どうやら

力の強い妖が侵入しようとしているな。

早々に手を打たないと厄介なことになるだろうな…」

黒くつやめく逞しい鴉の羽を広げて、町の北側の山中に位置する真神大社へと飛び立った。

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